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エピソード 29

その言葉とともに、三人の天使がルシファーのいる押し入れに飛び込む。

彼らの希望としてはルシファーの上に馬乗りになりたかったところだが、押し入れの狭さからそれは許されない。

次善の策として三人もそこに飛び込むことにしたわけである。


「こんな狭いところに四人も入ってどうするつもりだ。言っておくが、私はガブリエルやウリエルのように男を愛でる性癖はない」


直後、凄まじい打撃音に二回。


「貴様、私がウリエルと同じなどと言うな」

「それはこちらのセリフ。筋肉好きのガブリエルと違い、僕は若くてきれいな女性が好きなのだ」


ここでさらにもう一度打撃音。


「とにかく、これを説明しろ。ミカエル」

「そう難しいことではない」


「僕ら四人はここで一晩過ごす。というか、薫子が次代になることを承認するまで僕らは毎晩ここで寝るのだよ。そして、これが……」


「地獄の正体。そうですよね。薫子」

「そのとおり。よくできました。ミカエル。そして……」


「ルシファー。ようこそ私の城へ」


「一晩たっぷり楽しんでください」


「では、お休みなさい」


そう言って押し入れを閉める。


「これで、ようやく天使と悪魔のミルフィーユが完成しました。あとは、どれだけ重ねられるかということになります」


「楽しみです」


四人分の呻き声を楽しそうに聞きながら薫子はそう呟いた。

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