表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/200

119 17歳  revisit あの国… ②

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


「こ、ここは…」


光の鎖が導くまま、『ワープゲート』で飛んだ先に現れたのは極彩色の壁。

曲線を多用したこのオリエントな作りは予想通りゲスマンだろう。


このどこかにオルランドとエルンストが居る…


「だけどこの場所って…」


ただの豪華な屋敷とは到底思えない。肌に感じる絶対強者のプレッシャー。僕の考えに間違いなければ恐らくここは宮殿内部、ゲスマン皇帝の住まう宮に違いない。


「じゃあ今回の拉致は皇帝自ら仕掛けた戦争への前哨戦…?」


念の為ステルスで姿を消しているとは言え…なんかこう…どうもヤな感じだ。



予備知識がない闇魔法。これがまた魔法のクセも弱点も分からないっていう難易度の高さ。

果たして僕の光魔法がどこまで通じるか…。駅での近接戦でもあれだけ手こずった事を思うと不安は拭えない。


「ん?これは…」


足元に浮かび上がるのは黒くて丸いシミ。そしてそのシミはまるで僕を誘導するかのように点々とどこかに続いていく。


「来いって事か。お見通しってわけね。シャリムも感知能力に長けてたし…闇魔法の特性かな?」


なら姿を隠していても意味はない。僕はステルスを解除した。




奥に向かうにつれどんどんと暗くなっていく回廊、その最奥にあるのは薄暗い石造りの広間だ。

四方を囲むのは共鳴の魔道具をもった魔導士たち。正面の玉座には男が一人、ニコリともしないで僕を見下ろしている。


こいつが皇帝か…


「よく来た狂魔力の継承者。レジナルド、とか言ったな。あ奴らを助けに来たのか?お前には関係無かろうに。お人好しな事だ」


「お招きありがとうゲスマンの皇帝。彼らは僕のお客様だ。見捨てる選択肢なんてある訳無い。それよりさっさと彼らを返してもらおう。言っとくけど僕の狂魔力を舐めないほうがいい」


「お前こそ我が国の魔道具を舐めるでない」


強気の姿勢。自国の魔道具に絶対の自信があるってことか。


「見えるか、お前と我を隔てるこの見えざる壁が」

「だったらどうした」


「これはお前の狂魔力ごときで壊せるほど軟な楯ではないのだ。何と言ってもこれはクラレンスの王都を壊滅させたと言うお前の先祖、その狂魔力から我が国を守るために二百年かけて開発した楯だからのう」


「先祖の狂魔力…?」


「そうだ。史上類を見ぬ最上限のレベルに達しておったという彼の者。我らが作ったのはそれに対抗し得る楯であり魔道具よ。だが安心するがいい。あ奴らは目障りなウルグレイスを叩き潰すための交渉材料。簡単に殺しはせぬよ。まずは指の一本二本からだ」


「それって結局最後には殺すって事じゃないか!この下衆野郎!」

「ハハハハ!褒め言葉と受け取っておこう!」


サディストめ!

しかし最上限ね…レベル1000ってことか。


先代のレベル900を超えるとはなかなかにハードなご先祖が居たもんだ。その人が王都を壊滅させたっていう、左大臣の恨んでいるご先祖だろうか?


だがこいつは知っちゃいない。僕がとうの昔に上限解放しているって事を。

と言うか、この世界には上限解放という概念がない。裏技でリミッターを外した、元プレイヤーである僕以外。


「それにしてもわからないな。ウルグレイスとの交渉材料に何故エトゥーリアとクラレンスの王族を狙うのか」


「教えてやろう。かの国は自国の王族であれば殉教として助けに来ぬのだよ。国を危険にさらしてまではな。民と王族、その秤は民が重いのだとか…、愚かなことだ」


そういやエトゥーリアでもそんなようなこと言ってたっけ。神王国の面目躍如だな。


「だが他国の王族であれば話は別。それも友好同盟国の王族を見捨るなど奴らはせぬ。他者への慈悲を見失なうことは神の教えに背くも同然。奴らは来るのだ。善き隣人の為であれば必ずな」


