表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔獣図鑑 ~AIスキルが優秀すぎて無双します~  作者: 宮田 喜助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/26

第十七話 百種目の咆哮


ゼンたちは、あの“空間”から島へ戻ってきていた。


大会も残り時間は、わずか。


それでも《空白の足跡》は止まらない。

島の魔獣を、次々と討伐していく。



魔導モニターには、木々を裂いて駆ける三つの影が映し出されていた。


「おっとぉ、ここで《空白の足跡》が猛攻中ー!

 一時、魔導カメラが行方を見失っておりました!」


実況席で、パンヤーが前のめりになる。


映像が再び捉えられた瞬間、観客席がどっと沸いた。


ルルが――笑っていた。

楽しそうに、ルンルンで。


「ルル選手がルンルンで大暴れ中です。これは……」


「感情の高まりが、魔力出力に影響していますね。

……恋、かもしれません」


「それは違う気がします!」


即座に返され、会場に笑いが広がった。


――その瞬間だった。


島全体に、無機質なアナウンスが響き渡る。


『島内の魔獣が、九十九種討伐されました。

 規定条件を満たしたため、

 百種類目の魔獣を解き放ちます。

 高ランク希少魔獣につき、十分にお気を付けください』



百種目。


参加者たちの討伐が積み重なった結果、

島そのものが、最後の一体を解放したのだ。


次の瞬間。


島の上空、雲の下で、何かが“きらり”と光った。


(……AI。なにが出てきた?)


『確認しました。

 魔獣名:クリスタルワイバーン

 脅威度:Aランク

 属性:光

 備考:ワイバーン種の中でも特に希少とされています』


ゼンの目が、子どもみたいに輝いた。


「ワイバーン……!!」


ルルとシノが、思わず笑う。


「よし。絶対、討伐するぞ!」


三人は迷わず、その光へ向かった。



同じころ――


その“光”の近くには、すでに別のパーティがいた。

《紅炎の翼》の三人だ。


「こんな近くに湧いてくれるなんて、ラッキー」


三人が同時に炎の魔法を叩き込む。


だが――


バチン、と乾いた音。


ワイバーンの全身を覆う結晶が、炎を弾いた。


次の瞬間。


ワイバーンが大きく息を吸い、

胸部の結晶が白く眩く輝く。


「なにかくる」


光のブレスが、一直線に地面を焼いた。

《紅炎の翼》を、もろに直撃する。


「まともに食らってしまいました!

 だ、大丈夫なのでしょうかぁー!?」



少し離れた場所で、それを見守っていた者たちがいる。

《深森の観測者》だ。


「あれは……討伐厳しいですね」


フィンが、傍観者のように呟いた。


「Aランク希少……伊達じゃないわ」


リリィが短く息を吐く。


サージは黙って、空を見上げていた。


そのとき――


森の影から、三つの影が走り出る。

《空白の足跡》だ。


「――間に合った」


ゼンは間合いに入ると、即座に詠唱を切る。


「流れよ、水。

 形を成せ――水槍」


水の槍が放たれる――が、


バチン。


弾かれた。


「……なに? 魔法を弾いた?」


AIが即座に答える。


『クリスタルワイバーンの高密度クリスタルは、

 魔力干渉を反射する性質を持っています。

 魔法攻撃は通りにくいと推測されます』


「なるほど……」


ゼンはすぐに判断した。


「壊す。……シノ、俺の合図で、切ってくれ」


「はい!」



その瞬間。


ワイバーンの胸が、再び眩く光る。


「ブレスがくる!」


ゼンが叫ぶ。


「影よ、集え――遮れ」


闇が前方に展開し、

盾となって光を正面から受け止めた。


ぶつかり合う、光と闇。

ギギギ……と空気が軋み、地面が震える。


しかし――

その闇は、ゼン一人のものではなかった。


「――おおおおっ!!」


黒牙の咆哮。

ガルド、バイゼル、ゴル。


三人の闇が重なり、

光のブレスを完全に押し返す。


「ゼン殿! 借りを返させてくれ!!」


「ガルドさん……! ありがとうございます!」


「おおっとぉー!! これは共闘だぁ!!

 《空白の足跡》と《黒牙の咆哮》、闇が重なったぁー!!」


パンヤーの声が、会場を震わせる。



ゼンは一歩、前へ。


「影よ、乱れ――縛れ」


影が絡みつき、

ワイバーンの動きが、明らかに鈍る。


「……よし」


ゼンが笑った。


「今だ、シノ!」



「はい!!」


シノがワイバーンを見上げる。


「……でもっ、届きません!」


「任せて!」


ルルが前に出る。


「集え、光。

 散らばる理を束ね、

 重ね、圧し、

 空より縛り落とせ――光縛」


光が翼を空中で押さえつけ、

巨体が強引に引きずり下ろされた。


「いきます!」


シノは刀を振り抜く。


スパン――。


乾いた音とともに、

胸部の結晶が真っ二つに割れた。


「結晶破壊!」

「反射が消えた!!」


ワイバーンが、苦悶の咆哮を上げる。



その瞬間――


ゼンに、異様なまでの魔力が集まり始めた。


空気が重くなる。

雲が、渦を巻く。


ゼンは天を見上げ、告げる。


「天よ、

 我が敵に堕ちよ――」


一拍。


「黒雷」



轟音。


闇を帯びた雷が、天を裂いて落ちる。

砕けた結晶の奥――核を貫いた。


その裁きを拒むことすらできない。

巨体が、力を失って崩れ落ちた。



「すごいチームワークだぁぁ!!

 クリスタルワイバーン撃破!!」


「高ランク希少魔獣撃破!

 五十ポイントが追加されます!!」


観客席が、爆発する。


「これは……愛の力ですね」


「さっきから解説が感情的ですよ!」



『――これにて、グランド・ハント・サバイバル

 全日程を終了します』


結果が告げられる。


『優勝――

 《空白の足跡》

 最終ポイント、八百八十PR』



「《空白の足跡》、優勝です!!」


会場が揺れる。


「おおおおおおおおおっ!!」


歓声の中で、

ゼンはルルとシノを見た。


三人で、笑う。



グランド・ハント・サバイバル

最終日。

百種類目の魔獣。


その咆哮は――

黒雷とともに、終わりを告げた。



第十七話 完



▼ グランド・ハント・サバイバル

 進捗データ(3日目終了時点)


 パーティー:空白の足跡

 大会結果:優勝

 総獲得ポイント:880pt

 討伐魔獣:72種

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