「あの曲に会いたい」シリーズ(その40) ー 各駅停車
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
各駅停車。
1974年にリリースされた、日本のフォークグループ、猫の曲です。
作詞は喜多條忠さん、作曲は猫のベースプレイヤー、石山恵三さんです。
この曲のメロディ、アレンジ、そして歌詞のすべてが、当時のサブカルの雰囲気を鮮やかに蘇らせてくれるようです。
メロディは、「(その7)ー 愛と風のように/白い冬」で書いた、1970年代前半に流行った、あの特徴的なリズムにのった、開放感あふれるタイプのもの。
アレンジで特に印象的なのは、ブラス・セクションです。
ひょっとしたら、これはアメリカの60年代後半から70年代前半にかけての、いわゆる「ブラス・ロック黄金期」の影響でしょうか。
特に、ChicagoやBlood, Sweat & Tearsが、メインストリームで大成功していましたね。
1970年代は、日本でもブラス・セクションを用いたアレンジが流行していた時代でした。
特に、時代を先取りしていた筒美京平さんの楽曲には、その傾向が顕著で、
70年代日本ポップスにおける「ブラスの標準語法」を作った存在だったようにも思います。
野口五郎さんの《私鉄沿線》(1975)
郷ひろみさんの《よろしく哀愁》(1974)
西城秀樹さんの《情熱の嵐》(1973)
岩崎宏美さんの《ロマンス》(1975)
など……
そして、「各駅停車」というフレーズ。
この言葉、当時のラジオから、よく聞こえてきたような気がします。
何と言いますか、高度経済成長期を経て、日本社会全体が効率やスピードを追い求める社会になりつつある中で、
それに対するカウンター的な感覚として、若者文化・サブカル的感性の中に生まれてきた言葉――
そんなふうにも感じられます。
特に、日本の作詞家・放送作家・ラジオパーソナリティであった、かぜ耕士さんのラジオ番組や、著書『各駅停車の青春に』の影響は大きかったのではないでしょうか。
急いで目的地に到達することよりも、その過程や、途中で目にする景色を大切にする。
そんな価値観を、この「各駅停車」という言葉は、象徴していたのではないでしょうか。
この曲の歌詞では、女性と別れた"僕"が、各駅停車にのって、思い出の街を出ていく情景が語られます。
私は当初、
「なんで、わざわざ各駅停車?」
と思ったものでしたが、こう思い直すようになりました。
「それは…各駅停車だったら気が変わった時にいつでも戻れるから」
なんちゃって。
でもこれじゃ、歌詞の世界が台無しですね。(;^ω^)
お後がよろしいようで。m(_ _)m
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「各駅停車 猫」)




