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106 17歳 I'm back エトゥーリア

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


アルバートの頑張りとローランドによる左大臣への働きかけ、次代を担う二人の熱意が功を奏して、クラレンスの議会はエトゥーリアへの介入にかなり乗り気なようだ。


でもここに来て予定外だったのがその件にウルグレイス神王国までもが名を挙げたこと。


一口噛ませろって事だね。…えーと…誰だ!その話を漏らしたのは!


「でも情報抜けるの早くない?早馬を出したってこんなに早くは…」


「坊ちゃま、あの国は神の使いとして特殊な使役魔法を用い魔鳥クルッポーを飼いならしておるのです。」

「え?」


まさかの伝書鳩…


「ジェイコブ、じゃぁあれも?」


「はっ。クラレンス王都にはウルグレイスの領事館がございますので。ですから坊ちゃまの命である『クーザ』の地下組織にウルグレイスが狙われておった事や、その一端をセザール様が食い止めたことなどの注進は、全て時間のかかる本国でなく領事館へと文を送っております」


街道を使った陸路で2か月以上、早馬で1ヶ月ほどかかる王都とウルグレイス間が、クルッポーを使うとたった三日なんだとか。


「クラレンスでは普及してないよね?」

「あれはウルグレイス本神殿の特別な魔法陣により使役されているのですよ」


うーん、残念。


しかし神の使いねぇ…、鳩はけっこう狂暴なのに。


縄張り意識が強く闘争本能剥き出しの鳩、そう考えるとプライドが高くわりと排他的で、神の国を称しながらもすぐ武力に物を言わせるウルグレイス神王国にクルッポーはぴったりのシンボルかもしれない…


「坊ちゃま、大変申し上げにくいのですがエトゥーリアの件は宮廷から漏れたのではなくウルグレイスが坊ちゃまにつけた密偵からではないかと…」

「密偵 !? 何それクラウス!どういう事?」


「かの国の神王は坊ちゃまに関心がおありのようですな。ランカスター周辺をウロウロしておりましたぞ」

「関心って…ゴクリ…狂魔力に?」

「いえ、その…実は捕らえた密偵よりこのようなものを渡されまして…」


「何々…?ウルグレイス王女の釣り書き…」


情報漏洩の犯人は僕…。じゃなくて!


バシィ!「もういい!王女はお腹いっぱいだよ!」



釣り書きはともかく、下手にウルグレイスと揉めて干渉戦争見たくなっては目も当てられない。あの国はセザールの母国。友好国でもあることだしここは穏便にエトゥーリアをシェアする方向でどうだろう?


二つの大国に食い物にされる予定のエトゥーリアも気の毒に。

けど僕はあの国がシュバルツたちを見殺しにしたこと今も許してはいない。ざまーみろ。


例え傀儡の国になったとしても、そこに住む人たちさえ平和になるなら結果オーライだと信じている!




そんなこんなで所変わってここは久しぶりのエトゥーリア。

敢えてどこかは言わないが、決起した改革貴族一派の集まる隠れ家だ。


クラレンスとウルグレイスの騎士が秘密裏にエトゥーリア入りするまで今暫くの時間がかかるだろう。

そこで一足先にシュバルツの名誉回復、要するにクーデンホーフ家の爵位奪還に向けて地固めをしておこうって寸法ね。


お供は言わずと知れた…ヴォルフさん。ここを見つけ出してくれたのも勿論彼だ。



「優生学に取りつかれた選民思想のロートリンゲンをこれ以上のさばらせるな!」

「軍部を議会から切り離すのだ!」

「権限の所在をはっきりさせよ!」

「旧体制派の横暴をこれ以上許すわけにはいかぬ!」


幾つもの気勢が上がる。革命前夜のフランスなんかもこんな感じだったのだろう。



「人間とは面倒なものだな。不要な富を得ようとするからいつもこうなる」


「あいたたた、耳が痛い。けどその不要な富も使い道次第だよ。少なくともウエストエンドは金満だけどばらまき方は間違えてない。そうでしょ?」

「ふっ、そうだな。ではこの件が済んだら謝礼として特上のカトブレパス肉を1キロ用意してもらおうか。それこそが正しい使い方だ」


孤高の、いや、孤独のグルメオオカミめ…



ここで僕はイーサン先生のポーションを取り出した。知れたこと、変装のためだ。

改良を重ね2時間ほど持続できるようになった偽装ポーション。僕はそれで髪と瞳の色を前世と同じ黒に変えると、今度は去年の誕生日に貰ったポーションを二本ほど飲んで、前世と同じ歳になるよう4歳ほど年上に…あ、あれ?


「あー!間違えて赤いポーション飲んじゃったよ!」

「赤と青で何が違う」

「赤は若返るほうで…、ええいもういい!行くよ!」



4歳程若返った僕は大きな白狼を従えその隠れ家へと姿を現した。

狼を連れた子供がいきなり現れたらビックリするのは普通じゃん?でもなーんか反応がおかしいんだよね…?


彼らは驚きつつもワラワラと僕を囲んで拝んだり土下座したりと、泣きながら慌てふためき取り乱したのだ。


ええっ?狂魔力の継承者ってバレちゃったかな?


「もしやあなたは以前この地に降り立ったという死の天使ザラキエル…っ!」

「間違いない!黒い瞳、漆黒の髪、そしてこの美貌!」

「お供に連れた白狼も同じ…」

「で、では本物のザラキエル…、な、何故ここに!?」

「我らも連れていかれるおつもりか!クーデンホーフの息子を連れていかれたように!」

「何故だ!何故ロートリンゲンでないのだ!」


大混乱である…


「いいから黙れ!!!」


ヴォルフの一喝で縮み上がった彼ら。

なんとか落ち着いたのを見計らって話を聞けば、なんと四年前のあの日、僕と悪人の一戦を木の上で隠れ見ていた人物が居たんだとか。


そしてその人物は子供の遊技の様にヒラリヒラリと悪人を躱す僕の姿も、僕やパーヴェルを背中に乗せた白いオオカミが地面の中へと吸い込まれるところも全て見届けていたのだ。


地面の裂け目へ落下したと結論付けられたあの事故。それでも目撃者は「あれは落下じゃない!一瞬にして消えたんだ!」と、まるでお化けでも見たかのように震え上がっていたらしい。


それを裏書きするようにエトゥーリアのそこここで嘆き悲しむ戦争遺族に「死者に会いたいか?」と訪ねて歩くローブで顔を隠した黒髪の少年が目撃されているわ、白いオオカミが修道院で死にかけているクーデンホーフの息子を迎えに来たなどと言った目撃情報もあるわで…


あ、あれ?


再びこの国を襲った局部的な大地震の後、皆が落下事故と目撃者の証言を思い出し、そこからまことしやかに一つの噂が流れるようになったのだとか。


「あの白いオオカミを連れた黒髪の美しい少年は憐れな魂をあの世へと導く死の天使『ザラキエル』だ!」

「ロートリンゲン侯爵とウォーデモン大商会が地震により半壊したのは大天使ザラキエル様が天罰をくだされたのだ!」


…こ、これも風評被害…?的な…?





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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