92 16歳 in 平和な時間
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
「ジェイコブ、クラウス、実はね、王都への訪問で僕は大きな成果を上げてきたんだ」
父の件が片付いたところでランカスターは一旦棚上げして今度はウエストエンドのターン。
僕は若干どや顔しながらある報告をするため口火を切った。
「それは社交界デビューのことでございますかな。坊ちゃまのお姿をその目にしてヴィラへの問い合わせが山のようにきておりますぞ」
「支配人と打ち合わせのうえ厳選してね。怪しそうな人はゴーディーに確認して。でもそれじゃなくてね」
「と言いますと?」
「実は第二王女の結婚式をヴィラで挙げることが決まったんだ。いやー、プレゼン頑張っちゃったよ。半年以上先だけど、でもでっかい案件だよ。絶対失敗できない。分かるよね?」
パチパチパチパチ…僕は自分自身に喝采した。
「おお!それは素晴らしい!」
「それはまた何という誇らしき偉業でしょうか。坊ちゃま、立派になられて…」ホロリ…
「止めてよジェイコブ、いつまでも子ども扱いしないでよね。でもほんと、このお式は今までにない宣伝になる。相当重要なゲストが集まるだろうし、これが成功すれば今後バンケット希望が増えるはずだ」
「ゲスト…、そうしますとヴィラでは部屋が足りませぬな」
「おっ、クラウス良い着眼点だね」
「その素振り…、すでにお考えがあるのですな」
まさにそれこそが今日の本題。ウエストエンドを更に一段階引き上げるための方策である。
「レジー様、アーニーが到着しました」
「待ってたよ。すぐに通して!」
建築の責任者であるアーニー。ここからは彼にも聞いてもらう必要がある。
「何だよ。屋敷にまで呼び出すってことは大事な話か?」
「大事って言うか、大きな話しって言うか。えっとね、アッパータウンの南側に空けてある土地、あそこにそこそこの規模でホテルを建てようと思ってる」
「ホテル…王都や領都にある貴族向けの宿の事か?」
「あれよりは高級でヴィラよりは安価なものを。ある程度の人数収容できる箱ね」
「ふむ…ヴィラに手が届く者は限られますからな」
そう。ヴィラの宿泊料は決して、けーっしてお安くない。だからこそ予約が埋まり切らずにいるのだ。ま、あそこはそれでいいんだけど。
「いい?まずはそうだね…、この地の景観を損なわないために高さは二階までとする。三十から四十室くらい作れると良いんだけど…。で、全室スイート、曲がりなりにも富裕層向けだからね。館内施設として大浴場…、うーん、屋上に展望風呂でも用意しようか」
「ヴィラでは大滝を眺めるバーラウンジが人気のようですが…」
「じゃぁ展望風呂の横に夜景の見えるラウンジを作ろう。でも飲食施設は要らないよ。アッパータウン内のレストランやカフェで思い思いに楽しんでもらいたいから。そうだね、ケータリングくらいは有りにしようか。それから庭園は自然の地形を利用する形で。壮大さを生かしてね。整えられた庭が見たいならアッパータウン内のフラワーパークに行けばいいんだし。ヴィラみたいに館内で完結する形にはしたくない」
「セザールも補助が切れる前にアッパータウンの訪問客を増やせって言ってたからな。いいんじゃないか」
補助…、それはアッパータウンに店子を誘致するにあたり、テナント料をチャラにするから二年間は売り上げに関わらず店を開けてね、という契約条件のことである。
うちにしてみれば不利な条件だが如何せん、このウエストエンドに蔓延る偏見を返上し社交界にその名を轟かすには時間が、それも相当長い時間が必要だったのだから仕方ない。
漸くヴィラの半分くらいが埋まるようになってきたとはいえ…繁盛までには程遠い。なのでこれはドカンと花火を打ち上げるチャンスなのである。
