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131 18歳 countdown あと7日

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


ゲスマンの冬、それは暑く乾燥した夏とはうって変わって雪の降る厳しい冬だ。特に今回ゲスマン皇帝から慎んで進呈されたクラレンス・エトゥーリアの共同統治地区、命名〝エンマ”辺りは寒暖の差が特に激しい。


命名された〝エンマ”という名だが、これは元々トラキアの人たちが使っていたこの辺りの呼称、流血を意味する〝ハイエンマ”の発音がエンマに聞こえる事から名付けられた。

流血ってどうなの…?と思わないでもないが、なんと、〝フロエンマ”で炎という意味になるらしいが…、…な、何のことかな?



共同統治地区エンマ…。それは今回ゲスマンからの被害を受けた二か国間による協議の結果である。


クラレンス側にはエトゥーリアの王族を危険に合わせた負い目がある。

そして国土の小さなエトゥーリア側は、たとえ共同統治とは言え領土が増えることを好意的に受け入れた。


エンマはもともとゲスマンの中心地。街道にも近く大変利便性の良い立地である。

そしてハディードの保有していた山々からは様々な鉱物資源が採掘される。


採掘資源の多くは染色用の鉱物である。だが立ち入り禁止になっていた一角からは『クーザ』の原料である魔鉱石が採掘された…


むかーし昔、その昔、魔鉱石の採掘されるその一帯は使い古された魔石や魔道具の廃棄場だったと言う話だ。そのため何らかの歪な影響を受け、年月とともに魔鉱石になったんだろうと言うのが偉い教授の見解だった。これらは今後魔法学院によって研究が進められるらしい。



そんな共同統治地区エンマで今僕が何をしてるかというと…


「ヴォルフ、もう部屋に戻ろうよ…」

「駄目だ!もう少し付き合え!」

「いやもう無理だから…。アルパカさんのコートを以てしてももう無理…」


犬は喜び大雪原を駆けまわっている…。なるほど。あの童謡に偽りはない。


白銀の雪中に立つ雄々しき白狼…ふぉぉぉ!見たい!と、ふいに思い立った僕はヴォルフと二人で石塀作りの休憩にと、急遽用意したエンマの別荘に飛んできたのだが…


氷点下近いこの気温…体毛の薄い僕では若干保温力が足りないようだ。


「もう手も足も凍えて千切れそう…」

「そこまで言うなら後で全身温めてやる。安心しろ」


「え?絶対だよ!じゃああと一周だけね」


そうか…。あとで僕はあのモフモフに包まれて暖炉の前で温まれるのか…サイコー!


三日前から降り続く大雪は何もかもを真っ白な雪で覆ってしまった。石塀作りの人夫たちも監督の役人をはじめとして誰一人宿舎、官舎から出てこない。

豪雪の中、雪遊びに興じる頭のおかしい狂人など僕とヴォルフしか居ない。


僕は暑さも寒さもその気になれば実は無効化できる。けど非常時以外は使わないというのが僕のポリシー。四季は肌で感じてこそだからね。


「よし。もういいぞレジナルド。それで屋敷には何がある?」

「食べ物の事?えーと、ナンとケバブと…羊肉のスパイス煮込みと…ハムとチーズ、それから…」

「酒はないのか」

「ワインもエールもあるけど…」

「お前も付き合えレジナルド」

「お酒…?まあいいや。少しだけだよ」



この別荘では暖炉が唯一の暖房器具だ。

手は数本のワインと(多いって!)ハムにチーズを持って、食事を済ませた僕たちは暖炉の前へと場を移すことにした。


「うー、寒…。ヴォルフ、もっと薪くべて」

「なんだ寒いのか」

「さっきよりはマシだけど…まだ足先が冷たいんだよね」


年間通して温暖なウエストエンドでは味わえない感覚だ。


「…そう言えば約束だったな」

「あっ!」


不意を突いて引かれる腕。僕はあぐらをかくヴォルフの膝に転がり込んだ。


「ちょっと!これ違う!」


モフモフはどうした!モフモフは!


「なんだ。人型だと嫌なのか」

「嫌って言うか…」


シンプルに恥ずかしいんだけど。


「こうしていると暖かいだろう。いいから飲め」


お酒を嗜む時ヴォルフはいつも獣化を解く。

犬猫はアルコールを分解しない。

獣化と本物の獣は違うとヴォルフはいつも言うけど、やはり飲酒は人型のお愉しみなんだろう。


たわいない会話と美味しいお酒。煌々と燃える暖炉の炎が野性味溢れるイケメンを赤く染め上げている。


「おい。つまみはこれだけか」

「えぇー!ほとんどヴォルフが食べたじゃん!」

「まあいいこれで」


ガブリ

うなじに立てられたのは二本の犬歯。


「ちょっと!誰がつまみだって!」

「ふん。完熟とは言えないがまあまあ美味そうだ」

「はぁ?」


言動のおかしいヴォルフもそこそこ酔っているんだろう。

気が付けば目の前には二人で空けたボトルが三本…


前から暖炉で温められ、背中からヴォルフに温められ、内部からワインに温められ…


気が付けばいつしか僕は眠っていたらしい。



ピピピ…チュン…チュン…


朝チュンの中、目覚めたのは人型ヴォルフの胸の中…


「どうだ、身体は暖まったか?」

「…お陰さまで…」


人狼ヴォルフ、約束は守る男…





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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