エピソード 40
ウリエルの言葉の直後、それらは姿を現す。
禍々しい。
その言葉こそふさわしいものであったが、それとともに薫子には妖魔と呼ばれるものたちの風体はどこか見覚えもあるものでもあった。
人間よりもかなり大きく、紫色の肌をしたその顔は口が裂け、角があり、耳も長く、そして、目が赤い。
武器は持っていないが、鋭い爪がその代わりをする。
「……悪魔そのものね」
「そうでしょう。だから、あれはこいつの同類なんだよ」
「ふざけるな。貴様たち天使が奴らの悪行と容姿を悪魔として宣伝した結果だろうが」
薫子の感想に即座に答えたウリエルの言葉は一瞬後ルシファーに否定される。
「強いの?」
「残念ながら強いな。しかも、この数だ。こちらも本気でやらないと勝てない」
「ということで、本気でやらせてもらう」
そう言った瞬間、天使たちの手に武器が顕現する。
ミカエルとウリエルは剣。
そして、ガブリエルは戦斧。
「ルシファー。あなたの武器は?」
薫子はひとり腕組みをして何もしていない悪魔にそう問う。
「必要なときに出す。とりあえず、心配ない。薫子には指一本触れさせない」
そう言ってニヤリと笑う。
「あれだけデカイことを言っていたのだ。自称正義の味方なら、四倍の数の妖魔でも倒せるだろう」
「日頃の鍛錬の成果を見せてくれ。天使ども」
「貴様に言われなくてもやってやる。よく見ていろ。クソ悪魔」
「そうそう。これで僕らの得点が爆上がり」
「そして、君の寝床は蛸部屋に確定だ」
「いくぞ」




