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132 18歳 countdown あと6日

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


「坊ちゃま、エンマでお泊りになるならなるで一言仰っていただかないと困りますな」


ギクッ!


何食わぬ顔で朝食の席に着いたというのに…


あのお酒や食事は「夜はエンマの別荘でヴォルフと食べるから適当に寝てて」と言って用意してもらっていたものだ。

だからこそ朝までに戻っていればお泊りはバレないだろうと思っていたのに…ジェイコブの目は一体どこについているのだろう?


「ゴメンゴメン。二人で飲んでたらうっかり寝落ちしちゃって…、以後気をつけます」


「坊ちゃまは王太子妃になられる身、自由を謳歌できるのも今だけ、目溢しは致しますが…」


「ありがとうジェイコブ。でも王太子妃になったくらいで大人しくする気は毛頭ないよ。僕は今後、エトゥーリアの先にあるドワーフの国やウルグレイスを抜けた遥か向こうにあるエルフの国とも交流を持ちたいと考えてるんだから」


僕の野望に終わりはない!あっ!世界征服はしないからね!


「なんとそのような…。彼らは独自の集合体を築き隠れ暮らす偏狭な種族、一筋縄ではいきませぬぞ?」

「だから遣り甲斐があるんじゃない。まあいずれね」

「王太子妃の務めもそれぐらい熱心におねがいしますぞ」


「…」


僕は脳のリソースを大半街作りに割り当てている。それ以外の事など考えている余裕はない。



そんなわけで七日、…いや六日後に迎える今年の誕生日は主催の王家に丸投げである。

…何故主催が王家かって?何故ならその日は僕とアルバートの婚約式でもあるからだ。そのため盛大な舞踏会が用意されているとかいないとか。


もちろん帰ってから別途、ここウエストエンドで大宴会をするわけだが、クーデンホーフ領の仲間も呼んでおいたし、僕的にはそっちのほうが本番と言える。


おかげで当日まで結構暇人な僕は、口を尖らせ階下へと降りてきたシャリムに捕まっていた。


「イソヒヨドリ…、昨日オオカミとどこ行ってたの…」


「ちょっとエンマまで……雪遊びに…」

「エンマ…?」

「…ゲスマンの事だよ。宮殿のあった辺り」

「置いてった…」

「君を連れて行くのは躊躇われて…」

「…じゃあ今日は僕と遊んで…」


「いいよ。何したいの?」



あれ以来、外界に意識を向け始めたシャリムは少しづつ日中外に出ることが増え始めていた。

エキゾチック美人の彼は密かに領内での人気が上昇中だ。まあ本人はどこ吹く風なんだけど。


その彼が行きたがるのはほとんどがニコの神殿である。


神殿の中央にはセザールのアドバイスで付け加えられた沐浴場がある。

煩悩の権化であるニコがあそこで禊をするとは到底思えないのだが、シャリムはどうもあの水槽の縁に腰掛け足をつけてぴちゃぴちゃするのが好きらしい。

その姿はどことなくシンクで羽をパチャパチャさせてたクーみたいで…なんとも可愛い。


そこで神殿に行きたいというシャリムを連れニコを訪ねてきたわけだが…



「すみませんレジー様、ニコ先生いまカンヅメ中で…」

「缶詰…、よく分からないけど忙しいって事ね。分かった。またにするね。」


ところで先生って何だろう…?



「シャリム、他の場所行こうか。…そうだ!今日こそヴィラに行ってみる?確か今日は右側のコテージが空いてたから代わりに滝つぼで水遊びしたら?」


「行ってみる…」


以前は行きたくないと即答したヴィラ。こうして何にでも興味を持つようになったことがとても嬉しい。


山肌を流れ落ちる清廉な滝。キレイな景色を見るのが好きなシャリムはきっと気に入るに違いない。

彼の気が変わらないうちにと、僕はシャリムの手を取り大急ぎでそこへ向かった。



「ほら、ここがウエストエンドの誇るヴィラ・ド・ラビエルの滝プールだよ。どうするシャリム、泳いでみる?ここは年中温水だよ」


感情表現が乏しいシャリム。けれどその瞳には間違いなく感嘆が浮かんでいる。


「泳がない。でも綺麗…」

「でしょ?」

「虹が出てる…」

「ホントだ…。あれ?青い鳥?」


「イソヒヨドリ…?あそこにイソヒヨドリが居る…!」


前世では『幸せの青い鳥』とも呼ばれた吉兆の鳥イソヒヨドリ。

その昔シャリムを慰めたという、美しい歌声を持つ鮮やかな鳥。実を言うと、実物を見るのは初めてだったりする。


「…ねえシャリム、イソヒヨドリは雄が青くて雌は薄褐色なんだって」

「青と茶…」

「僕とシャリムみたいだよね?まあ僕は青というより紫だけど」

「イソヒヨドリと僕…」


「オペラグラスでゆっくり見ておいで。僕はここで休んでるから」


初めて会った時からずっと呼ばれ続けたその名、〝イソヒヨドリ”。

僕はシャリムの青い鳥になれただろうか。

そうだったらいいと思う。

もしそうなら少しは自分が誇らしい…



ハッ!…うっかり寝落ちしてしまった…。この滝の落ちる音が何ともヒーリング効果で…


ビクッ!


「…シ、シャリム…?」

「イソヒヨドリが寝てたから…、一緒に寝てる…」


「良いけどね。…この腕は?」

「ぎゅってして寝てる」


「抱き枕?いちいち可愛いなぁ」


「良い匂い…あ、そうだ…印…」

「ちょ、ちょっとシャリム…」


シャリムの動きがなんか怪しい…


「イテ!」


「イソヒヨドリに印…」

「え、ちょっとシャリム、印って歯形のこと…?」


「母さんの持ってきた春本でこうしてた…」


な、何だと!どう考えても知的そうなお母さんがそんな馬鹿なっ!はっ!もしかして性教育のつもりで…


けどあれは歯形じゃなく…キスマ…


「葉っぱみたい…可愛い…」

「そ、そりゃどうも…」


うん。ピュアっ子シャリムはこのままにしておこう。


僕は思った。

シャリムの保健体育こそ経験豊富なヴォルフがすればいいのに…、と。






毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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