「あの曲に会いたい」シリーズ(その50) ー ハクション大魔王のうた
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
ハクション大魔王のうた
1969年10月ー1970年9月に放映されていたTVアニメ「ハクション大魔王」のテーマ曲です。
作詞は丘灯至夫さん、作曲は市川昭介さん、歌っているのは、しまざき由理さんです。
このアニメ、好きでよく見ておりました。
ハクション大魔王は、誰かのクシャミで壺の中から呼び出され、その誰かがクシャミをもう一度するまでは壺には帰れない。
しかも、その誰かにご主人様として仕え、ご主人様の願い事を叶えなければならない、そんな魔王なのです。
『アラジンと魔法のランプ』の魔神のような存在ですね。
で、このアニメのテーマ曲≪ハクション大魔王のうた≫ですが、これがパンチのある曲なんですね〜。
8ビートのロックのリズムに乗って、イントロはファズをガンガンきかせたギターが唸ります。
(私、このイントロの音を聴くと、何故かビートルズの≪Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band≫のリプライズの方のイントロを思い出してしまうのであります。)
そして、しまざき由理さんの演歌風のコブシの効いたボーカル。
一見、ビートの効いたロックのリズムとはミスマッチな感じがありますが、この曲に関しては抜群にマッチしているように思います。
まるで、コブシがロックボーカルのシャウトのように聞こえます!
(ちょっと大袈裟だったかも。(≧∀≦))
で、歌詞がまた面白いのです。
ハクション大魔王はご主人様の願いを叶える為に壺から出てきます。
ですが、歌詞ではこう語ります。
“やってやれないこともあるぅ〜”
この当時は「やって出来ないことはない」的な社会の空気があったと記憶しています。
私、この部分を聞くたびに「その通り!」と激しく同意しておりました。
“だけど数字にゃ泣けてくるぅ〜”
という歌詞の一節もあります。
で、私見であります。
1969年の日本は高度経済成長期の真っただ中。
「東海道新幹線」の開業(1964年)や「いざなぎ景気」を経て、社会全体が「努力すれば必ず報われる」「科学技術や学歴(特に理数系・算数)こそが豊かな未来を作る」という猛烈なポジティブさと、ある種の強迫観念に包まれていた時代ではなかったでしょうか。
出来ないこともあり、算数が苦手な、完璧ではないけど、義理人情には弱いヒーロー像。
このヒーローが、当時の社会へのアンチテーゼにも見えてきたりします。
同時に、当時のサブカルの自由な空気も感じてしまうのであります。
この曲は、動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「ハクション大魔王のうた」)




