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エピソード 30

そして、その翌日の朝。


「おはよう。諸君」


薫子の清々しい言葉とともに襖が開けられ、三人の天使とひとりの悪魔はようやく地獄から解放される。


「それで、ルシファー」


薫子は四人の中で一番若く見える悪魔に声をかける。


「天使のいう地獄はどうでしたか?」

「……私が管理している場所が平和な場所に思えてきた」


薫子の問いにげっそりした顔で悪魔はそう答えた。

続いて、一晩をともにした三人の天使を睨みつける。


「おまえたち。こういうことになるのがわかっているのなら身を清めてから望め。おまえたちの体臭は毒ガスの百倍有毒だ」

「それで悪魔を殺せるなら素晴らしいと僕は思うよ」


 ルシファーのその言葉に軽く応じたのはミカエル。

 ただし、その矛先は同僚へと向く。


「ただし、悪臭については僕もそう思うよ。ついでに言っておけば、悪魔殺しのその毒ガスの発生源は間違いなくガブリエルが三分の二。残りはウリエルだから」

「ふざけるな」

「同じく」


「私は日頃から綺麗にしている。そういうミカエルこそ相当匂っていたぞ。まあ、ウリエルよりもマシだったが」

「いい加減なことを言わないでもらいたいですね。僕こそミカエルとガブリエルの体臭で失神してしまったのだから」

「おもしろいことを言う。気を失った者があれだけのいびきを掻くとは思わなかった」

「ウリエルのいびき。あれにはまいった。僕の睡眠を妨害した要因のひとつだとはいえるだろうね」

「うむ。あれは騒音以外のなにものでもなかったな」

「嘘だ。濡れ衣だ」

「嘘ではない」

「濡れ衣でもない」


毎度おなじみの天使たちによる暴露合戦が一段落したところで、天使に押しつぶされながら一晩を過ごした悪魔は酷い目に遭ったその場所を眺め、呟く。


「見た目は何もなさそうだが、襖が開かないというのはどういう仕掛けになっているのだ?」


「蹴破ろうとしてもできない。転移を不可能。牢獄のようだな」


「そのとおり」


「そこはあなたたちの寝床であると同時に牢獄もしくは檻だから」


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