「あの曲に会いたい」シリーズ(その51) ー Jasmine
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
Jasmine
日本屈指のトップセッションミュージシャンが集結したスーパーグループ、PARACHUTEが、1980年にリリースしたデビューアルバム『From Asian Port』のラストを飾る曲です。
「シリーズ(その49) ー I Thought It Was You」で、ハービー・ハンコックがボコーダーで歌いまくっている曲、と書きましたが、この曲もボコーダーをメインボーカルとしてフィーチャーしています。
南国風味溢れる大変美しい曲です。
作詞・作曲・編曲はPARACHUTEとクレジットされているようです。
まずこのバンド、パラシュートですが、メンバーがメッチャ豪華なのです!
ギターは、日本を代表する天才ギタリスト二人、松原正樹さん、今剛さん。(私はこの二人の大ファンなのであります!)
ドラムは、林立夫さん。ティン・パン・アレイでユーミンのバックを務めるなどした、レジェンド・ドラマーです。
パーカッションは、日本のスーパー・パーカッショニストの一人、斉藤ノブさん。
ベース・ボーカルは、マイク・ダンさん。
当時の日本の音楽界で伝説となっているポップ・ロックバンド「SHOGUN」のメンバーとしても有名です。
キーボードは、安藤芳彦さん、井上鑑さん。
安藤芳彦さんは、後に1000曲以上を手掛けた作詞家として大ブレイクします。
井上鑑さんは、後に大滝詠一さんの、あの大大大ヒットアルバム『A LONG VACATION』へ、アレンジャーとして参加しています!
しかしまぁ、よくこんなスーパー・ミュージシャン達が集まったものです!
わずか3年の活動でしたが、残した4枚のアルバムは、今なお日本のフュージョン/シティポップの最高峰ではないだろうか!そんな風に思ってしまうのであります。
っと、前置きが長くなりました。(^_^.)
まず、アルバム『From Asian Port』ですが、スーパー・ミュージシャンが集結したバンドだけあって、前半から中盤にかけては、緊張感あふれる超絶テクニックを駆使したアップテンポなフュージョンや、熱いラテン・ファンク、エキゾチックな楽曲が次々と展開されます。
で、その熱狂の旅を締めくくるように、最後に置かれたのが、この《Jasmine》です。
初めて聴いた時ーー
ゆったりとしたリズムで、夕暮れや夜の静寂を思わせるメロウな極上AORサウンドと、ボコーダーによる「サヨナラ」という片言の響き。
それが、それまでの超絶テクニックをフィーチャーした曲達に圧倒されまくり、高まり続けていた私の緊張感を、最後にフワァ〜っと緩めてくれたのであります。
(*´˘`*)ホッ
まるで「疲れたんじゃない?最後にこれ聴いてリラックスしてね」と言っているように感じたのであります。
「Jasmine」の歌詞は「女性との別れ」を語っていますが、ボコーダーの機械的なボーカルのせいか、どこか現実離れしたシネマティックな切なさを漂わせています。
何と言いますか、生身の人間が歌う生々しい未練や感情を感じさせない"声"、と言いますか…
ハービーの《I Thought It Was You》の“生き生きノビノビとした”ボコーダーとは違い、《Jasmine》のボコーダーには、どこか夢の中のような、淡く霞んだ余韻があるのであります。
それは、感情を熱く伝える為の声ではなく、熱を静かに冷ましていく為の声――
そんな風にも感じてしまうのであります。
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「Jasmine パラシュート」)




