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135 18才 Congratulations!

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


前世から今世まで、僕にとって通算で今まで一度も見たことのない盛大な催し…、それがこのアルバート第一王子殿下様の婚約を祝う舞踏会である。



本日の僕はこれでもか!というほど朝から激務が続いていた。

一緒に来ていたウィルまでもがこの時間まで食事をとれなかったくらいだ。ごめんウィル…


まずは朝からアルバートと神殿に入り、ストラと白い法衣に身を包んだ大神官の見守る前で婚約の儀式を執り行うところから全ては始まった。


前世の常識ならせいぜい指輪の交換…とかなんとか想像するところだが如何せん、ここは魔力がものを言うファンタジーの世界、交換するのは魔力である。


本来は副神官が手に持つ聖なる盃に互いの血を一滴おとして飲み干すのだが、このおめでたい王子様は「あの汚濁での聖なる行為をもう一度」と口移しでの魔力交換を強固に主張し、…それが通ったらしい…


くっ!こんなところに準備を全て丸投げした落とし穴が…!


「良いですかなレジナルド様。貴方様の魔力はとてもお強い。継承者を得ている狂魔力が殿下のお身体で悪さはすまいがほんの微量でございますぞ」


副神官の心配は尤もなことだ。全面的に同意しかない。が!


「…僕はいつでもそのつもりでいるんですけど…」

「それは一体どういう…」





ほら!ほらね!ほらやっぱり!思った通りだ!


「むぐ…、ん、ンんん…んー!!!」


ベリッ!


「はー…はー…はー…」


「すまない、つい離れがたく…」


学習機能付いてないのか!この頭は!



そしてその後、簡単な質問と一時間以上の誓いを聞かされたあと、大神官の持つ特別な魔法により、強い制約を伴った婚約の宣誓書(王家用の特別製)にサインをする。

するとその宣誓書に込められた公布の魔法が発動し、王都中に僕たちの婚約が知らされるって仕組みだ。


もう後戻りはできない。この宣誓書には簡単に婚約破棄の出来ないペナルティがついている…

…なんてね、フルカンスト様には微塵も関係ない。けど…そう簡単にルール違反をする気はない。


でも大丈夫。貴族とは意外にストイックなのである。宣誓書にも書いてあったから間違いない。

婚約期間に、あー、ゴホン!エッチなことをしてはいけないのだ。法典ナイス!



さて、ここまできてようやく大神殿を後にしたわけだが…、ここから親族との顔合わせ。つまりは大公家や血統の良い公爵家、それから辺境伯(クラレンスでは退位した前王がその位につくんだよ)が揃い踏み。

見ろ!お父様が萎縮してるじゃないか!


そして今、いつもの大広間とその続き間を開放しての超大広間はちょっとしたコンサートホールみたいな状態である。

つまり僕が初めて参加した2年前の舞踏会は、当時「ささやかな」とは言われていたけど本当にささやかだったという事だ。あれでも十分豪華だと思ったのに…恐るべし王城…



「レジナルド殿…」

「あっブラッドリー。お久しぶりです、お元気でした?」


「元気では無かったよ。傷心な日々を送っていたとも。酷い人だ、私の気持ちを知っていながら…」

「気持ち…」


何のことだろう…?ああ!毎日ブラックな職場で酷使されて元気なはずがない!ってことかな?


