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130 17歳 at 温泉

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


「あーもう!毎日毎日暇さえあれば石塀作らされて…人を何だと!」

「はは、ほら。今日はここでせいぜい身体を休めるんだな」

「ふふ、お休みに使用しちゃって良かったのかな?」



ここは『プレミアムリゾート・ラビエル』の屋上展望風呂である。屋上とは言っても屋根のある全天候型だ。

ヴィラにある自然の地形を利用した絶景露天風呂とは趣が違い、視覚的にはプールに近い。

カウンターバーも併設された喉の渇きにも対応した親切設計、そのため水着着用のスパ仕様だ。

お湯にはイーサン先生特製の疲労回復ポーションが溶け込んでいる。もはや人工の温泉と言っても差し支えないだろう。



「今日は全館メンテナンスなんだよ。予約も止めてあったの。でもお風呂は製作者である僕にメンテナンスしろって言ってきたから…役得だよ」

「お前…、愛されてるのかそうじゃないのかよく分からないとこあるよな」

「ホントだよ…」



賠償として手に入れたゲスマン領土の一部、ゲスマンの教えに否定的なクラレンス王はそのエリアを万里の長城もどきで完全分断することを思いついた。


魔法を用いても数年はかかりそうな大工事。それを王は1年で終わらせようとしている。僕の狂魔力をあてにして…


…いやいやいや、僕の万能性は狂魔力関係ないからね?フルカンストフルスキルあってこそだよ?

事あるごとに「もうすぐ家族」を強調されるとしてやられた感が満載になる。あのパワハラ国王め…



「言いたいことは色々あるけどね。とは言えお父様は婚約にお喜びだよ」

「ああ、ランカスター侯はそういうとこあるよな」


名誉とかに弱い質だから…


「で?いつまでに世界を征服するんだ?」

「しないってば!誰に吹き込まれたの?アーニー?アーニーだな!」

「円満な世界征服で良いじゃないか」

「良くないよっ!」


いつか冗談じゃ無くなりそうで怖い…

ゴーディー以下諜報部隊はすでに各国の情報を集めているとかいないとか。


「やあ、遅くなったが失礼する」

「ご一緒させていただきますね」


「あーどうぞどうぞ。のんびり浸かって行って。ウィル、ドリンクを」

「はい、ただいま」


「遅かったなローランド」

「パウルに似合う水着を選んでいたら時間がかかってしまってね」


逢瀬の回数が増えたローランドは暇さえあればパウルを連れまわしている。仲が良くて何よりだが…


どうもローランドは人一倍嫉妬深い。目の届く場所に居て欲しいのだろうが…ほどほどにしないと嫌われるよ?


僕はアルバートが意外と僕を尊重している事実にまたまた少しだけ評定を引き上げた。



「皆さま楽しそうに何のお話しをされていたのですか?」

「レジーの世界征服についてちょっとな」

「うるさいオスカー!」


「いや、私はありだと思う…」

「ローランド…?」


「ぜひ義兄上を、ああ失礼、シュバルツ殿を君の第二夫君に考えてはどうだろうか?」


うわ…、ナチュラルに義兄上って…


「…ローランドがピュアな気持ちでそんな事を言うとは考えられない。何企んでるの…?」

「失敬な」


「ああ分かった!あれか?親父さんか?」

「どういうことだい?オスカー」


「シュバルツさんが王太子妃レジーの第二夫君になれば威光が増して、その弟であるパウルと自分の結婚にも親父さんの態度は軟化する。そういうことだろ?」


「…オスカー、余計なことを…」


「へー、さすが幼馴染。よくお分かりで…って、こらローランド!」

「ハハッ、ランカスター侯に負けず劣らず、ローランドの親父さんも名誉には弱いんだよ」



何ということもないくだらないお喋りとともにまったりと時は流れていく。


気温の高いウエストエンドの初冬はこうしてお湯に浸かっていればあまり寒さを感じない。ぷかぷかと浮かぶ五人の男。ああ…温泉が疲れた身体に沁みる…



「それにしてもこの国は同性婚に寛容なのですね。エトゥーリアにも同性同士で愛を育む者はおりますがあくまで秘め事としていらっしゃいますよ?」


「ああ。パウル、それには理由があるんだよ」



ローランドの口から語られる僕も知らないクラレンスの事情。


伝統主義のはびこる近世ヨーロッパの世界観にあって、ゲームの仕様とは言え何故同性婚が認められているか、僕も最近知ったのだが不本意ながらそれも狂魔力が原因である。



光属性。それはクラレンスの王族のみが持つ希少な属性。中でも王の持つ特別な光はアークトゥルスと呼ばれ国の繁栄を約束すると言われている。


因みにこのアークトゥルスを更に強化しようとしてやり過ぎたのが狂魔力ね。つまり狂魔力はアークトゥルスの強化版とも言える。ま、今そのことは置いとくとして…


アークトゥルスは立太子した王子にのみ受け継がれる。大神殿での大変厳かな即位の儀を以て力は次の王へ譲渡されるのだ。


それはそれとして、なんでも古のクラレンス王家では狂魔力を恐れるあまり、護衛についた騎士や近衛と〝吊り橋効果”で恋に落ちる王子がとても多かったのだとか。

そのうえ名門の令嬢方も狂魔力を恐れ王家への輿入れを拒否していた模様。


だがアークトゥルスの継承には一定の条件があり、そこには〝愛を手にした直系王族”というくだりがあるのだとか。


そんな事情から当時の王は護衛と王子の婚姻を認めるしか無かったんだとか。(あ、護衛ったって王族の護衛は貴公子ばかりだからね!)


憶測だがアークトゥルスの継承条件とは『天界の慈悲(ヘブンズマーシー)』に向けての布石ではないだろうか。


蛇足だが僕の考えを聞いたニコは、「『天界の慈悲(ヘブンズマーシー)』は聖女とは言え捨て子のヒロインとアルバートの結婚エンドをもっともらしくするためじゃない?それから〝愛を手にした直系王族”云々は『恋エロ』をBLゲーたらしめる裏設定だと思うけど?」と言い切ったが…、そっちの方が正解かも知れない。


とまあそんなわけで、決してメジャーではないが、『恋エロ』の舞台であるこの国では同性婚が認められてきたのだ。



「そうだったのですね…。ふふ、では私がクラレンスへ来たのは運命だったのでしょうか…」キュ…

「パウル…ああ。きっとそうだ…」ギュ…


はいはい。そうでしょうとも。


「あの…、お話し中すみません。パーヴェル様、首の後ろに虫刺されの跡が…。あとでお薬お持ちしますね」

「ウィルちょっ!」


みんな分かってて気付かないふりしてたのに…。うちのウィルってばよく気が利くうえに優しいから…


「あっ!そ、その…だ、だからダメって言ったのに…」

「あー、ゴホン。ありがとうウィル。だが気遣いは不要だ」


「そうですか?」


「ローランド…、君は意外と手が早いんだね」

「こいつ昔からムッツリだから」


「なっ!」


ローランドはムッツリ…。これってニコは喜ぶやつだろうか…





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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