エピソード 38
そして、半分ニートの地味顔メガネの女子高生と三人の天使とひとりの悪魔が買い物に出かける。
その男たち、中身は相当なものだが、脳筋天使の代表格であるガブリエルも含めて外見だけでいけば、外国人風のイケメン。
歩いているだけで注目を浴びる。
しかも、その全員が露骨に地味顔女子高生に媚びを売るのだ。
注目度はさらに上がる。
「……あれがホストというやつ」
「よくわからないけどそうなのでしょう。あんな見栄えのしない小娘があれだけの男を引き連れているのよ。目当ては金でしょう」
「でも、あの娘の服は見るからに安物でしょう」
「男に貢いで金がなくなったのでしょう」
「ということは、もうすぐ捨てられるわね」
「それは楽しみ」
おばさんたちの妬み度百パーセントの言葉を心地よいBGM代わりに聞き流しながら歩く薫子とその従者たちだったが、次の瞬間、四人の顔つきが変わる。
「来るぞ」
「ああ。間違いない」
「しかも、これはかなり多い」
最初に気づいたルシファーに続き、いつもなら彼の言葉を全否定する天使たちも同意する。
「何が来るの?」
「僕らの敵」
「ということは悪魔?」
「違う。奴らは本物の悪。我々は妖魔と呼んでいるものたちだ」
「まあ、簡単にいえば、悪魔の同類」
「ふざけるな」
「まずは結界を」
ミカエルの言葉に応じてウリエルは右手を左から右へ振った瞬間、一瞬で風景が変わった。