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8 11歳

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


まったくなんて女だ!僕が右大臣にネチネチ言われている間に二人を拉致るなんて…いい度胸だ!


「坊ちゃま、数日前にエバ様は男爵からの手紙を受け取っております」

「そうか分かった!」


怒りを隠さず本邸へ乗り込む僕に使用人達はみな縮み上がって震えている。

当然だろう。普段温厚な僕にうっかり忘れがちだけど、僕はいつ暴走するか分からない狂魔力の持ち主だからね。あの女がおかしいんだって!


だからってここまで怯えられると傷つくけど……べ、別にいいもん!


「エバ!あの二人をどこにやった!」

「まあなんて無礼な。仮にもわたくし公爵閣下の側室ですのよ」


「側室って言う時点で僕の方が上だ!いいから言え!二人はどこだ!」


「ふん!目障りな子供など下位貴族に下げ渡したわ!ああそうそう、すっかり見た目が良くなって…、レジナルド様のおかげですわね、お礼が必要かしら?」


「下位貴族…ジョット男爵のことだな?お前に人の心は無いのか!あの男がどんな男か知らないとは言わせない!」

「知った事では無いわ!所詮旦那様を篭絡した女が生んだ庶民の子供、この公爵家には不釣り合いなのよ!」


「お前が言うな!って、そうじゃない!知っててやったな?あの子、コリンの父親が誰か…」

「それを証明するものは何も無いのよ?戯言はよして頂戴?」


「戯言かどうか…、見てるといい。調子に乗るといつか痛い目に合うよ。覚えておけ!クラウス!急ぐよ!」

「はっ!」


大急ぎで本邸の庭に飛び出た僕の前には…ヘアオイルでオールバックにした赤毛のパーカー!ついに現れたな…、パーカー…


「別邸の侯爵さまは礼儀もなっていないらしい。屋敷の中をバタバタと見苦しい。その見苦しい紫の髪もどうなんだ!公爵家の嫡男としてもっときちっとまとめないか!僕みたいに」


「オールバックになんか出来るか!それに礼儀をいうなら現侯爵である僕に向かって同列に口をきく事こそ無礼だと思うけど?」

「う、うう、うるさい!だから嫌なんだよ。狂魔力などという汚らわしい魔力の持ち主を別邸とは言えこの屋敷に留め置くのは!」


「あーそうですか。でもいいよ許してあげる。金持ちは喧嘩せずって言うしね。僕は公爵家の嫡男として些末なことは気にしない。君みたいに」


「い、今だけだ!お前見たいな化け物、領の財政さえ落ち着けば父様だってお前なんかっ!」


その財政が致命的なんだろうが!



くそっ!パーカーのせいで時間を食ってしまった!


先に行かせたクラウスは上手く追いついただろうか。

僕の背に合う小型の馬ではスタイリッシュな馬の脚には届かない。ならば仕方ない…『テレポーター』だ。このアイテムは……説明無用だよね。


前方に見えたクラウスと三人の騎士。僕はその後尾に何食わぬ顔で馬をつけた。


「クラウス!男爵家の馬車は何処だ!」

「あそこです!もう少しで領外へ出ようとしております!」


「領外に出られると面倒だ!」

「どうされるおつもりか」

「こうするの!いけっ!サンダーバード!」


雷の鳥はまるでジェット機の様に馬車に向かって一直線だ!