「やあブラッドリー、あなたの気持ちはオルグレンから聞いていたが…すまない。私にとって兄とも言えるあなただがこればかりは譲れないのでね」


「いえ…、運命が選んだのであれば諦めるより仕方ありません。あの日の姿は私も見ておりましたゆえ」


よく分からないけどブラッドリーがあの活性炭を大広間で見ていたことは分かった。

そしてあの活性炭がすっかり伝説の魔法と認識されていることも…

……ま、まぁいいか。


「さあレジー、ファーストダンスの時間だ。君ダンスは…」

「もちろん覚えてません」


「ふぅ…困った人だね。練習する時間はあっただろう?これからは夜会の機会も」

「アルバートに委ねたいな~、リードするアルバートってカッコいい!」

「もちろん任せたまえ!」


チョロい…



光に包まれたままマリオネットダンスを一曲終えると、そこに居並ぶのはダンス希望者。いやだから踊れないんだってば。

気の利くアルバートが「すまないが私は心が狭くてね。遠慮していただきたい」そう言ってシャットアウトしてくれたのは実に都合がいい。




「残念だ…、とても楽しみにしていたのだが…」

「シュバルツ…」


そんな中にあって唯一スルー出来なかったのがシュバルツのつぶやきである。


彼らはカニンガム家主催の夜会でクラレンス社交界に顔見世を果たしている。が…、こうして一緒に出席するのは初めてなんだよね。


ヒソッ「シュバルツ、あとでテラスでコッソリ踊ろうか?言っとくけどリードしてね。僕は一ミリも踊れないから」

「あ…、ああもちろん!」


あとでパウルに聞いたところ、シュバルツはエトゥーリアに居る頃でもあまり踊らなかったそうなのだが…、彼も遊び心のある大人に成長したという事だろう。


それにしても…


ローランドはカニンガム侯の渋面を気にも留めず、着々と「カニンガム家嫡男のお相手はエトゥーリア貴族のパウル様」という周囲の心証を計算高くガッチリ固めつつある。

つまり令嬢方も無駄な駆け引きは半分諦めているのが現状だ。


そしてセザールはウルグレイスの侯爵子息とは言え三男坊、見栄えと将来性でそこそこ人気ではあるが、言うなれば二推し。


そんな訳で今この場において一番人気なのは…


なんと!意外にも陛下の近衛隊長であるブランフォード伯爵家の嫡男であり、アルバートの側近でもある永遠の少年オスカーである!


ダンジョンバカなのに…


そしてもっと意外な一人が、この秋から晴れて魔法学院に入学を果たしたコリンである。そりゃもう出自なんて吹っ飛ぶ勢いで。大人気。


いやぁ~、運命って分からないものだよね。まさか社交界の中央に立つ父と弟をこうして見られる日が来るなんてね。


貴族の大半が日和見主義。節操なんて単語彼らの辞書には無い。

だからこそ誘導するのも楽なんだけどね。目論見通りウエストエンドのおかげで差別主義者は激減している。


王都を獣人さんが堂々と歩ける未来もきっとすぐだ。




「アルバート殿下、一曲よろしいですか?」

「これはこれは。エルンスト殿下の婚約者様であらせられるか。もちろん喜んで。レジー、いいかな?」


「ゆっくりどうぞ。僕は飲み物でもらってきます」



王太子として真面目にお務めをこなすアルバートから離れ、小休止中のタイミングで、つ、と引かれるのはジャケットの後ろ裾。


「シュバルツ…」

「ほら、飲み物ならここに。テラスで休んではいかがだろう?」


「ふふ、いいよ。コッソリ、コッソリね」



約束のダンスは夜風の気持ちいいテラスで隠匿の魔法をかけて。だって仕方ない。こんなへっぽこダンス、僕の名誉にかけて誰にも見せられない…


「はは、踊れないというのは本当だったのか」

「だから言ったじゃない。足踏んだらゴメンね」

「羽の様な君の重みなど気にもならない」


「シュバルツは踊れるの?意外…」

「踊れないと思っていたのかい?心外だな。私はいつでもエトゥーリア貴族の鑑であろうと努めたのだよ」


「シュバルツらしい…」


狭いテラス。見様見真似のダンスなんてゆらゆら揺れるいい加減なもの。


でもこんな至近距離でシュバルツを見るのはあのナバテアの落盤現場以来で…

今こうしてへたくそなダンスを踊れることがどれほど幸せなことか。


…僕はこのダンスをきっと一生忘れない…







毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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