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異世界魔獣図鑑 ~AIスキルが優秀すぎて無双します~  作者: 宮田 喜助


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第十六話 石碑の言葉が導くもの


三日目の朝。

冒険者ハウスの一室で、三人は机を囲んでいた。


机の上には、五枚の紙。

石碑に刻まれていた言葉を書き写したものだ。


しばらく、誰も口を開かなかった。


「……これ、ばらばらの言葉じゃないわね」


ルルが、静かに切り出す。


「どれも同じ“場所”を、別の角度から書いている」


シノが紙を覗き込む。


「“地、裂け、相寄らず”

 “界、巡り、混淆せず”……」


「エリアが分かれていて、混ざらない、という意味でしょうか」


ルルは頷いた。


「ええ。

 この島の構造そのものよ」


「隣り合っているのに、地形が入り混じらない。

 境界が、きちんと保たれている」


ゼンは思い出すように言った。


「確かに……

 移動はできるのに、

 地形が変に重なることはなかったな」


ルルは次の一文に指を置く。


「“分岐、交錯なく、余白を残す”」


「これは道の話じゃない。

 中央に、何も置かれていない場所があるということ」


シノが顔を上げる。


「……中央、ですか?」


「そう」


ルルは島の地図を広げた。


「五つのエリアは、円を描くように配置されている」


「そして、どの石碑も――

 中央を向いていた」


ゼンが地図を覗き込む。


「向き……?」


「ええ。

 位置じゃない。向きよ」


ルルは石碑の向きを思い出しながら、

地図に細い線を引いていく。


五本の線は、自然と一か所に集まった。


「……ここだ」


何も記されていない、島の中心。


「“諸兆、焦点へ会す”

 兆しは、石碑。

 焦点は、この一点」


「“理識ある者、到達す”」


ルルは静かに言った。


「意味を考えなければ、

 辿り着けない場所」


三人は顔を見合わせた。


「行こう」


ゼンの短い一言に、二人は黙って頷いた。



島の中央は、不思議なほど静かだった。


岩場でも、森でもない。

湖でも、丘でもない。


五つのエリアの境界が重なるだけの、

何の変哲もない場所。


「この中にいると、

 魔獣の気付かれないみたいですね」


シノが小さく言う。


「五つの示してる“場所”は....」


ルルが一歩前に出る。


「……ここね」


足元に、円形の文様が浮かび上がった。


地面に刻まれた魔法陣だった。


魔法陣の縁に立ち、息を整える。


「五つの石碑を解読し、

 意味を理解した者が、

 ここに立つことができるのね」


「起動すれば、転送される。

 ……どうする?」


ゼンとシノは、何も言わずに頷いた。


次の瞬間、

視界が白に包まれた。



足が地面に触れたとき、

そこは島ではなかった。


天井は高く、壁は遠い。

静かな空間に、淡い光だけが満ちている。


神殿とも、遺跡とも言い切れない。

だが、何かを迎えるためだけに

用意された場所だった。


中央に、一つの台座。


その上に、魔導書が安置されている。


背後の石壁には、文字が刻まれていた。



ここに至りし者へ。


理を識り、

術を探究する者にのみ、

これを授けよう。


ここに在るは、

失われし術の断片。


されど、

いずれも真なる魔法なり。


これを受け、

その歩みを続けよ。



「……ちょっと待って」


ルルはページをめくる


「これ……」

「これ、全部……」


「失われた魔法よ」


顔を上げたルルの目は、

はっきりと輝いていた。


「私がずっと探してた……

文献にしか残ってなかったやつが……」


「ちゃんと、ここに書いてある……!」


記されていた魔法は、決して多くはない。

だが――

どれもが、失われたはずの魔法だった。


理論も、詠唱も、術式も、

すべてが完全に成立している。


「……やっぱり、残ってたんだな」


ゼンは静かに息を吐いた。


「失われた魔法は……

 本当に、失われてなかったんだ……」


ルルの声は、震えていた。


ゼンがページをめくり、軽く笑う。


「これは……

 ルルが持つべきだろ」


「え……いいの?」


「当然だ」


シノが微笑む。


「ルルさん、よかったですね」


ルルは魔導書を胸に抱きしめた。


「……あとで、熟読する。

 絶対に」


それは、

失われた魔法が残された、数少ない魔導書だった。


ゼンは踵を返す。


「よし。戻ろう」


「まだ大会の途中だ」


三人は再び魔法陣へと向かう。


光が弾け、景色が反転する。



無人島ビーストアイランド


三日目の競技は、まだ続いている。


だがゼンたちは、もう知っていた。


失われた魔法は、

すでに終わったものではない。


それは今、

再び歩み出そうとしていた。



第十六話 完


▼ グランド・ハント・サバイバル

 進捗データ(3日目途中時点)


パーティー:空白の足跡

現在順位:2位

総獲得ポイント:680pt

討伐魔獣:58種

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