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異世界魔獣図鑑 ~AIスキルが優秀すぎて無双します~  作者: 宮田 喜助


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第十五話 先を越す者、越えられる者


「……くそ」


ガルドが吐き捨てた。


黒牙の三人は、その場に立ち尽くしていた。

逃げる様子も、戦う気配もない。


「どうして、私たちの邪魔をしたんですか?」


シノが静かに問う。


しばらくの沈黙のあと、

ガルドは突然、声を荒げた。


「うらやましかったんだよ!!」


「……は?」


ゼン、ルル、シノの声が揃う。


「俺たちは超ド田舎出身でよ!」

「強くなれば都会の女にモテるって聞いて!」

「死ぬほど努力して強くなった!」


バイゼルが続ける。


「必死の思いで祭りの街に来たのに」

「女に声かけても全滅だった」


「絶望の淵に立たされてよ……」

「そこで見たのが」


「お前が両手に女連れて!!」

「楽しそうに歩いてやがった!!」


「どれだけ悔しかったか!!」

「お前にわかるか!!」


次の瞬間。


黒牙の三人は、揃って地面に崩れ落ちた。


「ちくしょおお!!」


ルルは深くため息をつく。


「……呆れたわ」

「努力の方向、完全に間違ってる」


バイゼルが顔を上げた。


「……でも、あの魔獣の件は礼を言う」

「魔力使いすぎて、制御できなかった」


ゴルも頭を下げる。


「助けてくれて、ありがとう」


ガルドも悔しそうに言った。


「……もうしねぇ」

「邪魔もしねぇ」


ゼンは一瞬考え、手を差し出した。


「おれも男です」

「気持ちは……わかります」


「……おまえ、いいやつだな」


ガルドが目をこする。


「いえいえ」


ゼンは照れくさそうに笑った。


「これからも魔獣討伐、

 お互いがんばりましょう!」


ガルドは笑顔で手を握り返した。


「……ああ」



闘技場。


パンヤーが身を乗り出す。


「おおっと!

