エピソード 47
そして、夕食となるわけなのだが、このままでは押し入れの下段、彼らの言う「蛸部屋」になってしまうミカエルは採点者である薫子に露骨なまでに媚びを売る。
薫子のオムライスは自身のものの倍。
つまり特大オムライスで得点を稼ごうという作戦である。
だが、材料は限られている。
当然誰かの分が多くなれば、どこかで減らさなければならない。
そして、その被害者となったのは……。
「おい。ミカエル。これはどういうことだ」
「まったく。ふざけているよ」
「これまでの失点を取り返したいという気持ちはわかる。だが、そうであれば、自分の分を削るべきだろう。なぜ我々の分だけが減っておまえの分が大きくなるのだ」
ということで、材料をケチられたのはガブリエル、ウリエル、ルシファー。
ついでに言えば、ミカエル自身の材料には手をつけていないため、必然的に彼のオムライスは薫子に次ぐ大きさとなる。
といっても、ミカエルのオムライスは並みの大きさ。
それが大きく見えるのは、三人の分のオムライスがそれだけ小さいということである。
「まあ、それは作り手の裁量というものだろう。ちなみに味は皆同じだから味わって食べてくれたまえ」
この言葉を口にした直後、ミカエルが三人から鉄拳制裁をお見舞いされたのは言うまでもないことである。




