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「あの曲に会いたい」シリーズ  作者: あみれん


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16/43

「あの曲に会いたい」シリーズ(その16) ー Mother

ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。

どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――

「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。


このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。

1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。


え? 私の年齢? それはヒミツです。


シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')

でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――

当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。

(こじつけ感ツヨっ!)


投稿は不定期で~す。(;^ω^)

Mother


1970年にリリースされたジョン・レノンのアルバム

《John Lennon/Plastic Ono Band》(邦題:《ジョンの魂》)の冒頭を飾る曲です。


重く、厳かな教会の鐘の音で始まります。

これは、まるで葬儀の鐘のようにも聴こえます。


このアルバムを最初に聴いた時の印象は「剥き出しのジョン」でした。

ジョンが「ビートルズという夢」から抜け出し、

必死に現実と向き合おうとする姿勢が、全身むきだしで記録された作品だと思ったのです。


その象徴が《Mother》。


この曲、私にグッサリと刺さりました。

シンプルでストレート。

私でも理解できるほど容易な英語の歌詞の中に凄まじいパワーを感じたのです。


うわっ、これがジョンの凄さだ!


そう思いましたね。


歌詞はジョンの母親との関係、父親との関係を静かに振り返り、

そして「さよなら」と告げます。

さらに、こう続きます。


「子どもたちよ、私がして来た事を真似しちゃいけない。

私は歩けもしないのに走ろうとしたんだ。」


そして「母さん、おいて行かないで! 父さん、帰ってきて!」と絶叫しながらフェードアウトしていきます。


ビートルズという伝説の中心にいながらも、

それでも自分の人生が幸せだったとは言い切れない――

そう言っているようにも感じました。


この辛辣な言葉を、ピアノ・ベース・ドラム(リンゴです!)だけのシンプルな演奏に乗せて、

ジョンは凄まじい迫力で絶叫します。


私は、完全にやられてしまいました。


ところが――後に知ったのです。

インタビューでジョン自身が、


《Mother》は、アルバムで最も“キャッチー”な曲だ。


と言っていたことを。


「え? キャッチー?そんな軽い言葉で言い表しちゃうの!?」と戸惑いました。

けれど今は、こう思います。


キレッキレの言葉、シンプルな音、そして絶叫。

それらが一体となって、聴く人に突き刺さる。

つまり、“突き刺さるようにキャッチー”に仕上げた曲だったのだと。


そして、冒頭の鐘の音。

あれは一体、何の鐘だったのでしょう。


ビートルズという幻想を葬る鐘だったのでしょうか。

それとも──ジョン自身が

ようやく“自分を生き始めるため”の鐘 だったのでしょうか…


※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。

(検索ワード:「John Lennon Mother」)


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