 音声はこちらには届いていませんが、どうやら和解した模様です!」


ミーヤが小さく頷いた。


「ええ。

 あれが……男の友情、というやつでしょうね」


観客席には、温かなざわめきが広がっていた。



その後、黒牙たちと別れ、

ゼンたち三人は次の石碑を求めて岩場エリアへ向かった。


だが――


石碑を見つけた瞬間、異変に気づく。



岩場エリア。


石碑の前で、三人は足を止めた。


理由は一つ。

石碑の魔法陣が――すでに光っていたからだ。


「……まさか」


シノが小さく声を漏らす。


「魔法陣が、解読されてる……」


ルルは無言で石碑に近づき、じっと魔法陣を見つめた。


「……私の他にも、解読できた人がいたのね」


その横で、ゼンは露骨に肩を落とす。


「おれの……希少魔獣……」


「ゼン君、落ち込まないで」


シノに声をかけられ、

ゼンは顔を上げた。


「……次の石碑に向かうぞ」


丘陵エリアも、同じだった。


「……ここも」

「完全に先を越されてるわ」


「じゃあ、最後は湖だな」


三人は顔を見合わせ、急いで移動を始めた。


道中、立ちはだかる魔獣を次々と討伐しながら、

湖エリアへと向かう。



湖。


石碑に辿り着いたとき、

そこにはすでに別の冒険者パーティがいた。


《河内の風穴》。


ちょうど、石碑の魔法陣を解読している最中だった。


「……もしかして君たちか」


声をかけてきたのは、リーダーのレンだった。


「これまでの石碑で、希少魔獣を討伐していたのは」


「はい」

「僕たちです。正直、こちらも驚いてます」


ゼンが答える。


レンは楽しそうに笑った。


「ハハ」

「でも残念。ここも僕たちが頂くよ」

「早い者勝ちだからね」


「もう少し……こうね」


ラミールが魔法陣に手を加える。


次の瞬間、

魔法陣が起動し、魔獣が姿を現した。


――湖棲魔獣リップルクロウ


「ふ、私に任せろ」


レンが一歩前に出る。


「天を巡る風よ」

「荒れ狂う力を束ね」

「我が前に顕現せよ――暴風」


渦巻く風が叩きつけられ、

魔獣は一撃で倒された。


「どうだい?」

「君たちでは、私たちには勝てないんだよ」


レンは勝ち誇った表情を浮かべる。


だが――


「レンさん」

「さっきの魔獣、希少魔獣じゃないですよ」


ゼンの言葉に、レンは眉をひそめた。


「なんだって?」

「十分、希少だろ」


「確かに、珍しくはあります」


ゼンはルルを見る。


「ルル」


「任せて」


ルルは前に出ると、

魔法陣の構成を書き直した。


すると、魔法陣は先ほどよりも強く輝き始める。


「何してるの?」

「私の魔法陣は完璧よ!」


ラミールが声を荒げる。


「この魔法陣は、特殊理論なの」

「正解は……こうよ」


次の瞬間。

かすれた文字が、くっきりと刻まれ、

魔法陣から、まったく別格の魔力が溢れ出した。


――解析開始

――対象:希少魔獣《深淵湖竜ネッシー》

――脅威度:B

――属性:水

――特徴:極めて出現条件が限定された幻獣級個体


「……出たな」


「……なんだと?」


レンの表情が凍りつく。


ゼンは小さく呟いた。


ゼンの足元で、魔力が静かに収束する。


「天の裁きを成せ――雷鳴」


次の瞬間、雷が落ちた。


一撃。


希少魔獣は、抵抗する間もなく倒れ伏した。


シノが静かに言う。


「実は私たち」

「すでに全部の石碑を回りました」


「岩場と丘陵は、先を越されていましたが……」


「魔法陣を見て、気づいちゃったのよね」


ルルが続ける。


「理論が、欠けてることに」


「もちろん」

「ルルが書き直したら、希少魔獣が出てきましたよ」


ゼンが補足する。


「何ですって……!」

「私は天才なのよ!」


ラミールが叫んだ、その瞬間――


「でも」

「私の方が、もっと天才だったみたいね」


ルルが淡々と言い返す。


「無礼者が!!」


ポポが突然、暴走した。


「我々は貴族ですぞ!」

「ラミール様を侮辱するとは何事か!!」


地属性魔法で、巨大な岩が放たれる。


「ポポ! や、やめろ!!」


レンの制止は間に合わない。


次の瞬間。


シノの刀が閃いた。


岩は、音もなく粉々に切り刻まれる。



闘技場。


パンヤーが声を張り上げる。


「おっと――これはポポ選手、攻撃を仕掛けてしまいました!」


ミーヤが即座に告げる。


「はい。

 明確な、ルール違反です」



そのとき。


島全体に、無機質な声が響いた。


『冒険者パーティ《河内の風穴》』

『ルール違反により、失格となります』


「覚えてろ……!」


レンの叫びを残し、

光に包まれて河内の風穴は転送された。



「……あらら」

「消えちゃったわね」


ルルがぽつりと呟く。


ゼンは肩をすくめた。


「ルール違反だからな」

「しょうがないよな」


夕日が完全に沈み、

無人島ビーストアイランドに、夜の帳が下りた。


グランド・ハント・サバイバル――

二日目は、こうして幕を閉じる。


だが――

石碑に刻まれた五つの言葉は、

すでにすべて揃っていた。


地、裂け、相寄らず。

界、巡り、混淆せず。

分岐、交錯なく、余白を残す。

諸兆、焦点へ会す。

理識ある者、到達す。



第十五話 完


▼ グランド・ハント・サバイバル

 進捗データ(2日目終了時点)


パーティー:空白の足跡

現在順位:2位

総獲得ポイント:680pt

討伐魔獣:58種

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