「あの曲に会いたい」シリーズ(その2) ー 憎みきれないろくでなし
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
憎みきれないろくでなし
ジュリーこと、日本の大スター・沢田研二さんが1977年にリリースした曲です。
作詞は阿久悠さん、作曲は大野克夫さん(元ザ・スパイダース、井上堯之バンド)。
沢田研二さんといえば、日本のグループサウンズのバンド「ザ・タイガース」のボーカリストでしたね。
そして、グループサウンズブームが去ってソロ活動を始めてからの私の印象は、完全に“歌謡曲の歌手”でした。
この曲がリリースされた当時、私は洋楽――特にブリティッシュ・ロックやアメリカン・ロックにどっぷり浸かっておりました。
日本の歌謡曲はほとんど聴かず、
「もう日本の歌謡曲は卒業した」
なんて、歌謡曲の偉大さも知らずに、大変クソ生意気だったのであります。
(もし今、当時の私に会えたら、チョーパンものですね。o(`ω´ )o ウリャ!)
この曲を初めて耳にしたきっかけはよく覚えていませんが、たぶん何気なく聴いていたFM局の番組だったと思います。
この曲のイントロが流れた瞬間、
「ウワッ、イントロ、カッケー! どこのロックバンドだ?」
ところが、ドラムの流れるようなフィルのあとに聴こえてきたのは――ジュリーの声。
「えっ?! これジュリーの曲なの? 歌謡曲???」
ちょーカッコ良くて、最後まで聴き入ってしまいました。
Aメロはギターのリフやタイトなドラムが本格的なロックサウンド。
ギターがめっちゃカッコいい!これ、井上堯之さんなのでしょうかねぇ(よく調べていないのですが…(;^ω^))。
Bメロは歌謡曲っぽいところもあって、面白いなぁ、と思いました。
このサウンドにジュリーの男っぽくてセクシーな声が重なり、音全体が艶々して聞こえました。
沢田研二さんご自身「この曲はとても難しい曲なので、受け入れてもらえるかわからなかった」と仰っていたのを覚えています。
今までの歌謡曲調からちょっと抜け出したロックサウンドの曲である事を意識されていたのでしょうかね?
この日以来、私は日本の歌謡曲の幅広さ、そして奥深さを少しずつ理解していくようになりました。
そのきっかけをくれたのが、この曲――「憎みきれないろくでなし」なのであります。
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「憎みきれないろくでなし 沢田研二」)