にしても…
「アーニー、セザールって?」
「あれ?お前知らねぇの?」
「知らねぇの…って、何を?」
「みんなあいつのことをアッパータウンの責任者だと思ってやがる」
「え…、初耳だけどいつから…」
「いつからって言うか…あいつが顔出し始めてすぐじゃねぇか?なにしろ俺たちには金持ちの喜びそうなこと分からねぇし。あいつは聞けば大体答えるし的を得てる。あいつもそのつもりでいるんじゃねぇの?」
将来への布石とは聞いていたけどそんなことになってたとは。
「良んじゃね?お前はなかなか捕まらねぇし俺たちも助かる。それにあいつはそつがねぇ」
「そうだね。じゃぁ今のうちに唾つけとこうかな。セザールはアッパータウンの管理責任者、と」
こうなってくると彼の卒業が待ちどおしくて仕方ない。スキップとか出来ないのかな…?扱き使う気満々である。
「坊ちゃま、ホテルに滞在する貴人の従者はどうします?」
「ダウンタウンに民泊でも用意する?なんてね」
「要検討…と」
「あの拓いた敷地全部使うんじゃねぇよな?広すぎる…」
「うん。あそこはね、いずれ別荘地として区画売りするつもりだから」
「別荘地…」
「頻繁に来るならいっそ家を、って言う人はでてくるよ、きっと。なら別荘地として売ればアーニーたちの仕事も確保できるし別荘周りに雇用も生まれるし、一石二鳥だ」
「慧眼ですな。さすが坊ちゃま」
「王女の結婚式は良い箔付けになる。みんな、大変だけどがんばろーね!」
「はいよ」
本日の会議これにて終…
「ところで坊ちゃま、ランカスター本領の方はどうなさるのかお聞きしても?」
これで終わらせてくれないのが僕の有能執事ジェイコブだ。せっかく棚上げしたのに…
「あー、あそこは特に奇抜なことをする気は無いよ。けど領に産業も資源もない以上、お金を動かすなら目玉を作るしかない」
「して、その目玉とは?」
「絶叫系アミューズメントパークを作ろうかと」
「あみゅーず…それは一体…」
僕はあそこに枯渇したダンジョン跡地…、あの山を利用して人工のダンジョン型アトラクションを作ろうと思っている。
あの跡地はダンジョンとしての役割は終えているが、なかなかアドベンチャーな景観を残した好立地だ。
比較的危険の少ない下位の魔獣を放してその中をトロッコとかに乗って猛スピードで駆け抜ける絶叫系とか…、若輩の冒険者や騎士志望者なんかが遊びがてらハントの練習出来るような体験系とか…どうだろうか?
となるとウォーターライド系も一つは欲しい。
「あ、もちろん老若男女が気軽に楽しめる回転系揺れ系も置くつもりだよ?」
「それはまた…一体どこからそのような思い付きを…」
「オスカーたちと回ったコモンダンジョン、楽しかったんだよねぇ…。それに小屋が」
「小屋?」
「ミ〇ーの家みたいな小屋が…、ううん何でも」
インスピレーションとは意外なところに落ちているものである。
「それで人が集まるでしょうか?」
「大丈夫。人は適度な恐怖にはアドレナリンが出る生き物だから。でもそうだな、全アトラクション踏破報酬として商品でも出す?スタンプカードとか…」
「持ち出しばかりではないですかな」
「初期投資だよ。領内でお金を落としてもらうのが目的なんだから」
遊山の人が立ち寄る手軽な宿屋や気軽な食堂を領都にたくさん増やして、あとお土産になるようなちょっとしたものいくつか。
「日持ちのするお菓子が良いな。「白いカップル」とか「ランカスターばな奈」とか「七つ橋」とか。とにかく人を呼ばないと」
「誰もを招く場所…、ウエストエンドとは真逆の方針で行くのですな」
「そうだね。あそこはいづれコリンが継ぐ領だから。正攻法で勝負したい」
正攻法の定義とは…個人の見解だよね。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