ここでウルグレイスの崇高な国民性を理解出来たのはいいとして…



「そんなことのためにクラレンス、エトゥーリアの二国をいきなり敵にまわすっての?」


「エトゥーリアなど歯牙にもかけておらぬわ。ナバテア、そして内乱により疲弊した国。他国の助けを必要とする弱国に何が出来る!」


「クラレンスはウルグレイスより強い」


「ハハハ!先んじて手は打っておるよ。よいか、王子を攫うだけなら我らはいつ何時でも出来たのだ。何故この機を狙ったと思う。全ては狂魔力の制御を可能にしたクラレンスの盾をここにおびき寄せるためよ!お前さえ居なければクラレンスの聖騎士など敵ではない!はーっはっはっはっ!」


「な、何!」


僕が目的だと⁉


「エトゥーリアの王族が『不毛の地』へ向かうとの情報は我に好機をもたらしたのだよ。フハハハハ!王族を迎えるのであれば必ずクラレンスもいずれかの王族を接伴に寄こす。そして狂魔力を持つ最強のお前は間違いなく帰路の護衛に付くと見たのだ。人質と邪魔者の排除、一挙両得とはな。なかなか良い案ではないか!ただの金満家と思ったが…、見直したぞハディード!」


ハディード?誰だそいつ?って…、ああっ!


「お前はあの時のっ!」


「わしを覚えておったか憎き小僧め。この時をどれ程待ったか…。あの時の屈辱忘れはせぬぞ!」


絨毯ジジイ!!!


「狂魔力に二の足を踏んでおれば調子に乗りおって!我らの錬金箱『クーザ』に手を出した以上生きては帰さぬ!」


「ど、どうしてそれを…」

「あれで分からぬとでも思ったか!」


あ、あれ?どれ?


「あのような気違いじみた真似をする者など、狂魔力を持つお前以外に誰が居る!ウォーデモンからの報告を聞いてすぐに分かった、お前の仕業だとな…。良いか!皇帝はわしの策が上手くいったらお前の身柄を好きにしても良いと仰った。覚悟せよ!」


要するにエトゥーリアの内部情報をばらしたのがウォーデモンで、そのウォーデモンはローランドの読み通りこの絨毯ジジイ、ハディードと結びついてて、それで僕を逆恨みしたこのジジイが嫁のコネを使って皇帝の対ウルグレイス戦略に便乗したうえ更に策を授けたってことでOK?


王子の拉致、それを餌に僕をおびき寄せ、手薄になったクラレンスにダメージを与える何某かの策を…


「わしに恥をかかせて楽に死ねると思うな!これを見るがいい!」


ズズ…


「お、お前はさっきの闇魔法使い!」


「これはわしが育てた一対の傑作品だ。お前に対抗するため五年の月日を費やし造り上げた闇の使い手。フフフ…魔道具と共鳴させることであらゆることが可能となったのだ!お前もその目で見たであろう!王子を返して欲しくば大人しくするのだな!」


一対…、つまり闇魔法使いがもう一人居る…

目の前の男は駅に居た男だろうか…?もしそうじゃないならさっきの男はどこだ?


待てよ…。皇帝は何と言った。


『先んじて手は打っておる…』


もしや…、もう一人の闇魔法使いはクラレンス王城か!



「クラレンスに何をする気だ!」

「人の心配をする前に自分の心配をするのだな!」


「何!? ちょ、来るな!あっ!」


ビリビリッ!


あああーっ!アルパカ獣人さんが紡いでくれた貴重なビクーニャ繊維の一張羅がっっっ!


「そのお綺麗な顔を屈辱に歪ませてやれぬのは残念だが仕方あるまい。お前の五感を奪って今度こそ生き人形にしてくれるわ!」


「ハディード、見世物はまだか。クラレンスからの報告が上がるまで我は退屈なのだ。早くせんか!」

「んなっ!」


「良いか小僧もう一度言う。王子の命が惜しければ大人しくするのだな。何が狂魔力だ。所詮器は人ひとり見捨てられぬ只人ではないか!さあ、こちらへ来るが良い!」


ビリィッ!


ああー!羊獣人のメリーさんが編んでくれたとっておきのインナーまで!一枚しかないのに…大ショック!!!


「よ、よくも…」


だがどうする?

僕を囲む魔導士…は数に入れないとして、極めて厄介な闇魔法使い。姿の見えない王子たち。狙われたクラレンス。うーん、これぞ絶体絶命…


せめて…、せめてあの面倒な闇魔法使いを何とか出来れば!


「さあアウル!奴を漆黒の闇へと誘うのだ!」

「来るな触るな!僕のヒートテックを返せ!」


ん?…アウル(ふくろう)!梟…僕の梟…



「フフフ…死の抱擁だ…」

「シ、シャリムー!!!」





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