エピソード 46
理不尽な理由で失格になったものの、材料としては申し分のないルシファーが揃えた品物、それからコーラとソーセージも加えてレジを通す。
とりあえず持ってきたバッグに詰め込み、三人の天使とひとりの悪魔が向かったのはスーパーのフードコート。
そう。
薫子はそこでアイスを食べながら待っていたのだ。
そして、やってきた四人を見た瞬間ひとこと。
「遅い。全員減点十」
むろん全員、言いたいことはある。
「そこの馬鹿ふたりがオムライスの食材出ないものを持ってきたから遅くなった。だから、ここはこのふたりだけに重い罰を与えるべきだと僕は思うけど」
「いやいや。買うものを指示しなかったミカエルが悪い」
「そのとおり。罰はすべてミカエルに」
「しかも、こいつは薫子がいないのをいいことに仕切っていた。さらに理不尽な裁定までして威張り散らしていた。重い罰が必要だ」
「わかりました。ミカエルは減点百。ガブリエルは減点五十。ウリエルは減点二十とします」
「では、帰ります。荷物は……」
「もちろん私が持つ」
「いやいや、ガブリエル。君が持つにはこれは軽すぎる。当然これは僕が」
「つくるのは僕だ。そして、ここからは料理をつくる者の仕事。当然僕が持つべきだ」
「それを言うのなら。食材を選び出したのは私だ。運ぶ権利はある」
結局、折り合いがつかず、四等分して荷物を持つことが確定する。
「勝負はここからだ」
「望むところ」
「逆転し蛸部屋から脱出する」
「そうはさせない。このまま逃げ切る」
三人の天使とひとりの悪魔の低レベルの争いはまだまだ続く。