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144 18歳 at ナイトガーデン

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


あー、なんだってまたこんなめんどくさいことに…


そもそも僕はそっち方面は薄め…というか、暴走したがってるアルバートで手いっぱいなのに…


「お待ちください陛下」


返事に困る僕を救ったのはシルバーブルーの巻き毛が麗しい貴公子、セザールである。


「いきなりの提案ではランカスター公も戸惑いましょう。この話はまた後日…」

「セザール、よしなさい」

「父上、ですが…」


「デュトワ家の三男であったか。陛下に物申すとは…歓談の場であったとしてもいささか不敬であるぞ」


ひえっ!僕を救おうとしてセザールが矢面に立ってしまった!これはマズイ…!


「セザール大丈夫。気にしないで。陛下、それから皆さま、彼は僕をこの国に招いたホストとして気を使ってくれたにすぎません。どうか寛大な心でお許しください。それから陛下、そのご提案ですが…」


うーん、どうしたものか…。はっ!そうだ!キュン魔力!あの剛腕のクラレンス王から一年の自由を勝ち取ったキュン魔力ならもしかして何とかなるかもしれない。


自信は無いがやってみるか…。幸いウルグレイス人は人道主義だ。ワンチャンあるかも!


「その…」モジモジ「実はその…私は女性にその免疫があまり…」モジモジモジ…


「うん?どういう事だねランカスター公。何が言いたい?」

「同衾の経験を言っておるのかね?問題ない。手慣れた教師をつけて差し上げよう」


チッ!作戦変更!


「いえ、そうでなく…。皆さまは僕の屋敷に居た父の愛人について聞き及びないでしょうか?」

「稀代の毒婦と言われるエバであるな」

「もちろん存じておる。あの話は我がウルグレイスにも教訓として流布しておるのでな」


「それがどうしたのかね」


「……幼くして母を亡くした僕は領地運営に忙しい父に代わって彼女の養育下におかれました…」フルフル…


養育されたとは言ってない…


「公爵夫人は気の毒な事であった…」

「とは言え、前公爵は何を考えておる!」


「その毒婦、エバはことあるごとに王都の土産だと言っては毒入りのジュースやケーキを僕のおやつに…」ワナワナ…

「何! それは誠か!」

「よ、よくぞ無事でおられた…」


食べたとは言ってない…


「それに飽き足らず僕の従者を何度も攫い悪評高い男爵に…」ウルウル…

「幼い子供から世話人を奪うとは!」

「お可哀想に…、孤立させられたのであるな…」


どうなったとは言ってない…


「だから…、だから僕は…、女性が怖い…っ!怖くて仕方ない…っ!」


どいつもこいつもあの圧の強いごり押し感がたまらなくコワイ…!


「そんな僕を慮ってアルバートは第三から第五までの王女を遠ざけてくださったのですっ!お分かりくださいますか?こんな僕に側妃を持つことは不可能です…。どうか諦めて…くださ、うぅ…あぁぁぁ!」ギュゥ…「セザール!タスケテ…」

「レジー…?」


あれ?バレバレ?


「う、うむ。そのような事情では致し方ない…」

「無理に女性をあてがうのは無体であるな…」


よし!おっさんたちには効いてる!王様はどうだ⁉


「ふむ…。クラレンス王は何故子を身籠れる王女でなく王子に縁づけたかと訝しんでおったが…そう言う訳であったか。なれば良かろう…。デュトワ候、そしてデュトワの息子よ」


「は、はい陛下」

「何でございましょう」


「見ればランカスター公は其方の息子と懇意なようだ。我が国で同性婚の許可は出せぬがクラレンス国内であれば問題なかろう。候の息子をランカスター公の側夫として差し出すが良い。公、デュトワの息子よ、双方どうだ?」


「はうっ!」

「そ、それは…っ!」


しまった!…ガッツリしがみついたばっかりに…


ウルグレイス王ときたら何が何でももこの僕をウルグレイスに縁付けたいらしい。

けどいきなりそんなこと言われたらセザールだって困るに決まってるじゃないか。見なよ!すっかり困惑しちゃって…


ああけど…、今この場に居る全員の視線がセザールに集中している。繊細な彼にはこれ以上の過度な期待などプレッシャーでしかないだろう。



「じ、じゃあ後は若い二人で…って事でいいですか?」






陛下やウルグレイスの重鎮、そしてセザールの両親からも逃れて、今僕とセザールは市中のナイトサファリならぬナイトガーデンに来ている。


ここは何百個もの白と青の光魔石を用いライトアップを施した、オールナイトでフラワーイルミネーションが楽しめる公園である。さすがウルグレイス。



「セザールごめんね?なんか僕の事情に巻き込んじゃって…」

「いやいいんだ。もとはと言えば僕を庇おうとしてくれたんだろう?僕が上手く仲裁できなかったばかりに…」


「でも嬉しかったよ。やっぱりセザールは僕が見込んだ仁の人だ」

「そう思ってもらえたなら良かったよ」



それにしても結婚もまだなのに側夫とか…、セザールにだって失礼でしょうが!

とは言え、陛下直々の指名である以上、いくらセザールが拠点をウエストエンドに置いているからと言って断れば不敬を問われること間違いない。デュトワ家の肩身も狭くなるだろう…


ウルグレイス王家は神の使いを名乗る存在。ゲスマンとはまた違う意味で王家の言葉が絶対である。だって彼らは神の子孫だから…


そう思うと神の使いを語るウルグレイスより、共和国であるエトゥーリアより、意外と良心的な政治をしているのがクラレンスなのだと再認識させられる。やっぱりベースが乙女ゲーなだけに…なんだかんだいって緩い。


クラレンスは絶対君主とか言いながらも左右の大臣がそれなりに権限を持つため、その実情は立憲君主制にやや近い。

何故かというと、いつの代も王が善性とは限らない。特別な魔法を行使する王が全権力をもつと、その場合この世が真っ暗になるからだよ。


脱線したが何が言いたいかって言うと…、セザール、そしてデュトワ家が陛下の命を断ることは無理だと言うこと。



「ねえセザール。どうしようか…」

「…どうも何も…陛下の命を断る術など我が家には無いよ。すでにギーが散々非礼を働いているからね」


「あっ…」


こんなところにそんな影響が…。これが〝風が吹いたら桶屋が儲かる”というやつか。


「…あの…形ばかりでいいなら僕は構わないよ?もちろんセザール次第だけど…。ごめんね、側夫だなんて…」

「…いいや。むしろ光栄だ。まさかこんな幸運が降って来るとは思わなかった」

「幸運って…」


「幸運だよ。ようやく君に一つ恩を返せる」

「恩…?僕はセザールに恩を売った覚えはないよ?」


「聞いてレジー。君は僕の一番辛い時に一番欲しかった言葉をくれた。君はもう僕にとってなくてはならない存在なんだ。その君の苦境に僕の存在が役立てたならこんな嬉しいことはない。確固たるもの。これがそうなる、きっと」


「セザール…?」


「遠慮しないでレジー。これでウルグレイス社交界の有象無象から正々堂々君を守れる。僕は君が大好きなんだ。もちろんかけがえのない友人として」



真摯に、そして戸惑いなく真っすぐに僕を見つめるセザールの瞳。そこには迷いはない。晴れやかな顔。


「…じゃあお言葉に甘えちゃうけど…本当にいいの?」

「ふふ。喜んで」



安堵の息を吐く僕の目の前には…どことなく昨日よりも大人びた、かけがえのない、大切な友人が居た。





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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