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103 17歳 in 本邸サロン

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


内乱とはゲスマンやナバテアと言った独裁国家でこそ起こりそうなものだが、実は未成熟な共和国に多かったりする。

一部分だけ民主主義でいてその実一握りの権力者が政を牛耳るという構図、これこそが人々を反乱へと駆り立てやすいのだ。

ゲスマンみたいなピラミッドのはっきりした国じゃ、却って皇帝を恐れ誰も逆らわないからね…


ここからがこの日小耳に挟んだ話。


ナバテアではベルト地帯の封印が長年の劣化で緩み、いよいよヤバい状態になっているらしい。

確かにドンキーさんたちを助けに行った時も樹海からは魔獣が漏れ出ていた。いよいよヤバイという事は、あれよりひどい状態になってるってことか。そりゃヤバイ。


そしてエトゥーリア。あの国の沖には、ベルト地帯の海洋版ともいえる暗黒海域があり、その中心となる魔島には海洋型魔獣が生息している。

そこでエトゥーリアもまた、封印が緩みつつあるその島に対し封印を強化したいと考えていたそうだ。


戦争を続ける二国は利害の一致を見て二年間の休戦協定を結んだようだ。

人間よりもさらに上位の脅威にさらされていては戦争に集中できないってわけだね。


そうして両国とも現在急ピッチで封印の強化に注力しているのだが、こうなってくると戦争の緊張から一息ついた民の不満は「権力に執着した国内の癌」へと向けられる。


エトゥーリアの軍事をまるで己の手足のように私欲で使い、独裁的に議会を支配し続けたロートリンゲン侯爵家。(シュバルツたちを嵌めた貴族ね)

あいつとあいつに組した一派に踏みつけにされ煮え湯を飲まされ、中央から排除されていた国の未来を憂う志の高い革新派は、今しか無いとばかりに水面下で決起して一斉に反旗を翻したのだ。



「へぇ…、今そんなことが起きてるんだ…」

「あの国も大変なことだ。ナバテアの脅威、魔島の脅威、そこに来て内乱とは…」


「アルバート、そうは言うけどクラレンスだってその火種はありますからね。ゲスマンの動向、ベルト地帯、貴族間の小競り合い、他人事じゃない」


「その通りだ。だからこそ君が狂魔力を完全制御しベルト地帯を封じてくれたことは僥倖だったのだよ。ついでに言うとむしろ今では君こそが王国にとって最大の脅威になり得る、王も宮廷もそれだけの冷遇をしてきた自覚はあるからね。そうなったら貴族間の小競り合いどころではすまない、そうだろう?」


「よくお分かりですね。でも僕は忙しいからそんなことに時間も労力も割きませんよ?」

「だが安心出来るに越したことはない。民にも王家と君の間には確執などないのだと分かりやすく示しておいた方が良い。父はそうお考えだ」


「それで婚姻ですか…」


勝手だなぁ…と、思わなくもないがこれも一種の政略結婚、そう思えば理解はできる。平安時代から戦国時代、果ては現代においてもこれはもっとも分かりやすい友好の証。



王の思惑は分かった。


が、今問題なのはエトゥーリア共和国だ。

シュバルツ…、これは彼にとっても千載一遇のチャンスなのだろうか…?この機に乗じて…とか有りだろうか?

