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110 17歳 in 官邸の一室

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


狂魔力の継承者、それは水〇黄門の紋所くらいの権威…脅威?を持つ僕の最終兵器だ。

そしてその威力はその場にいるエトゥーリアの全員を跪かせるのに成功した。と言うか意識を取り戻した全員が涙目でガタガタと震えている…


…き、気を取り直していこう!


「僕が何故ナバテアの山中にいたのかはあなた方が知る必要の無い事だ。だがこれだけはハッキリ言う。僕はあの日あの場所で死にかけている彼らを発見して保護をした。小隊の生き残り七十名あまり全員をだ。そしてクーデンホーフ家の生き残りパウルも助け出した」

「だがあ奴は地割れに…」


「落ちて死んだ、そう報告を受けたか?貴族街から出る事の無いお前のもとには市居の与太話まで届かなかったようだな。死の天使ザラキエルに連れていかれた、などという与太話は…」


「馬鹿な……!」


「おまえの私欲にまみれた非道な行いにはヘドが出る!どう足掻いても終わりだ!命を以て償うがいい!」



ウエストエンド自慢の諜報部隊はとっくの昔にナバテアから証拠品を手に入れている。


あちらの将校はあの時エトゥーリア軍部に送った〝捕虜にしましたよ”という通達用の所属と名を全員分記した書簡の控えを、袋一杯の金と引き換えに快く売ってくれたのだとか。


どいつもこいつも、と思わないでもないが戦時中などそんなもんだし、今更ナバテアの軍部が持っていても無意味な紙だ。むしろよく保管してたなとあちらの将校を褒めてやりたい。


僕の差し出した証拠に血の気の引いたロートリンゲン。

口火を切ったのはのはウルグレイス騎士団の司令、セザールの兄ギュスターヴだ。


「申し開きがあるならば聞こうではないか。だが神国であるウルグレイスを謀ればただでは済まさぬ。天は非人道的な行いを決して認めぬ!おためごかしは神の怒りに触れると心得よ。騎士団!この者を確保せよ!」


「よせっ!よさぬか!」


「こちらには七十名余りもの生き証人が居るのだ!逃げられると思うな!人の生死をここまでで弄ぶとは…、なんという鬼畜の所業!お前の命にこそ価値はない!」


「くぅぅ!放せ!放さぬかー!」



有無を言わさずロートリンゲンを連行する連合騎士団。事の次第に唖然とする変革派に「どういうことだ!」と囲まれるシュバルツ。長い一日になりそうだ。


ここからこの国は新しい時代を迎える事になる。

けれど優秀なリーダー不在による衆愚政治の反省を踏まえ、彼らは国として成熟するまで、クラレンス・ウルグレイス連合軍の指揮下に入ることを余儀なくされるだろう。




そして翌日、政治の話し合いはモレー団長やギュスターヴに任せ、クーデンホーフ家の爵位復活、元兵士たちの国民籍復活に向け話し合うのは一部のエトゥーリア議員とシュバルツ、それを見守るのは僕とローランドである。


それを踏まえ、シュバルツの生存を知らされた親類や友人たちは、昨夜のうちにその報を聞き一言挨拶をと朝から行列を為している。つまり弁解とか弁明とか釈明とか、意味は全て自己弁護である。


我先にとやって来た分家の当主はシュバルツの顔を見るなり土下座状態で泣いて詫びた。

シュバルツは本家の当主だし気の毒なくらい小さくなっている。だが彼らは一度はパーヴェルを受け入れている。その後のロートリンゲン一派の締め付けによって心が折れただけで。


けれど友人の中にはシュバルツの潔白を分かっていながらロートリンゲンに寝返り恩恵に預かった者も居たりするのだ。その彼らと顔を合わすのはシュバルツとしても心中複雑だろう。


