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エピソード 28

「ん?」


むろん目の前にあるのはただの押し入れ。

まあ、下段は何もないのだが。


「どんな地獄かと思えば、ただの押し入れではないか。これのいったい……」


ルシファーは嘲りの表情で三人の天使を見たところで言葉が止まる。

どす黒い笑みを浮かべた者たち。


「どうした?」


ルシファーの言葉に三人の笑みはさらに黒さを増す。


「ルシファー。そこが本物の地獄だよ」

「なんだと」


ミカエルの言葉にもルシファーは辞退を飲み込めない・


「どういうことだ?」

「わからないのか?ルシファー」

「もちろんだ」

「では、その押し入れに入ってみろ。まあ、貴様にその勇気があれば、の話だが」

「……なるほど。そういうことか」


このときルシファーは完全に思い違いをした。


……こいつらは散々脅しの言葉を並べ、その言葉に飲まれた私が何もない押し入れを怖がる様子を笑いものにしようと考えている。

……こいつららしい考えだが、騙されはしない。


「いいだろう」


そう言って押し入れに進む。

何もない。

万が一のこともある。

用心深いルシファーは押し入れをじっくり観察するが、もちろん変わったところなどない。


……やはりそうか。


ルシファーはそこに入る。


「入ったぞ。ガブリエル。これでいいのか?」

「ああ」


「ついでにそこで横になってみろ」

「ああ」


ルシファーは言われるままに横になる。

その瞬間、三人分の声がやってくる。


「終わりだ。ルシファー」


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