表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

大吾、大阪へ

翌朝。


屋上の夜が明ける前、大吾は既に決めていた。

寸止めで京子の心を掴んだ瞬間から、行動は必然だった。


「……よし、動く」


大吾は仲間に宣言した。


「俺は大阪のヤクザの会長の娘と結婚する」


周囲は一瞬静まり返ったが、すぐにざわめきが広がる。

「は? マジで会長の娘?」

「大阪まで行くつもりか?」

誰もが驚き、しかしその決意の強さに逆らえない空気があった。


大吾は京子の手を取り、短く言った。


「大阪へ行くぞ。虎吉の許しをもらわなあかん」


京子は軽くうなずいた。

「……わかったわ。付き合うわよ」


二人はそのまま養成所を抜け、東京駅へ。

新幹線の車内で、京子は教科書を肩に抱えつつも、初めて心から安心した表情を見せる。

大吾は横でスマホを操作し、虎吉の居場所や警備情報を確認する。


「父上は警戒心が強い。変に構えると怒るやろう」

大吾は低く笑いながら言う。


京子も微笑んだ。

「……でも、それも面白そうね」


二人は互いの手を握り締め、列車の窓に映る東京の街並みを眺める。

もう戦いは終わったわけではない。

だが、互いの心は確かにつながった。


大阪への道は長い。

だが、その距離さえ、二人にとっては希望に満ちた時間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