「そ、そのシュトバルツ、君がまさか生きているとは…、だが実に喜ばしいことだ。嬉しいよ」

「喜ばしい?モーリッツ、君はヘスラー伯のもとで働いているそうじゃないか。知らないとは言わせない、彼がロートリンゲンの腹心だという事を」


「そ、それはそうだが私も両親からうるさく言われて仕方なかったのだよ。どうか許して欲しい。私たちは共に学んだ学友じゃないか」

「友人だと、そう思ったこともあった…」


「シュトバルツ、私は君を裏切ったりはしていないよ。力にもなれなかったがそれだけだ。もう一度友好を重ねようじゃないか?」

「デニス、だが君は我が家の宝飾品を随分安く買い叩いたと聞いている。家令が詫びながら話してくれたのだよ。パウルは領地からの税収すら止められ薬を買うには家宝のいくつかを売るしかなかったと。だが君は足元を見たのだな…」


「それでも買い上げてやったのは友人ならではの温情ではないか!むしろ私は感謝されてしかるべきだぞ!あの後ろで小さくなっているリーフマンを見るがいい!奴が意気消沈するパウルを訪ねて何をしたと思う!私はそれを間一髪止めてやったのだからな!」

「デニス!余計な事を言うな!」


パウル!その名に僕もローランドもピクリと反応する。


「パウル…?リーフマン、お前はパウルに何をしたのだ!」

「聞k」

「聞かせてもらおうエトゥーリアの爵小貴族、貴様…パーヴェルに何をした…」


ユラリと漏れ出る青いオーラ、前へ出るローランドに僕の出番は霧散した…


「何も、何もしていない!」

「嘘をつけ!」


「た、ただ私は不憫な彼に生活の面倒を見てやろうと申し出ただけ…それだけだ!」

「デニス!止めたとは何のことだ!リーフマンは何をしようとした!言え!」

「止めろデニス!」

「い、いやその…」


はぁー?振るだけ振っといて怖気づくな!


「言わなきゃ言わせてやる!僕の狂魔力で!」

「リーフマンはパウル君を愛人にしようと押し倒しました!!!」


ゴッ!


湧き上がる青い炎、これは…具現化したローランドの魔力だ!


「お前がパーヴェルを…?お前如きがパーヴェルを…?」

「だ、だが未遂だ、手を出そうとしただけで結局何もしていない…、よせ、やめろ…」


「手を出そうと…、その汚らわしい手をあの清らかなパーヴェルに…、身の程知らずも甚だしい!死んで償うがいい!!!」


「ローランド!おちつk」

「レジナルド!貸せ!」

「か、貸すって何を?」グイッ!「え?ああー!」


「『フリーズ!!!』」


ひっ、ひぃぃぃ!下位魔法であるただの『フリーズ』が僕の貸し出した魔力によって悪魔的な効果になってるー!

次の瞬間、目の前に現れたのは一体の氷の彫像…


「たたき壊してやる!」

「ま、待って待って、ローランド待って!ちょ、待てよ!」


「ローランド殿待って欲しい。君の気持ちは嬉しいが君が手を汚すことをパウルは喜ばないだろう」

「パーヴェルが…、くっ!だが許せない!心身ともに疲弊したパーヴェルの弱みに付け込み、お、押し倒すなど…、駄目だ!やはり死あるのみ!」


「ええい!『アイスウォール!』」ゴッ!「ローランド落ち着いてってば!」


激高したローランドを目の当たりにして却って冷静になった僕とシュバルツ。だけどシュバルツの心中は穏やかじゃないだろう。


「彼はあれでも私の友人だった男だ。だが私は長い時間を共に居ながらまさか彼がパウルに不埒な想いを抱いていたと露ほども気づかなかった…。だからこそ私の手によってケリをつける。でなければパウルに顔向けが出来ないではないか!」


「シュバルツ殿…」


「リーフマン、君に決闘を申し込む。受けてくれるね」


もの言わぬ氷の彫像には白い手袋が投げつけられた。



この世界で決闘とは主に貴族間のみで行われる名誉の戦いであるが勝者が命まで取るか取らないかはその人次第である。


ほとんどは最後まで行くわけだがそうじゃなかったとしても相手は貴族。決闘で情けを掛けられ命拾いしたなどと知れ渡ろうものなら、その名誉は地の底まで失墜し社交界においてはほぼ死んだも同然の扱いを受けることになる。


官邸の中庭で繰り広げられた決闘はちょっとした騒ぎになったが、結果は…いうまでも無いよね?





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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