「あの曲に会いたい」シリーズ(その24) ー 朝の扉をひらく時
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
朝の扉をひらく時
1977年にリリースされた、谷山浩子さんのセカンド・アルバム
『ねこの森には帰れない』のオープニング・ナンバーです。
私が初めてこの曲を聴いたのは、かぜ耕士さんのラジオ番組でした。
(当時、かぜ耕士さんは圧倒的な人気を誇るパーソナリティでしたよね。)
『ねこの森には帰れない』のB面は、ある童話をモチーフにした物語になっていて、かぜさんはその童話の主人公である“タクシー運転手”の声を演じていました。
その流れで紹介されたのが、この《朝の扉をひらく時》。
静かに響くエレピ、そして谷山さんの澄んだ声。
(谷山さんご自身が、小室等さんの歌い方を意識した、とSNSに投稿されていましたが、「あ、ホントだ!」って思いました。)
その第一音を聴いた瞬間、私は一気に歌の世界へ引き込まれてしまいました。
……こんなことを書くと、谷山さんご本人やファンの方々に怒られるかもしれませんが、私の脳裏に最初に浮かんだのは、こんな光景だったのです。
――夜明け前の、人気のない街角。
青く薄い光の境目を、ひとりの女性がゆっくり歩いている。
少し酔っているようにも見える。
夜通し飲んで、ようやく家に帰る途中なのかもしれない。
その瞬間と空間を楽しんでいる様に、彼女はゆっくりと歩き続ける...
なぜこんな情景が浮かんだのか。
それは、私自身が若い頃に好んでいた“ある瞬間”と深く重なっていたからです。
夜通し飲んで、ふらりと夜明け前に帰宅する時に出会える街の風景。
人影のない、まるで世界が一度リセットされたような静けさ。
そして、だんだんと空が青みがかってくるんですね。
(村上龍さんの “限りなく透明に近いブルー” と言いたいところですが…
さすがに大袈裟ですね。(^◇^;))
街が喧騒に覆われる前の、自分だけの為の特別な一瞬への扉を開くような感覚。
(柄にもなく詩的になって、ちょいとハズいです)
酔いの高揚もあいまって、まさにこの曲の歌詞のように
歌い出せ世界 私のまわりで
広がれ 世界の果てへ
と、胸の奥から何かがふわっとほどけて、開放感が溢れ出す感覚。
ファンの方々から
「酔っ払いと一緒にすんじゃねぇ!」
とお叱りの声が聞こえてきそうですが…(^◇^;)
もう今はお酒はほとんど飲まなくなりましたが、私にとって《朝の扉をひらく時》は、最初の一聴で
その幸福な一瞬を鮮やかに蘇らせてくれた曲でした。
と同時に、寝起きの二日酔いの感覚も蘇ってくるのであります。
あ、それと、私、アルバム『ねこの森には帰れない』の収録曲、全部大好きです。
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「朝の扉を開く時 谷山浩子」)




