101 16歳 at ウエディングパーティ
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
さて、披露宴の始まりは僕からのウェルカムスピーチが合図となる。
エントランス正面に急遽作成された花のアーチ。そこをくぐって姿を現すのは王子様とお姫様。この場合お姫さまはリアルに本物だけどね。
「皆様、愛と幸福に包まれた新郎新婦が入場です。盛大な拍手でお迎えください。」
屋外ならではのバブルシャワーをくぐった先に待つのは自然の樹木を利用して幾重にもかけられた繊細なシルクシフォンの天蓋。
うっすらと頬を染めた世界で一番幸せそうな二人が見つめ合いながらその下に立つ。
アルバートからの心のこもった温かい挨拶。
新郎新婦からゲストへの感謝に満ちた挨拶。
そしてシャンパンタワーを経てのカンパイが終わったらよくやく一息である。
そこまで来たら後は思い思いに歓談の時間、主賓近くにはこの日の為に鍛え上げたピアノ、フルート、バイオリンの三重奏楽団が美しい音色を奏でている。
広い庭の各所ではこの日の為に特訓した道化師や曲芸師たちが手品やジャグリングといった余興を披露しゲストの目を楽しませる。あ、ついでに僕によるカップスタッキングもね。
司会進行が何してるって?…いや、前世で練習してたからどうしても披露したくて…。でも見てよ?大受けだよ?
だがまだだ。まだ終わらんよ。パーティーはここから後半へと突入だ。
ここで満を持してユニティキャンドルセレモニーの投入!この世界にはないはずの厳粛かつ神聖なセレモニー。
儀式用のカズラに身を包んだニコが王家の刻印、そしてナヴァル侯爵家の刻印が入ったキャンドルを二人の前に灯していく。
そして中央に置かれた、二人の名を刻んだまだ無灯火のキャンドルへとその小さな灯を移していくのだ。
「これは各々が受け継いできた生家のキャンドルの火を、二人で新たな一つのキャンドルに灯すという未来に向けたセレモニーです。ぜひその記念すべき瞬間をお見守り下さい」
令嬢方はため息をつきながらうっとりと魅入っている。狙い通りだ…
その厳かな儀式を静かに見守ったら再度の歓談タイムへと入って行く。
だけど今度はダンスタイム付き。
色とりどりの花びらが舞う中ロマンチックなファーストダンスが終われば、招待客たちも思い思いにダンスに興じ、ここからパーティーはセレモニー感が薄れ招待客が中心となっていく。
因みにこの宴はこのまま夜まで続くからね。前世の披露宴とは気合が違うのだよ。気合いが。
キリが無いので新郎新婦にはそろそろ退場していただく運びである。
「皆さま、風船は行き渡りましたか?では若いお二人の更なる飛躍をお手元の風船になぞらえご祝福ください!」
一斉に空へと放たれる色とりどりの風船。きっとダウンタウンでは今頃子供たちが風に乗って飛んできた風船を捕まえようと躍起になっているに違いない。
いよいよラスト、退出直前、振り返った新婦から投げられるのは言わずと知れたウェディングブーケ!
「ご令嬢の皆さま、このブーケトスはキャッチした人が次の花嫁と言われております。どうぞこぞって前へ!」
これには女性陣が大喜びだ!
「きゃぁぁぁ!」
「わたくしによこしなさい!」
「取ったわー!わたくしよ!次はわたくしですわー!」
「くっー!」
てなわけでここから新郎新婦はまったり大人の時間。貴族の婚姻とはここからが本番である。
そしてこちらもまた、ウェディングパーティーの招待客は合コンの参加者へと進化を遂げる。
ヤバイ。あっちからもこっちからも視線を感じる。
特に第三王女と第四王女のまるでマタギのような視線がコワイ…。捕まったら最後、何か大切なものを奪われそうな気がする…
こういったときは誰も物申せぬ権力者の側に居るのが一番だ。そしてこの場で一番の権力者と言ったら…
ツンツン「アルバート、少しお話ししない?出来たら二人っきりで」
「あ、ああ!嬉しいよレジー。もちろんだとも!では私の部屋へでも行くかい?」
「そうしたいのはヤマヤマなんですけどぉ…僕は本日の進行係だからここを離れるわけにはいきません。」キッパリ
「あ…」シュン…
あからさまにがっかりするのヤメテよね。
そんなアルバートに僕は愚痴った。
どいつもこいつもつい数年前まで狂魔力の継承者、と忌避してたくせにこの手の平返し。特に王女様方は今までを考えてもあまりに節操ないんじゃないかと。
何故なら僕は叔父様から聞いているのだ。まだランカスター領に居た幼い僕に沸き上がった王女との婚約、それが実現しなかったのは僕の意向だけでなく王女方が誰一人首を縦に振らなかったせいもあるんだって。
おかげで助かったっちゃー助かったけど。
「君の気持ちは分かる。しかし誰もが君を手に入れたがるのも無理はない。君はハミルトン、ウエストエンド、そして生まれ変わったランカスターと、今やこの国一番の領地を抱えているからね」
「大貴族なら他にもいるでしょう?大公家とかアルバートの叔父様が当主の公爵家とかローランドのカニンガム家も相当の資産だとふんでますけど…」
「…不愉快なことだが最も彼らを引き付けて離さないのが君のこの美貌だ。誰だって側に置きたがる」
なぬっ?
ヒロイン補正で底上げされた美貌うんぬんなんて全然嬉しくない!けど、要するにトロフィーワイフ及びトロフィーハズバンドってことか…
「だが王女たちはまた別だよ。制御された狂魔力の継承者である君の伴侶となった者は宮廷での地位、発言力が増すだろう。そういうことだ」
地位…発言力…、つまり『僕を制するものは宮廷を制す』という訳か…。嫌だな。当たりの宝くじにでもなった気分だ。
「言っておくが私が君を愛しく思う理由はそんなものではないよ。何と言うか…一目惚れとでも言おうか。…ふふ、照れてしまうね、こういうのは」
「あーはいはい」
だけど言われて見れば確かに。
初対面から妙に馴れ馴れしかったアルバートが、まだ僕への偏見が溶け切れていなかった時から妙にスキンシップの激しかったアルバートが、少しばかり自他の境界線が曖昧なアルバートが王家の中では一番マシなんじゃないだろうか?
語弊があるな。第二第三王子も良い方だけど…今一存在感が薄い。今もそこで甘いものを別腹にしている第五王女の方がキャラが濃いぐらいだ。
色々とその、激しい思い込みやすぐ脱がせようとする裸族的な感性にツッコミどころはあるものの、僕は裏表のないアルバートの評定をまたまた一段階引き上げることにした。
こうして僕の目論見通り、第二王女のウエディングパーティーを転機にウエストエンドへ入領出来る事、そしてヴィラを貸し切り宴を催す事が、いわゆる意識高い系富裕層にとって自身のステイタスを爆上げする、ある種の品質保証( I S O )になっていったのだった。
毎日更新を目指しています。
お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)
この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




