「あの曲に会いたい」シリーズ(その38) ー オレンジの雨
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
オレンジの雨
1973年にリリースされた、野口五郎さんの曲です。
作詞は吉田栄子さん、作曲は筒美京平さん。
この曲、よくカラオケで歌っておりました。
大好きな曲です。
作詞・作曲の素晴らしさはもちろんですが、私が特に惹かれたのは、そのリズムアレンジでした。
当時としては斬新な、16ビートを意識した揺れとグルーヴ。
特にドラムとギターのカッティングが、この揺れとグルーヴを強力にドライブさせているように感じます。
(ガッツリ16ビートというわけではなく、ほどよく“溶けて”揺れているんですね。)
そしてこの曲、私にはとにかく**「気持ちの良いリズム」**なのであります。
ところが、16ビートっぽい曲は他にもたくさんあるのに、なぜかこの曲に”特別な気持ち良さ”を感じるのでした。
なぜだろう??(´-`).。oO
何かが引っかかる…
この疑問は、結構長い間、私の中で燻り続けていました。
どこかモータウンやフィリー・ソウルの影響を感じるからか?
そんなふうに、もっともらしい理由をこじつけてみたこともありましたが、どうにも腑に落ちません。
そんなある日、その答えが、ふっと舞い降りてきたのです。
それは、George Bensonの《Breezin'》。
私、この曲が大好きだったのです。
週末の朝によく聴いていた、爽やかで、まさに“気持ちの良い”曲。
そして、リズムアレンジが――
《オレンジの雨》と、驚くほどよく似ている。
おそらく私は、《オレンジの雨》を聴きながら、
無意識のうちに《Breezin'》の気持ち良さを思い出していたのだ。
そう結論づけました。
ところが、であります。
アレ?《Breezin'》がリリースされたのは1976年...
つまり…《オレンジの雨》の三年後じゃん!
!(゜д゜)!
あの気持ちの良いビートは、実は《オレンジの雨》のほうが先に鳴っていたのであります。
と、ところが…
この後に某FM番組で、George Bensonの《Breezin'》は、1971年のガボール・ザボのカバーである事を更に知るのです。
ガボール・ザボのオリジナルには、確かにあの気持ち良いリズムの原型があるし、《オレンジの雨》よりも二年早い。
……でも私は、聴いていない。
いや、そもそも、知らなかったのです。
ここで、もう全く分からなくなりました。
ヽ(。_°)ノ
きっと、《オレンジの雨》は、私の中にすでに残っていた
“何か”――
かつてどこかで体験した**「気持ち良さの記憶」**の琴線を、
見事に鳴らしたのではないか。
そう考えるようになりました。
そして、そんな仕掛けをさらりとやってのける歌謡曲という存在の偉大さを、私は改めて思い知らされるのであります。
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「オレンジの雨 野口五郎」)




