「あの曲に会いたい」シリーズ(その33) ー God Must Be a Boogie Man
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
God Must Be a Boogie Man
1979年に、カナダ出身のアメリカで活動したシンガーソングライター、ジョニー・ミッチェルがリリースしたアルバム「ミンガス(Mingus)」からの一曲です。
私は、ジョニー・ミッチェルの大ファンであります。
\(^o^)/
「ミンガス」は、アメリカのジャズ・ベーシスト、チャールズ・ミンガスに捧げられたアルバムです。
(前回の《James》に引き続き、人名タイトル・シリーズ第二弾です。
なんちゃって…ないか。 (^^ゞ)
ジャズ・ミュージシャンに捧げられたアルバムだけあって、ジャズの香りがプンプンする音になっていて、バック・ミュージシャンもジャコ・パストリアス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックなどの錚々たるジャズプレイヤー達が参加しています。
《God Must Be a Boogie Man》を訳すと「神はブギーマンに違いない」。
「ん? ブギーマンって、あのホラー映画に出てくる怪物? なんで??」
これが私の第一声でした。
それでも、私はこの曲が持つ独特の雰囲気と音の響きに魅せられてしまったのです。
Wikiによると、ブギーマンとは、
1.伝説上の、もしくは民間伝承における妖精に類似した怪物
2.いかなる特定の外観もない。多くの場合、ブギーマンは子供たちの心の中で、いかなる形も持たず、単に不定形の恐怖が実体化したもの
3.気になる恐ろしい人物や事象に対し比喩的に用いられることもある
タイトルもさながら、歌詞もチンプンカンプンでありました。
冒頭、
He is three.
で始まります。
「彼は3人って...どーゆーこと?!」
歌詞に、"Mingus"という単語が出てくるので、"彼"とはチャールズ・ミンガスの事なんだろう...でもなんで3人?
こりゃもう、チャールズ・ミンガスの事を知らないと、この歌詞は理解不能!っつー事で、チャールズ・ミンガスの事を少し調べたのです。
チャールズ・ミンガス は、アメリカのジャズ界を代表する巨人の一人。
モダンジャズの重要人物 とされ、ハードバップからフリージャズまで多様なスタイルを貫いた。
ベースの名手であるだけでなく、作曲・編曲・バンド運営まで自ら行う稀有なリーダーでもあった。
ここまででは、フムフム、でありましたが、
調べていて引っ掛かったのが、どうやらミンガスは「一つの自我」で生きられなかった人だったらしいのです。
ミンガス本人も、
自分の中に複数の人格がいる
怒りが自分を支配する
愛したいのに破壊してしまう
と繰り返し語ってたようで、ミンガス自身、このことに苦しんでいたようです。
それが時折、周囲の人間にも分かるような形で、"一貫性のない矛盾した行動"として現れていたようですね。
極端に言うと、今怒っていた、と思えば、次の瞬間には泣いていた、そんな感じにも思えました。
で、私なりの《God Must Be a Boogie Man》の歌詞の解釈ですがーー
冒頭の"He is three"は、恐らくミンガスの分裂した側面を示唆していると思われます。
"まるで彼には別の3人が憑いているようだ"
歌詞は3人をこう語ります。
"待つ人、攻撃する人、愛を信じ続ける人"
そして、さじを投げる様に
"ああ、神聖な計画"
"神様はきっとブギーマン!"
チャールズ・ミンガスを敬愛するジョニー・ミッチェルはきっとこう思ったのではないでしょうか。
神は、恵まれた音楽の才能をチャールズ・ミンガスに与えた。
一方で、一つの自我では生きられない、という苦しみも、彼に与えた。
神よ、それがあなたの神聖な計画ならば、
あなたはブギーマンに違いない。
(Wikiの、"3.気になる恐ろしい人物や事象に対し比喩的に用いられることもある"ですね)
そして、演奏面ですが、ジョニー・ミッチェルの歌とギター、ジャコ・パストリアスのベースのみのデュエットです。(あ、途中、合いの手のようなコミカルなコーラスが入ります)
これが、圧巻の演奏であります!
リズムやグルーヴに乗って、という感じではなく、2つの楽器が絶妙な間合いを取りながら、曲を進行させていきます。
時折響くジョニーの切り裂くようなギターと、ニョロニョロと這ったり、のたうち回ったり、キレたりするようなジャコのベース。
かなり大袈裟に例えるなら、二人の剣士が十分に間合いを取りながら、真剣で殺陣を演じている様な緊張感、とでも言いましょうか...(う〜ん、やっぱ、大袈裟かも...)
特にジャコの縦横無尽のベース・プレイは、まるでチャールズ・ミンガスの分裂した側面を、見事に音で浮かび上がらせているように聴こえます。
何故なら、私はジャコのベース・プレイを聴いて、こう感じたのです。
Jaco’s play is three.
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「God Must Be a Boogie Man Joni Mitchell」)




