94 16歳 Ta da! ダンジョンランド
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
「コリンの手伝ってくれたダンジョンランドがようやく出来上がったよ。お試しがてら遊んでみようかと思ってて…。ウィルと一緒に行く?」
「え…?でもダンジョンには魔物がいるのですよね?」
「マイコニドとかミニゴーレムみたいな害のそれほど無い子供向けのエリアもあるよ?」
他もスパイダーとかスコーピオンとか、いるのは万が一刺されても解毒ポーションの効く魔物ばかりだ。
水回りのゾンビパイレーツとかゴースト船長とかも見た目のわりにクソ弱い雑魚だし。
一応アミューズメントだからね。スリルをキープしつつも一撃必殺の即死攻撃が無い魔物しか設置していない。これも危機管理だよ。
「でも…」
「分かった。じゃぁもうちょっと魔法の練習してからにしようか。でもせっかくだからオープン前には一度行こうね。安全なとこだけでも」
「は、はい」
コリンとウィルの想像力、それは僕の思い出とエンカウントして素晴らしいアトラクションへと昇華した。
先ずは山側。
その疑似ダンジョンでは岩山の内部をトロッコに乗って爆走しつつ、途中襲い掛かるスパイダーやスコーピオン、スケルトンの群れを撃退し、そしてゴール直前、山の断崖を猛スピードで急降下していくという刺激をトッピング。
名付けて『インディ・サンダーマウンテン』
お次は川側。
こちら水の疑似ダンジョンではボートに乗って激流を下りながらゾンビパイレーツやゴースト船長の攻撃を躱し、ランダムに起こる火山の噴火によるスリルを飛んでくる火の玉を避けながら楽しむ親切設計。
名付けて『センター・オブ・ジ・カリビアン』
おっとっと、ファミリー向けの触れ合いダンジョンも用意したよ?
鬱蒼としたジャングル地帯を流れる緩やかな川を、カヌーに乗って進みながら害のないホーンラビットや筋トレするリスと言った小魔獣を観察したり、泥団子を投げつけて来るミニゴーレムと同じく泥団子で合戦したり、笑いの止まらなくなる胞子をまき散らしながら踊り狂う迷惑なマイコニドたちのショー(?)を楽しんだりという微笑ましいダンジョン体験。
名付けて『魅惑のジャングルクルーズ』
ウエストエンドからの出入り口であるミ〇ーの家ならぬ『レジー君の家』は、併設の厩舎と御者の小屋もキノコ型でそろえてまるでトゥーンタウンである。スタッフオンリーの立ち入り禁止区域ではあるがその周囲一面は花に囲まれ雰囲気作りに一役買っている。
僕は新しいランカスター公爵領名物、『東領ダンジョンランド』の成功を信じて疑わない。
あとは誰かに実際試してもらって意見を聞いて、微調整して最後の仕上げだ。でも誰に…?
丁度良いタイミングで今ウエストエンドにはオスカーたちが来ている…、が、彼らは貴公子。何かあったらお家の問題になる。
帰る前に一度体験してもらうにしても、出来たらその前に内輪で一度確認したい。
騎士たちはどうだろう…?
ダメダメ!うちの騎士たちってばもともと強いのに『強化のダンジョン』行きだしてから益々魔法レベルが上がって今じゃSランクが当たり前の猛者ぞろい。勢い余ってOPEN前に破壊されそう…
非魔法使いで強そうなのと言ったら…ヴォルフ?うんうんバッチリ。
でもヴォルフはちょっと反則級チートかな?
じゃぁ一般人代表でアーニーも連れてく?アーニーなら怖いのとか平気そうだし僕の狙うターゲット層にもピッタリ!
そうだ!夜目の利くシャリムを連れてって暗闇に危険な個所がないかチェック手伝ってもらおう!ナイフみたいに出っ張った岩とか地面の緩んだ箇所とか…。お客様の安全は大切だからね。
…っていっても基本自己責任のアトラクション群なんだけど。
この世界のアミューズメントは最悪ポーション頼みの鬼仕様である。
「そうと決まれば三人を呼んでこなくちゃ」
僕はいつになく心が躍った。それはダンジョンランドが楽しみだから、だけでなく、大好きな僕の愛犬、愛猫、愛梟とお出かけが出来るからだ。
…一抹の不安はあったりするけど…
「で?忙しい俺を無理やり引っ張ってきてここで何しろって?」
「一通り楽しんでもらって忌憚のないご意見聞かせてもらえれば」
「なんでいんの…こいつヤダ…」
「でもシャリム、非魔法使いの人間種でそこそこ危険に耐性あるのアーニーくらいしか。エトゥーリアのもと農民兵はあそこから出せないし…。ケンカしないでよね」
「シャリム、アーニー、何してもいいが俺に迷惑かけるなよ」
「かけねぇよ、くそオオカミ!」
「あっちいけヴォルフ…」
…ケンカするわりに息ピッタリ。
さて、先ずは『インディ・サンダーマウンテン』、その後『センター・オブ・ジ・カリビアン』最後に『魅惑のジャングルクルーズ』をまわる予定である。
アーニーには非魔法使い用アトラクション魔道具、『ハリケーンナックル』を装着してもらった。
これは猫の爪みたいな突起の付いたナックル、メリケンサックと言ったら分かりやすいだろうか?に、風魔法の付与を与えた魔道具であり、えーと、いわゆる猫パンチみたいな動作で半円状のエアカッターが繰り出されるという…
ぷぷ…アーニーにぴったり…。可愛い…
「ふざけんな!もっと分かりやすい武器は無いのかよ!ナイフとかダガーとか!」
「近接武器ばっかりじゃん、それ。距離とって退治してよ。トロッコから降りるの禁止だからね」
「かっこわりい…」
「かっこわるい…黒猫にぴったり…」ドカッ「痛い…何するの…」ユラ…
「シャリム!いちいち魔力漏らすな!アーニー!お前も相手にするな!」
「…うるさい…」
「…うるせぇ…」
やっぱり息ピッタリ。
こっそり聞いたことだがどうもヴォルフとシャリムはランカスターの潜入捜査中に何度か遣り合ったみたいだ。
シャリムは闇魔法の使い手だしけっこう強いんじゃないかと思うんだけど…、でも獣人族の中でも完全獣化の出来るヴォルフの力は普通の獣人よりも普通の獣とは比較にならないほど強い。その戦闘センスも相まってまだまだ未熟なシャリムでは敵わなかったとか。
そんな訳でシャリムはヴォルフにあまり反抗しない。
そして一見若者に見えても獣人年齢五十歳を超えるヴォルフ相手にどれほど文句を言ったところで若造アーニーも結局遣り込められる。
二人対一人の間には確固たる力関係があるのだ。
「とりあえず一番難関『インディ・サンダーマウンテン』からね。アーニー右宜しく。ヴォルフ後方を頼むね。シャリムは言ったように四方の危険個所をくまなくチェックして。残りは僕が。さぁ、しゅっぱーつ!」
今この瞬間、この世界初の絶叫系アミューズメント、『東領ダンジョンランド』が産声を上げようとしている!
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




