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102.5 ロシアンルーレット

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


お屋敷とうって変わってダウンタウンらしい活気に満ちたその場所。

ウエストエンドの原点ともいうべき、それが愉快な共同食堂。


夕暮れを迎え、今ここには多くの領民達が集まっている。もちろん僕の十七歳を祝うためだ。


そしてそこにはアーニーやヴォルフも雁首を並べている。

ふっ…待たせたね二人とも。


僕はオスカー、セザールを引き連れ、下心満載でこの食堂へと足を運んでいた。そう。いつかの雪辱を晴らす為に…!


後ろには頼んだ大荷物を運ぶ三人。ウィルとバイヤール、そして美丈夫な水の騎士アストルフォだ。


どうでもいい事だがアストルフォに元第一の騎士だったガルス、マックールを加えた三人がウエストエンド騎士団の三大美形と言われている。当然領内の女性からキャーキャー騒がれているが、僕はロジェやバイヤール当たりもなかなかだと思っている。



「おいレジー、大勢集まってるけど今日はあれやらないのか?」

「あれ?」

「王様ゲームの事だよ」


「ああ、今日はやらないよ。何故か僕だけ疲れるし。それよりもっと面白いゲームをしようか」

「面白いゲーム?」


「ウィル、準備宜しく」

「はい、レジー様」


何しろアーニー、ヴォルフの不埒な二人に、僕はダンジョンランドでのお仕置きをしなくてはならない。


そこでお屋敷のシェフに頼んで熱々スープが口中に広がる小籠包や、トマトとチーズが豊潤なハーモニーを奏でるマルゲリータや、濃厚なカスタードクリームが舌を蕩けさすプチシューなどを作ってもらい、超激熱スープの入った小籠包もどきや、トマトに見せかけてカプサイシンで真っ赤になったピザ、カスタードの代わりにマスタードの入ったプチシューなどを、まともな料理の中にいくつか混ぜてもらったのだ。


おっと!食べ物ばかりと思っちゃいけないよ?ここにはエールに見せかけてとっても苦い生薬であるゲンチアナ(味はせんぶりに似てるかな?)を煎じてお茶にしたうえ炭酸で割ったものも用意してあるのだが、これは笑えるほど苦いけど胃腸に良い優れものである。


そしてここがポイント。僕は本日透過の魔法を使わせてもらう予定だ。え?ズルいって?だけど今日の僕は主賓だからね。これくらいいいよね?



「いくよみんな。恐怖のロシアンルーレット大会の始まりだー!」


なんだなんだと興味深そうな酔っ払いたちが僕の周りに集まって来る。アーニーとヴォルフは問答無用でステイだ。


「おいレジナルド、何をさせるつもりだ」

「そんな顔しなくても大丈夫だって。お料理食べるだけだから」


「何を考えてやがる…」

「何も考えて無いって。疑り深いなぁ」


ウィルによって並べられた料理を前に僕はルールを説明していく。


「いい?ここに広げられた美味しそうな料理にはいくつか罠を仕掛けてある。罠って言っても辛かったり熱かったりするだけだから安心して」


「罠…?」


「それをお皿が空になるまで食べ進めて行って誰がその罠に引っかかってるかをゲームの回答者には反応だけ見て当ててもらう。当然食べた人はそれを知られないようにしなくちゃならない」


「ほう…、当て物か…」


「当たった回答者には都度この僕の顔が彫られたメダルを進呈する。これは領内のダウンタウンでのみ使えるよ。正解者が居なかったらメダルはチャレンジャーに進呈される。そしてメダルを5枚集めると本物の金貨に換金、」


「うおー!レジー様のメダルだー!」

「一生使えねー!」


「いやだから集めて金貨をね…」


「お守りとして寝室に飾るか!」

「馬鹿言え!ペンダントにして胸に飾るにきまってんだろうが!」


「換金…」

「レジー様用意出来ました。はじめましょう」


ま、まぁ盛り上がってるから良いか…



一度に全員では混乱するので回答者はとりあえず入れ替え制の十名である。

その中には何ひとつ見逃さないメガネザル獣人のファービーさんなんかも混ざっている。うーん、強敵か?


そして一列に並んだチャレンジャーは僕の指名でアーニー、ヴォルフ、自主参加のオスカー、セザール、そして…この僕ね、ニヤリ…


チャレンジャーが食べ終わったらゲームの回答者はその後ろに並ぶって寸法だ。

だましだまされ丁々発止の駆け引き。きっとみんな楽しめるに違いない。そして密かに僕も留飲を下げる、と。うん。いい計画だ。



そして先ずは一回戦め。僕は透過の魔法で中身を…中身?


あー!!!熱々スープも超激熱スープも見た目に違いがない!!!え?も、もしかして他も?

あ…、トマトソースと激辛チリソース…。それにカスタードと辛子の激似っぷりったら…。シェフ…腕良すぎでしょ…


つ、詰んだ…。透過さえすれば楽勝だと思ったのに…僕のバカ。ズルしようとしたから罰が当たったのか!


だけど席についてしまった以上今更撤回はできない。ご当主様の名誉にかけて!

ぐ、ぐぬぬ…これは正攻法で挑め、と、そういう事か…


「レジー様どうしました?」

「ウィル…、ううん、なんでもないよ。さぁやろうか」



結果がお知りになりたいだろうか…?本当に…?


10回戦が終わったところで激辛料理を食べたのは、またギャラリーを騙しきったのは…


ヴォルフ 10勝

オスカー 9勝一敗


「俺がこの程度見抜けないとでも思ったか。お前は愚かだな」

「ぐ…」


「あー、俺も激辛ピザ当たりたかったよなー」

「はぁ?」


ヴォルフはまだわかるよ?すっかり忘れてたけど嗅覚とかすごいし。でもオスカーってば何あれ?何の神様に守られてんの?


セザール 7勝3敗


「取り乱すのは優雅でないからね」

「そうですね…」


彼はマスタードのプチシューを何度も口にしながらそれはもう優雅にポーカーフェイスを決め涼しい顔を崩さず、結果3枚のメダルを手に入れた。


そして僕とアーニーときたら…


「あっつ!!」

「うわ!吐き出すんじゃねぇよ!」

「いや無理だから!」


「………」

「アーニー、涼しい顔してるけど汗すごいよ?」

「う、うるせぇ…」


ゴクッ「ブー!!!!」

「きったねぇな」ゴクリ「ぶはっ!!!」



2勝8敗のアーニーと1勝9敗の僕。

残念ながらリベンジならず。けどアーニーにだけはダンジョンランドのお仕置きが出来たと思いたい。



でもまあ、面白い遊びを手に入れたと領民たちがおおはしゃぎ。

真似して料理を持ち寄っては新たな娯楽に盛り上がっていたからいたから良しとしよう…




毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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