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エピソード 39
ただ黒い。
だが、真っ暗ではなく、十分に遠くまで見える。
そのような異様な空間だった。
「ここは?」
薫子の問いにミカエルが答える。
「戦闘結界と呼んでいる異空間。僕ら天使は通常の空間では力が制限されているが、ここはほぼ全力で戦える」
「そして、ここで武器も使用可となる」
「つまり、絶対有利な場所なのね」
「そうとも言えない。なにしろ、この空間は奴らが完全体で戦える場所だから」
「奴らってその妖魔とやらのこと?」
「そう。奴ら妖魔は通常空間では実態が保てない。そこで人間に取りつき、精神を操る。それはそれで面倒だが、取りついた状態でその人間が殺されると妖魔を一緒に滅びる。しかも、取りついている間は奴らの力は人間並み。その気になれば一瞬。だが、こちらではそうはいかない」
「まあ、奴らが用意する妖魔結界よりマシだけど」
「あれは毒々しい世界だから嫌だな」
「ああ。そして……」
「お出ましだ」