彼はこの話を聞いてどう思うのだろうか…



「どうしたの?疲れたのかい?」

「ええ少し。何しろ三日目なので…ふぅ…」


おっといけない。その件はまた後でだ。


「気怠そうな君も実に魅力的だ。ほら見てごらん?皆愁いを帯びた君に目が釘付けじゃないか」


愁いって…、愁いてるのは胃腸なんだけど…。


「やあレジナルド。随分だらしない姿じゃないか」

「僕の三日間を知ったらそうは言えないと思うよ?」


真夏でもボタンをきっちり留めるタイプのローランドにはベルトを緩めた僕の姿が許せないらしい。


「まぁいい。頼まれたようにコリンには私の古い魔法学の教科書を渡しておいた。あれには私の個人的な補足が書き足してある。入学までには基礎知識も追いつくだろう」

「ありがとうローランド。助かるよ」


ニコが言ってたんだよね。ローランドの教科書にはびっしり書き込みがしてあるって。それで聖女は入学直後の試験を乗り切ったって。


何しろ僕は裏知識でダンジョンを攻略してレベルを上げてきた外道だ。

クラウスをはじめとしたみんなも、僕がいつの間にか大魔法を会得していても『狂魔力』を理由に疑問も持たなかったみたいだし。

そんなわけで僕にはコリンに魔法の基礎とか知識を教えることなど出来ないのだよ。しょぼん…


「その代わりと言っては何だが…今夜…良いだろうか?」

「あーはいはい」


誤解を招きかねないセリフだが、これは単にウエストエンドへ一緒に連れていけ、と言う意味である。

どうせアルバートも来たがるだろうしそれは良いんだけど…、ローランドともエトゥーリアの情報は共有すべきだろう。


「ローランド、良かったら少し話したい。大事な話だよ。事はパーヴェルにも関わる…」

「パーヴェルに…分かった…」



「何のことだ!」とムキになって詰め寄るアルバート。ええい!一国の王子様に言えるもんか!

これはあくまでも僕個人の抱えた秘密。アルバートのことは信用してるけど王太子である彼に知られたら後々どう影響してくるか分からないじゃないか。


「アルバート、確かに秘密の共有とは甘美な響きですよね。でもそれ以上に刺激的なのが適度な秘密です。フルオープンなんてなにもドキドキしない…。分かりますか?」


「…分かる気がする…」

「でしょ?その代わり一つだけ教えといてあげますね。ローランドの想い人は裁判所の麗人ですよ」

「ばっ!馬鹿か君は!何を言うんだ!」


「あの淡いベージュ髪の…、そ、そうか!それならばゆっくり話すと良い。ローランドの恋路に関わる大事な話しなのだろう?」


うちの王子様って本当に扱いやすい…

でもローランドからは殺気を感じる。いいじゃん、別にバラしたって。




貴族のマナーとは面倒なもので下位の者から上位の者へと許可なく声を掛けたりは出来なかったりする。


僕は通常平等とか公平とかを美徳としている前世持ちだが、決してこの世界の価値観を軽視している訳ではない。

郷に入れば郷に従え、一歩ウエストエンドの外へ出たならきちんと貴族的なマナーは守るよう心掛けている。

つまり偉い人として偉ぶってます。


その前提で、第一王子と公爵家当主、おまけの筆頭侯爵家嫡子が話し込んでる場面に割って入る無作法者など居やしない。

僕たちは遠慮なく内乱について話し合っていた。


「小耳には挟んでいたが、エトゥーリア共和国…、父を含めた我が国の官吏はかの地にあまり関心が無いようだ」

「まあウルグレイス神王国と違い友好国という訳でもないのでね」


「へー、そうなの?規模は違えどウルグレイス神王国と似たような国なのに…」

「ウルグレイスとは対ゲスマンを見据えて友好協定を結んでいるんだよ」


クラレンス王国はゲスマンとの間に火種を抱えている…


「いざとなったら挟み撃ちってことか…」


そこへいくとエトゥーリア共和国の敵対国は血の気の多いナバテア帝国であり、何よりベルト地帯を挟む立地のあそこは、このクラレンスにとって敵対国になりえない。


そしてエトゥーリア。

往来には中立国のトラキアを横切る必要があるうえあそこは小国だ。

ゲーム本編にも出てこなかった地味な国だし、クラレンス王国にとってエトゥーリア共和国とは日本から見た北マケドニアのようなもの。名前を聞いたら「ああ!」と思うがこれと言ってとくに接点も無いような…


近しい文化を持つ国だし何かあれば物資支援する程度の国交はあるが、でもそれだけ。国として平時の行き来はほとんどないのが実情だ。


さあどうする?





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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