10 12歳
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
腹を割った話し合いは父の帰りを待ってから。もう一分一秒…我慢できない!
ゲームの設定だか何だか知らないけどいちいちいちいち…クソ女こっち見んな!
「この際だからハッキリ言います。僕はランカスターを継ぐ気はありません。ハミルトンの領主としてここを離れますので後はお二人でどうとでもなさって下さい」
「レジナルド!それは…」
父がそれでも僕を後継にと望むのはパーカーが馬鹿だから、だけではない。僕の持つ莫大なハミルトンの援助を引き上げられると困るからだ。
だから嫡子という言葉で繋ぎとめているつもりでいる。
そしてエバも…、本来ならあくまで生かさず殺さず、僕の遺言書をランカスターに有利なよう書き換えさせてからじっくり…ってのがゲームのやり口だったのに。
いつまでも心の折れない僕にエヴァの分別は霧散した。それがあの頭の悪い無分別な暗殺未遂(成功確率0.01%)だ。
「お父様には失望しました。愛人一人制御できないなんてがっかりです。お願いしましたよね?エバを抑えろって…。とにかく僕は放棄します。エバ、願いが叶って本望でしょ?」
「うぐ…」
エヴァにとっては渡りに船の継承権放棄。かと思いきや、さすがにこのタイミングでは手放しで喜べないよね?なにしろこの領の財政はハミルトンの以下略…
「言ったはずだエバ。いつか痛い目にあうってね。僕はいつだって出ていけたんだ。そうしなかったのはただの温情。僕が公爵位を欲してるなんて何で思った?こんな名前だけの爵位、欲しいと思ったことなんか一度も無い!」
「何ですって!…あなたはどうせ長くは生きられない、だからわからないのよ!公爵位にどれほどの価値があるか!」
酷い言い草だよ…。
「じゃぁ聞くけどどんな価値があるって?こんな財政の破綻した王家の掃き溜め」
その言葉に反応したのはエバでなくお父様だ。
「確かに…、ここが掃き溜めなのはその通りだ。だがそれでもここを離れて私に生きる道はない。お前はそんな私を馬鹿にするのだろうがね…」
「馬鹿になどしませんよ。呆れてるだけです」
貴族が貴族で無くなればそれは存在意義を失うも同然。厄介な人種だよ。
だがこの一件は僕に一筋の光明を見出してくれた。ウィルたちには感謝しなければ!
「…お父様、困窮の大きな原因が先代にある以上全てをお父様のせいだとは思いません。それにいきなり放り出される領民も可哀そうです。だから一つだけ救済策を差し上げます」
「救済策だと?」
「第四王女の幽閉先である不毛の荒野『ウエストエンド』。あそこをハミルトンで買い上げましょう。そこにあの二人をつけてくれるなら彼らに対する移籍金も上乗せします。どうせ持ってたって一円も生まない土地。良い話だと思いませんか?その資金を以てどうぞこのランカスターを立て直して下さい」
エバの顔は真剣だ。メリットとデメリット、大急ぎで皮算用を弾いている。
「何を考えているのだレジナルド…。あの山は少し調べたが何の資源も採掘出来ぬのだぞ。『不毛の荒野』その言葉の意味を考えよ」
「あら、賢いではありませんの。魔力暴走に備え自分で自分の幽閉先を用意なさるなんて」
「まぁそうですね。否定はしませんよ。あそこは僕に似合いの場所。それだけです」
魔力暴走…、それは父にとって忌むべきキーワードだ。己の父を、弟を、奪っていった魔力暴走…。父が僕を忌避する理由の一つ。
「レジナルド考え直さぬか?私とお前の間にさしたる親子の情があるとは思わぬ。だが『狂魔力』を持ち『不毛の荒野』へ出向くお前を哀れと思わぬわけではないのだ…」
「お父様…。その言葉が聞ければそれで充分です」
「お前にそこまでの覚悟がある以上私も腹をくくらねばならぬな。…向こう十年分の予算、それを一括でなら…」
「いいえ旦那様!十三…むこう十五年分よ!」
エーバー!今いいとこだったでしょうが!!!
