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異世界魔獣図鑑 ~AIスキルが優秀すぎて無双します~  作者: 宮田 喜助


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第十話 お祭りの街バルカン


「あ、あわあわ……っ」

「き、切れすぎですよぉ、この刀……!」


白妙を抱えたまま、

シノはすっかりいつもの調子に戻っていた。


ついさっきまでの、

あの静謐で研ぎ澄まされた気配は影も形もない。


ルルが、思わずくすっと笑う。


「……刀を持つと、性格が変わるタイプなのね」


ゼンは肩をすくめてから、ルルを見る。


「どうだ?」

「仲間に入れていいだろ?」


ルルは、すぐに頷いた。


「問題ないわね」

「……むしろ、頼りになるわ」


その言葉に、

シノの顔がぱっと明るくなる。


「ゼ、ゼン様……!」

「ル、ルル様……!」


胸の前で手をぎゅっと握りしめて、


「よ、よろしくお願いしましゅ……!」


――噛んだ。


ゼンは思わず吹き出す。


「ははっ」

「こちらこそ、よろしくな。シノ」


「もう同じ仲間なんだから、呼び捨てでいいぞ」


「そうよ」


ルルも笑って言う。


「ルルって呼んで」


「で、では……」

「ゼン君、ルルさんで……お願いします……」


「硬いなぁ」

「まあ、慣れるまでしょうがないか」


シノは、こくこくと何度も頷いた。


「ゼ、ゼン君……」

「この刀……あ、ありがとう、ございます……!」


「約束しただろ」


そのやり取りを聞きながら、

ルルは心の中で小さく思う。


(……そっか)

(最初から、シノのための刀だったのね)


ゼンが、ぱんっと手を叩く。


「じゃあ、さっそく行くか」

「お祭りの街――バルカンへ」



冒険者ギルドは、

いつも以上に賑わっていた。


「いらっしゃいませ」


受付嬢が、にこやかに頭を下げる。


「ただいま、この街一番のお祭り」

「グランド・ハント・サバイバルの

 ――参加受付も行っております」


「じゃあ、この三人で登録お願いします」


「それと――」

「シノの冒険者登録と、パーティ登録も」


「かしこまりました」

「ではシノ様、こちらにご記入ください」


「は、はい……!」


「今年の大会は過去最大規模になります」

「参加費は、100万RGリグです」


「えっ、高っ……!」


ルルが思わず声を上げる。


「魔獣を大量に狩れるんだろ?」

「それなら安いもんだよ」


ゼンは、どこか楽しそうに笑った。


受付嬢は頷き、続ける。


「それでは、大会についてご説明します」


「まず、予選は五日後に行われます」

「予選を通過したパーティのみが、本戦へ進出できます」


――予選があるのか。


「予選に出場するには、こちらの参加証明書が必須となります」

「紛失・盗難があっても、再発行はできませんのでご注意ください」

「また、予選敗退の場合でも、参加費の返金はございません」


受付嬢は、三人を見て尋ねた。


「それでも――」

「大会に参加されますか?」


「参加します」


ゼンが即答する。


「では、こちらが参加証明書になります」


受付嬢は、証明書を差し出した。


「パーティ名と、各自のプレイヤー名をご記入のうえ」

「当日、会場までお持ちください」


「また大会までの期間、街ではお祭りも開催されていますので」

「ぜひ見ていってくださいね」


「ありがとうございます」



ギルドを出ると、

街はすでに祭りの熱気に包まれていた。


「お祭りだって!」

「シノ、見に行こ!」


「は、はい……!」


「ちなみにこの街、年中ずっとお祭りやってるらしいぞ」


「さすがお祭りの街ね」


「じゃあ俺は、街の外で家の準備しとくから」

「二人は、楽しんできな」


「だめ!」


ルルとシノが同時に叫び、

ゼンの腕を掴んだ。


結局――

三人で、全力で祭りを楽しむことになった。


射的。

輪投げ。

屋台の料理。


笑い声が、夜に溶けていく。


そのときだった。


どこか荒れた気配をまとった、

男三人組が近づいてくる。


「お嬢ちゃん」

「俺たちと祭り、楽しもうぜ」


ルルの腕を掴まれた瞬間、

ゼンが間に割って入った。


同時に、

シノの手が刀にかかる。


「シノ、やめろ」


鋭い声とともに、

街の騎士団が現れる。


「揉め事か?」

「この街で問題を起こせば、出禁だぞ」


舌打ちしながら、男たちは下がった。


「行こう」


「逃げんなよ、ガキ」


ゼンは振り返らずに言う。


「どうせ、あんたらも大会に出るんだろ」

「その時に、勝負つけようぜ」


「……ちっ」

「行くぞ」


男たちは去っていった。


「何よ、あいつら」


「……強いな、今の」


ゼンがぽつりと呟く。


「さすがだ」

「この祭りには、大会に出る連中が集まってる」


「――わくわくしてきた」



夜。


街の外で、

ゼンはアイテムボックスから家を取り出した。


「ゼン君」

「ついに完成したんですね」


「いいだろ?」

「シノの部屋もあるぞ」


「わぁ……!」

「ありがとうございます……!」


三人は家の外で焚き火を囲み、

屋台で買った料理を広げる。


ゼンが、果実水かじつすいを掲げた。


「それじゃ――」

「新しい仲間に、乾杯だ」


「が、がんばりましゅ……!」


笑い声が、

静かな夜に響いていた。



第十話 完


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

次回はグランドハントサバイバル予選が始まります!


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