奴ら頭上でとんびのようにクルリと一回転して目の前に落としたのは青い稲妻。


それに驚き大きくウィリーする馬に御者は振り落とされ荷台は横転する。滅茶苦茶だな…


「ひ、ひぃぃぃ!」

「なんだ!何が起こった!」


「僕を誰だと思ってる!ハミルトンの現侯爵にしてランカスターの嫡子!泣く子も黙る狂魔力の継承者、レジナルドだ!文句があるなら前に出ろ!」


「う、うわぁぁぁ!狂魔力だと!に、逃げろ!」

「待て!置いて行くな!待ってくれ!」


何もかも置いて全力で走り去る悪人たち。

だからここまで怯えられると傷つくってば…



横転したその荷台は外から鍵が掛けられ内側からは開かないようになっていた。絶対逃がさないってか?鬼畜め…


「おいでウィル、コリン。もう大丈夫だ」


「う、うわぁぁぁん、レジー様ぁ…」

「レジー様、僕、僕はレジー様と一緒に居ちゃいけませんか?…うぅ…」


「馬鹿だね良いに決まってる。帰ったら美味しいお茶を淹れてね。僕はウィルのお茶じゃないと眠れないんだ」

「レジー様…は、はい!」


「坊ちゃま、この茶封筒はいかがいたしましょう。」

「売買契約書か?父につき出してやる。持っていけ」

「はっ!」


こうして二人の危機は一旦回避された。一旦ね。


そして夜。


「おかえりなさいお父様」

「おやレジナルド、本邸で私の帰りを待つなど…、いったいどういう風の吹き回しだ」


本邸内にある父の書斎。外から帰った父は必ずこの部屋で一息つく。

その部屋の中で、ロココ調のアームチェアに腰掛け父の帰りを待った僕。普段温厚な僕も少しばかり怒り心頭だ!


「お父様はご存じありませんでしたか?エバ夫人が僕の従者を許可なく勝手にとある男爵に売り飛ばそうとしたことを。これが証拠の書類です」

「とある男爵…?」

「ジョット男爵ですよ!あの悪名高い」


「…だとして何が問題だ。あれはこの本邸の使用人。いつから別邸のものになった。エバは使用人の数を整理するのだと言っていた。彼女なりの采配だ。だがジョット男爵は頂けない。それはよく言って聞かせておこう。相手はよく考えなさいと」


「使用人…?お父様?本気でそう仰っているのですか?」

「何のことだ?」


この父の反応…


目の前のこの人は、領地経営に関して無能ではあるがそこまで倫理観に欠けた人ではない。

もちろん貴族社会の悪しき慣習にどっぷりな部分は無きにしも非ずだが…、だからと言って成人前の子供をエロじじいに売り渡すような悪人ではない。


父は知らないのか⁉ コリンが自分の血を引く子だと!


僕は言った。コリン、子供の一人は貴方の庶子に違いない。相応の待遇を今すぐ整えるべきだって。それに対する父の返事はこうだ。


「フローラもそのような事を度々申していた。だが彼女は宿屋で客を取ることもあったのだ。全てを鵜呑みに出来ると思うか?だから私は言ったのだ、証明してみせよ、と。だがいいか、私は彼女を心から愛していた。だからこそ私はあの家族の面倒をみてきたのだしフローラ亡き後こうして仕事も与えてやったではないか」

「仕事を与えてやった…?」


この父の目は節穴らしい…。あの女の悪意を何も知らないのか?それとも知っててこれか?


「私は公爵だ。確かな証拠も無しに出自の分からぬ子供を庶子と認めるわけにはいかないのだよ。いくらお前がこのランカスターに援助をする身だからとて、出すぎた真似は許さぬぞ!」


「分かりました。その言い分には一理あります。証拠ですね。何とかしましょう。ですが今回の件は許せません。お父様からエバ夫人によく言い聞かせて下さい。あの二人を二度と売り飛ばさないと証書を取るまで、仰るとおりハミルトンからの援助は無いものとお考え下さい!」


苦虫を嚙み潰したような父の顔、だがこれで分かったこともある。


ウィルが家令に渡した紙、それは恐らく何らかの証拠だ。あの女はそれを父に見せずに握りつぶしたのだ。


あの女の最終目的はパーカーを公爵家の跡継ぎにすること。ただでさえ目障りな僕が居るのに、そのうえ庶子とはいえもう一人息子が出現するなんて…


パーカーは齢十歳にしてすでに愚か者の片鱗が見て取れる。

万が一庶子の子供が自分の息子より優秀なら…、僕をうまく排除したとしても、父はその子を後継者に選ぶかもしれない。


目の上のタンコブは取っておくに越したことは無いって事か…



数日後、僕の従者を決して売り飛ばさないと書かれた、エヴァ直筆の署名入りの証書が届けられた。


これでしばらくは大丈夫だとして、DNA鑑定の無いこの世界でどうやって親子関係を証明すればいい?


頭の痛い問題だ…




毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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