134 18歳 countdown あと1日
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
あの日大勢の騎士が横たわった大広間に今日は大勢の貴人がひしめいている。その中にはもちろんお父様とコリンも居るよ。
オスカー、そしてセザールと気の置けない会話を楽しむ僕の元にやって来たのは左大臣家のご子息。傍らには今日も今日とて大事な恋人を侍らせている。
「ローランド、パウル、それからシュバルツもこっちこっち」
「やあレジナルド、誕生日おめでとう。あえてそれだけに留めておく」
「さすがローランド、よくお分かりで…」
王家との婚姻がめでたいかどうかは微妙なところだからね。
「ではそれにあやかり私も…、レジナルド殿おめでとう。初めて出会ってから早や五年か…。君は一年ごとに益々輝きを増していく。お願いだからそれ以上手の届かないところに行かないで欲しい。正直…私は殿下が羨ましい」
「兄様、その件はまたお話ししましょう。レジナルド様、正装したあなたはまるで天界からの贈り物のよう、とても眩いです」
流石エトゥーリア貴族の鑑だけあってシュバルツたちは口が上手い。輝きって…、眩いって…、はっ!頭皮…
「…」ソワソワ
「どうしたのだいレジー」
「いや別に…」
ネコッ毛の切実な悩みなど誰にも分かるまい!
「レジー、少し僕と一緒に来てくれるかい?兄に紹介したい。駄目かな?」
「あ、う、うん。もちろん行くよセザール。春になったらお邪魔するんだし、ご挨拶くらいしておかないとね」
明日の婚約式本番となる盛大な舞踏会を控え、本日は少し砕けた僕の十八歳を祝う晩餐会。なので招待客は知人限定である。
でもその知人にはアルバートの知人も含まれるわけで…、当然超VIPがそろい踏み…
同盟の三か国からは当然誰かしら貴人が祝いに来るワケで、エトゥーリアからは政務に忙しい議員貴族ではなく、社交の要である王族からエルンスト殿下が婚約者と共にお越しくださった。
あんなことがあったというのによく来たな…と思わないでもない。
なんでもまだお会いしたことのない長兄とやらは、腰が悪くて馬車での長旅はきついのだとか。
そしてウルグレイスからもアルバートと年の近い王族であるヴェルナー殿下がこの度初めてクラレンスを訪れている。同盟国としての親睦をはかりにいらしたのだ。
ウルグレイスはゲスマンとの停戦を経て、今や安全な往来ができるようになっている。今後は広く交流が増えることだろう。
そしてその名誉あるお供には、またもやセザールの次兄が小隊を引き連れ付き従っている。
肝心な時に必ず指名されるとはよほど有能なんだろう。そりゃセザールが僻むはずだ。
「やあレジナルド殿、エトゥーリアでは碌に話も出来なかったのでね。今日と言う日を楽しみにしていたよ」
「セザールのお兄さん…、えっと」
「ギュスターヴだ。ギーと呼んでくれたまえ」
「ギー…」
ヤバイ…、オスカル様に続いてアンドレまで揃ってしまった…。デュトワ家の遺伝子、恐るべし…。なら長兄はアランか…?ちょっと気になる…
「王城の中では私も一招待客だ。共に楽しませていただこう」
「そうなんですね。ところでセザールから聞いてますか?」
「ああ…、ゲスマンを君が業火で焼いたという話かい?まるで天罰だな。なかなか痛快な話じゃないか。だが皇帝を逃がしたのはいただけない」
「兄さん違います。彼を我が家に招待すると言ったでしょう」
「ああその件か。もちろん歓迎するとも」
…なかなか火力の強い兄さんだな。
それにしても何で分かったんだろう…、あれが『天罰』だって…
「レジー、ここに居たのか」
「アルバート…」
「ああ、セザールも居るなら丁度いい。ウルグレイスのヴェルナー第三王子に紹介しよう。隣の部屋に来てくれないか」
アルバートに連れて行かれた先に居たのはツンと上に剥いた小鼻が生意気そうな、僕より一つ年下の王子様。
今回第三王子である彼が祝いの使者となったのは敢えてである。
王太子である第一王子は少し歳の離れたお人らしいし、第二王子は五つ上だが神官としてすでに神へ身を捧げている尊いお方。(ほら、例の伝書バト、クルッポーを魔法陣で使役してるのが第二王子なんだとか)
そこでアルバートともエルンスト様とも話の合いそうなヴェルナー様がいらした、という話だ。
