第七話 高額報酬と錬金術
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冒険者ギルドは、朝から慌ただしかった。
鉱山から戻った冒険者たち。
山積みの報告書。
行き交う職員の足取りも、いつもより早い。
その中で――
カウンター前に置かれた袋を見て、
受付の女性は完全に固まっていた。
「……こ、これは……」
袋の口から、淡く白く輝く鉱石が覗いている。
「ミ、ミスリル……?」
「はい」
「鉱山の最奥で見つかりました」
受付の手が、わずかに震える。
「こ、これほどの量……」
「……少々、お待ちください」
そう言うと、受付は慌てて奥へ駆けていった。
周囲の冒険者たちが、ひそひそとこちらを見る。
ほどなくして、別の職員が現れた。
「ゼン様、ルル様」
「ギルドマスターがお呼びです」
「こちらへどうぞ」
二人は案内され、ギルドの奥へ向かった。
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ギルドマスターは、椅子に深く腰掛けたまま言った。
「鉱山の件、本当にありがとう」
「確認したところ、
魔獣はほぼ一掃されている」
「これで採掘が進む」
「街は、さらに潤うだろう」
ゆっくりと顔を上げ、
二人をまっすぐ見据える。
「ゼン殿、ルル殿」
「この街を代表して、感謝する」
足元には、拘束された男が座らされていた。
「……闇ギルドか」
「最近、噂になっていた」
「臨時でパーティに入り込み、
仲間を殺して魔獣石や鉱石を奪う男だ」
「正体が掴めなかったが……」
視線を細める。
「よく捕らえた」
「身柄はこちらで引き取る」
「闇ギルド案件だ。上に回す」
ゼンは静かに頷いた。
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鑑定装置の前。
魔獣石が、次々と台座に置かれていく。
《魔獣鑑定:開始》
《登録処理中……》
「……確認しました」
受付が、驚きを隠せない声で告げる。
「今回の討伐数、二十種以上」
「登録魔獣数、三十種を超えました」
一拍おいて、
「規定により――
Eランク冒険者へ昇格です」
「ありがとうございます!」
「やったね!」
続いて、報酬の説明。
「ミスリル鉱石の納品」
「魔獣討伐報酬」
「鉱山調査成功報奨」
「闇ギルド構成員の身柄確保」
「すべてを合わせて……
25,450,000RGになります」
「……え?」
ルルが固まる。
「に、二千五百……?」
「え、ちょっと待って」
「二千五百四十五万!?」
ゼンは金貨袋を受け取りながら、内心で思った。
(日本円と、感覚ほとんど変わらないな……すごいぞ)
袋は、ずっしりと重かった。
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ギルドを出ると、
鉱山街グラードはいつも通りの喧騒に戻っていた。
「大量だったね!」
「運が良かったー!」
ルルが弾む声で言う。
「ほんとにな」
ゼンは頷いてから、思い出したように言った。
「なあ、ルル」
「作りたいものがあるんだ」
「今日は自由行動にしよう!」
「え?」
「俺は街のハズレで作業する」
「夜、この辺で集合な」
ルルは、にっと笑った。
「いいよ!」
「私も買いたいもの、いっぱいあるんだ!」
「今日は豪遊だね!」
二人は笑い合い、
それぞれ街へと向かった。
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街外れの森。
人の気配が消えた場所で、
ゼンはアイテムボックスを開く。
鉱石が、次々と地面に並ぶ。
ミスリル。
鋼鉄。魔鉄。
地脈石。
火・水・地・風・光・闇・無属性の属性鉱石。
そして――
街で買った、大量のトレント材。
「……よし」
子供のころから、
この日のために何度も頭の中で組んできた。
(AI、図面を出して)
――冒険ハウスを再生成します。
基礎に地脈石。
骨組みに鋼鉄と魔鉄。
壁材に整形したトレント材。
火属性はキッチンへ。
水属性は水回りへ。
風属性は換気と空調へ。
光と闇は照明と結界制御へ。
無属性で全体を安定させる。
魔法を重ね、
手慣れた動きで構造が組み上がっていく。
「……できた」
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すっかり夜になったころ。
「……ゼン?」
振り向くと、
買い物袋を抱えたルルが立っていた。
その視線の先。
森の中に――
一軒の家が建っている。
「……なに、これ」
「冒険ハウス」
「野宿、嫌だろ?」
「嫌だけど……!」
「家を作るって発想がまずおかしい!」
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「中、見る?」
「……見る」
中に入った瞬間、
ルルは足を止めた。
「……すごい家……」
「ここがリビング」
「キッチンはこっち」
「作業場はここ」
「隣が俺の部屋」
二階へ上がる。
「ここ、ルルの部屋ね」
「……私の?」
「他の部屋は物置とかに使う」
さらに上へ。
屋上。
大きな浴槽。
夜空。
湯気。
「……お風呂!?」
「しかも露天!?」
目を輝かせて、即断。
「入る!」
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しばらくして。
湯に浸かりながら、
ルルがとろけた声を出す。
「はぁ……」
「きもちいー……最高……」
「なにこれ……」
「全然、冒険じゃないんだけど……」
星空の下、
湯気が静かに揺れていた。
こうしてゼンは、
旅を続けるための家を完成させた。
それは拠点ではなく、
冒険を快適に続けるための道具。
そしてこの場所で、
ルルの魔法ノートは
また一ページ、増えていくのだった。
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第七話 完
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次回は武器制作の依頼、ドワーフが登場します!