「レジー!君は本気なのか!公爵位を放棄するだと !?」
お父様からの通達を受け血相を変えて飛んできたのはハミルトンの叔父様だ。
「そんな大声出さなくても…」
「大声で言わないと君には届かないのかと思ってね。公爵位を他の爵位と同じに考えてはいないかい?王家との繋がりを示す地位、それをみすみす捨てるというのか君は!」
「王家との繋がりって…、王家の掃き溜め呼ばわりされてまで固執する意味ありますか?第四王女の血だって残ってませんよ、とっくに」
「だからこそ君と王家の誰かとで婚姻を結ぶ予定でいたのだよ。そのための工作も進めていたというのに…」
「止めてくださいね」
王家との婚姻…?常に一手先を打つ叔父様らしい。けど…有能すぎるのも考えものだな。…危ない所だった…
「こんな事のために決定権を譲渡したわけでは無いのだがね」
「ものは考えようです。叔父様、あの船はすでに泥船ですよ?いくら父が頑張ったところであの悪女と極悪令息が居る以上潮目は変わりませんって。だったらとっとと逃げ出したほうが賢いって言うものです」
「ハミルトン伯爵!レジー様は僕と弟のために苦渋の選択をしてくださったのです!どうか、どうか責めるのならこの僕を!」
ウィルはほんとに自分を犠牲にするのが好きな子だな。こういう子はちゃんとした大人がついててあげないとすぐ騙されそうだ。
ちなみに僕は前世で成人式ももう終わってるから、保護者として条件は十分である。
「責めている訳では無いのだがね…。…まぁいい。レジー、君は本当に賢い子だ。君がそう言うならそうなんだろう。では爵位に関してはそれでいいとして、問題は『ウエストエンド』だ。あんな不毛の荒野にあんな値を払うなど…気が狂ったとしか思えない!」
まぁ…、普通ならそう思って当然だ。僕だってそう思う。でもあの更地が必要なんだよこの僕には。
街作りアドベンチャーゲームと言えば、どのタイトルだって最初はまさに草一つない荒野から始まるんだから。もしくは鬱蒼とした森林地帯とかね。
『ウエストエンド』はその両方の要素を持ち合わせてる、まさに理想的な開発拠点!
「叔父様、僕は『ウエストエンド』に移住するつもりです」
「な、何を言ってるんだ!」
「心配は無用です。叔父様、僕の魔力はすでに100(ウソ。もっと上)。そして実はここだけの話ですが…」
広大なハミルトンを母と共に、そして今は僕の代理として豊かに栄えさせている叔父さんは人格的にも能力的にも信用のおける人物だ。
その口は堅く、利益不利益を瞬時に読み取り決して余計なことはさえずらない。
そこで意を決し、自分のレベルがすでに勇者クラス(ウソ。もっと上)であること、いくつかの有用な魔法スキルがあること(さすがにフルカンストフルコンプとは言えなかった)、とても貴重な鉱物や十分な財を手に入れてあることなどをついに白状した。
そうじゃなきゃさすがに十二歳の少年を草一つ生えない荒野に送り出す、なんて決断は出来ないだろうから。
「抜きんでて賢いとは思っていたが…。だからと言って…いやしかし…」
「叔父様。僕にはもういくつかの策があります。どうか信じてくださいませんか?それからウィル。君は一緒に来てくれるよね?」
「ぼ、僕を一緒に?ああっ!」
え?ええ?えええ?そ、そんなに号泣しなくても…それほど嫌だった?
「感動で胸が張り裂けそうです!全て僕にお任せください!レジー様には何一つ不自由なんてさせませんから!」
あ、OKだったみたい。良かった…
毎日更新を目指しています。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