「君が狂魔の貴公子レジナルドか…」
「お初お目にかかりますヴェルナー殿下。以後お見知りおきを」
「見たところは何も変わらぬのだな…」
「ふふ、どんな化け物かと思いましたか?」
これは蔑むというより興味の視線。なら許す。
「なんでもデュトワ家と懇意らしいな」
「デュトワ家…と言うより三男セザールとですが」
「来訪の意思があると聞いたが…」
「ええ。もしよければ」
「我が神王国は君を歓迎しよう。ラビエル、そしてザラキエル、どちらが君の真の姿か…見極めなくてはならないのでね」
おや?これはこれは…随分と小生意気な王子様だな。
エトゥーリアの王子様はまだまだ子供だし、クラレンスの殿下方は柔和な王子が多いからちょっと新鮮。
クラレンス王のあの強引さは、どうも王女様方に引き継がれてんだよね。
神の国ウルグレイスの王族は神の使いを公言して憚らない。
そのため博愛的で在りながら、方や神の名のもと非常に高圧的であったりするのだ。
敵に回すと面倒くさい国、それが天に届くほどプライドの高い、その名もウルグレイス神王国…
「殿下、僕はただのレジナルドです。天使の名などおこがましい。その異名は返上しますね。特にザラキエル」
「ヴェルナー、彼に異名をつけるならぜひ〝アドニス”と。私のレジナルドが天に還っては大変だ」
「!」
アドニス…、それは変態ジョット男爵に昔言われた忌まわしい呼び名…。出来たら遠慮したい…
「まあ良い。とにかく我が国は君が狂魔力を持っていようがなかろうが人の心を見失わない限り問題にしない。ウルグレイスは神に護られしどこよりも洗練された芸術の国。遊山の際は楽しむがいい」
「ありがとうございます…。あ!そう言えばあの…、ウルグレイスの王女様って…」
僕にコソコソと諜報付けて釣り書き送って来た王女様のことね。
「ああ、その節は失礼した。我が国の者は皆美しいものを好むのでね。姉にとって君は合格だったようだ」
「そ、それはどうも…」
何ってわけじゃないけどちょっとこう…偉そう…。いや、王子だし偉そうでいいんだけど。
でもまあファンタジーでもRPG系ならこういう上からもの言うタイプの王族も居るっちゃいるか。
そこへいくとうちの王子様が乙女ゲーのキャラで良かったよ。特にフェリクス様なんかフワフワして可愛いったらありゃしない。
僕は転生先が『恋エロ』だったことを、もしかしたらラッキーだったんじゃないかと思い始めた。
「セザール!久しぶりじゃないか!」
「これは殿下。ここでお会いできるとは光栄の至りでございます」
おお!セザールと王子様は面識があったらしい。デュトワ家はかなりの名門らしいし当然か。
「堅苦しい挨拶はよせ。君の兄ギーにはいつもとても世話になっているのだからな。これほど優秀な兄が居て君もさぞ誇らしいだろう」
「ええ。自慢の兄です。それに引き換え僕は戦火から逃れ留学していた軟弱者ですが」
「セザール!それは違う!」
「だがセザール、君が留学していたおかげでこうして終戦の立役者であるレジナルドと縁が持てた。むしろ王家として礼を言う」
「恐れ多いことでございます殿下」
「君を正式に大使としてはどうか…という話さえも出ているのだよ」
「ヴェルナー、本当かいそれは」
「ああ本当だ。それよりセザール、君からもギーに頼んで欲しい。彼には私の専属護衛となるよう何度も声を掛けているのだが…、色よい返事を貰えないのだよ」
さもありなん。
この王子の相手をするのはかなり骨が折れそうだ。
「殿下、その話はまた後日。セザール、そろそろ時間のようだ」
大広間からこれまた巨大なダイニングへと部屋を移して総数三十品目にもなるディナーが始まる。
いや絶対食べきれないって…って思うでしょ?大丈夫、残った食事は使用人へと振舞われるのが通例だから。むしろじゃんじゃん残せ!って感じ?
歓談して…食べて…今度は男女別で歓談して…そしてまた合流のうえしゃべって…飲んでつまんで…これを夜中まで。明日もあるってのにいい加減にしろ!
僕は少しも疲れを見せないアルバート以下、この場の貴人全てにほんの少しだけ敬意を抱いた。
毎日更新を目指しています。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




