91 16歳 at 新生ランカスター
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
ここはランカスター公爵領、と言ってもいつの間にか代替わりした新生ランカスター公爵領だ。
本日僕はコリンとウィルを引き連れ、二人にとっては何年振りかのランカスターへとやって来たところだ。
そのルートは出来立てホヤホヤ、ダンジョン跡地に建てられた、小屋…というには少し立派な、絵本から飛び出してきたような石造りのフェアリーなガーデンハウス。
この丸みのある建物は…どこはかとなくネズミのランドで見たような…?あっ!あの井戸まである!
「妖精の出入り口ならこれが最適かと思いまして…」
「このダンジョンは枯渇してるから妖精は湧かないよ?」
ご丁寧に半径五メートル四方が花で覆われているのにはもう呆れて声も出ない…、目立たないようにって言ったよね?
けど馬と番人を常駐させたのは気が利いてる。ああ、井戸は馬の飲み水のため…。なるほどね。
さて気を取り直して…
「僕はヴォルフに乗るから馬は二人が乗って。そしたら先に神殿へ行くよ。その後下町に降りてフローラさんのお墓参り。する事済ましちゃおうね」
「はいレジー様。でも公爵様が母さんのお墓を作ってくれてたなんて僕知りませんでした」
「そうだね。僕もびっくりしちゃった」
「兄さん、公爵はすでにレジー様ですよ。侯爵様ってお呼びしないと…」
「でも正直紛らわしいよね。お父様の事は大旦那様、で良いんじゃないかな。屋敷でもそれで統一してるし」
「はい。そうします」
さあお待ちかね、『祝福』の時間だ!
ランカスター領の神殿…、僕がここに足を踏み入れるのは最後に魔力測定して以来。
ヴォルフは獣化して外で待機。ウエストエンド以外で獣人の姿はまだまだ目立っちゃうんだよね。でかいオオカミもどうかと思うんだけど。
さてこの神殿の神官様は王家からの派遣である。
さすがにエヴァもちょっかい掛けられなかったとみえ、浮世の喧騒をよそにここは時が止まったかのよう。
「コリンよ、この虹水晶の上に手を置きなさい。そして心を無にし石の波長に身を任せるのです」
「はい…」
ゴクリ…「何か…、水晶に何か影が見える。あ…、あれがもしかして魔力の種…?」
「ですがやはり十三年も打ち捨てられていたため枯れ果てておりますな…。これでは芽吹きは難しいかと…」
「むぅ…」
「枯れてるなら水を、つまり魔力をあげればいいの?」
「ですが魔力の譲渡などそう簡単には…。それに波長の合わぬ魔力は弾かれますぞ」
「それこそ望むところだよ。なにしろ今日はその証明に来たんだから。お父様手をお貸しください」
「レジナルド、どうするのだ…」
「お父様の魔力をコリンに注ぎます。心配には及びません。媒介は僕がしますから」
「おお!そういえばレジナルド様は閣下の治癒に際し女神官に魔力を譲渡したという話しでしたな。聞き及んでおりますとも。実に素晴らしい魔力操作能力にございます」
ふっふっふ、これぞフルスキルの真骨頂。僕に不可能は無いのだよ。
「コリンの種がお父様の魔力を受け入れればそれ自体が親子の証明になる」
「うむ。頼んだぞレジナルド」
緊張の一瞬。父の人となりが体現された頼りなさげな魔力が僕の体内を通過してコリンへと流れていく。
う?うん?これは…
お、父様 ?え?もうお終いですか!す、少なっ、少なすぎでしょ!
あー、でもコリンの種はまだまだ魔力を欲してる。そりゃそうだ。十三年分だもんね…カラっカラだよ。
どうしよ…、いや待てよ?
狂魔力はすでに継承者を得ているんだから兄である僕の魔力を注いだってコリンはノープロなんじゃないの?
じゃぁこれをほんのちょびっとだけ…
「ああっ!身体が…、身体が熱い!レジー様、も、一杯…、だめぇ!入らない!」
こ、コリン…!セリフが…、セリフが誤解を招くから…!
慌てて手を放した、針のムシロである僕の目の前には荒い息をする親子が一組…。あわわわわ…
「お、おおコリン…、私の魔力が馴染んでいるのだな…」
「あ…、お父様、僕…僕…」
媒介となった長男はいたたまれなくて…この機に乗じてそっとその場から姿を消した。
…いや、さっきのダメージがね。
その後ランカスターの神殿では、父とコリンの親子愛に僕が人知れず心を痛めている…などという心外な話しがまことしやかに駆け巡ったと言う…
家令ブルックリンに丸投げしたままほったらかしの領主邸。
一足先に戻った父が執務、要は荘園管理に復活しているとは言え何から手をつければいいのやら。
「レジナルド様、此度は公爵位の継承おめでとうございます。お戻りお待ちしておりました。」
「ありがとう。けどここは今まで通り父に任せる予定だからそのつもりで。ブルックリン、その後体調は?」
「青年時代に戻ったようでございます」
いや、それは盛り過ぎだって…。
「補充品などの目録は出来てるね?あと屋敷の人材はどうなってる?」
「目録はこれに、あの後人材はハミルトン伯がご助力くださいましたので。そうそう、利に敏い大キャラバンが参りまして…」
「あー、昔ウエストエンドから締め出された例のキャラバンね。売値は?」
「相場かと…」
「反省してるみたいだね。なら使ってやって。おかしな真似したらすぐに報告。いいね」
「畏まりました」
「ウィル、打ち合わせが終わるまでサロンでくつろいで待ってて。コリンは僕と一緒に執務室へ。誰か!僕の従兄弟ウィルに甘いお茶と美味しいお菓子を」
「ただいますぐに」
「ウィル、あの当時のメイドは一人も残ってないからね。君は侯爵家の息子コリンの兄だ。堂々として。」
「はい」
もれなく全員逃げ出し清々しいほど使用人総取り換えとなった屋敷は却って統制がとれている。
養子とは言えハミルトンの名を持つウィルは僕の従兄弟であり、尚且つ父の子であるコリンの異父兄である。そのウィルに敬意を払わない使用人など今の屋敷には一人も居ない。
なんだか照れくさそうなウィルの背後には裏庭へと続く大きなガラスの扉があり…運命の分岐となったあの裏庭では、まるで何事も無かったかのようにヴォルフが昼寝を決め込んでいた。
「はぁー…、ようやく諸々ひと段落。さてどうしようか…」
「何の話だ」
ウエストエンドの自室に戻り一息つく僕に話しかけてきたのは当たり前のように部屋まで付いてきたヴォルフだ。
「ランカスター領をどうするかだよ」
「確かにあそこはなにもないな」
「でしょ?それに人の手掛けた作品に後から手を加えるって結構面倒でね…。一回更地にするなら楽なんだけど…そう言う訳にもいかないし…」
降ってわいた僕の街作り第二弾。だけどこれは街作りと言いうより人様の作品を修正するという課題である。
あー、けどあったな。高校時代やってた近未来型街作りゲームの公式イベントで。
大枠だけ出来ている建物を各々の個性により完成させてスクリーンショットを送るって言うやつ。自慢じゃないけど僕はそのイベントで〝アイデア賞”を貰ったのだ。
ノシ…フゴフゴ…「うーん癒される…。よし!元気復活!頑張ってみるか!」
「レジナルドいつ言おうかと思ったが、お前…太ったか?」
ギクリ!やっぱりあのグルメ三昧が…
毎日更新を目指しています。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




