「あの曲に会いたい」シリーズ(その6) ー お体を大切に
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
お体に気をつけて
原題:Run That Body Down
ポール・サイモンが1972年にリリースしたアルバム『ポール・サイモン』に収録された曲です。
ポール・サイモンといえば、言わずと知れたあの伝説のフォーク・デュオ、サイモンとガーファンクルのポール・サイモンであります。
(だから、知ってるっちゅーねん!o(`ω´ )o)
“お体に気をつけて”って……変なタイトルだなぁと思いました。
直訳では「体を酷使する、体をボロボロにする」。
意訳では「体をいたわりなさい」となるようです。
が、聴いてみると、マイナーでゆったりとしたジャジーでメロウな、何ともリラックスできる素敵な音でした。
恋人に囁いているようなポールの“アマイ”声や、フォービートを刻む柔らかいアコギのサウンドがグーです。
ポールはギターの名手でもありますので、ご自分でプレイしているのでしょうかねぇ。
歌詞は「昨日、医者に行ってきたんだ」で始まり、医者がポール本人にこう言います。
> 「ちょっと自分の体のこと、考えてみなよ。そんなふうに酷使して、あとどれくらいもつと思ってるんだ?」
後になって知りましたが、ポール自身が後にインタビューで「自分の当時の生活がそのまま出ている」と語っていたようです。
超売れっ子ミュージシャンとして長年多忙な生活をおくってきたのでしょうから、ここへ来て疲労が一気に出てしまったのでしょうかねぇ。
曲の背景を知ると、ポールの“アマイ”声が、どこか“疲れ切った声”にも聴こえてきます。
間奏では少し元気にメジャーに転調して、
「お! それでも頑張っちゃうの?」と思わせておいて、
「やっぱ、無理……」と言わんばかりに、ヘナヘナとマイナーに戻る演出が面白いです。
(あ、これは私の私見です(^^ゞ)
そんな歌詞の内容ですが、今聴いても、その柔らかいサウンドにリラックスしてしまうんですね。
でも、年を重ねるごとに――
「あとどれくらいもつと思ってるんだ?」の一節が、少しずつ重みを増していくような今日このごろであります。
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「お体に気をつけて ポール・サイモン」 「Run That Body Down Paul Simon)




