表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/52

エピソード 22

「外に投げたものは拾っておけ。馬鹿天使ども」


投げつけられたひとつであるナイフを摘まみ上げると、ミカエルめがけて投げ返した少年はそのまま部屋に上がり込み、その騒ぎなどよそ事のようにクッキーを食べながら紅茶の前にやってくる。


「ミカエルの馬鹿から話を聞いていると思うが……」

「名前は?」

「はあ?」


「許しを得ずに部屋に入ってきた無礼な輩の名前を知りたいのです。私は」

「なるほど」


目を合わせることなく問うた自身の言葉の意味を相手がし難いと知った薫子がそう説明を加えると、そう言って少年は薄く笑う。


「私はルシファー。この世界の者には悪魔として知られている。地獄を管轄している」

「そうね。たしかに地獄は悪魔の領域ですね」


……これはすごいな。

……地獄の主である悪魔が現れても顔色ひとつ変えないとは驚きだ。たしかにミカエルごときでどうにかできるはずがないな。


心の中で薫子に対する認識を改めたところで、ルシファーはもう一度口を開く。


「悪魔と聞いて驚いた様子を見せないが、その理由を聞いていいかな」


「まあ、先ほどの天使たちとの会話を聞いていて確信を持ったのだけど、もともと私はある疑問を持っていたの」


「悪人が落ちるという地獄が悪魔の領域。そして、地獄で悪人は現世での罪を償うために責め苦を味わう」


「この話、おかしいでしょう」

「いや。そのとおりなのだが」

「そうなの?」

「もちろん」


「であれば……」


「悪魔が悪の権化ということは絶対にない」


「なぜなら、もし悪魔が悪の権化なら、罪を重ねて地獄にやってきた者はいわば仲間。褒美を取らせても責めを与えることはない」


「つまり、それ以外のすべてが正しいのであれば、地獄を管理している悪魔も神のしもべでなければならない」


「違うかしら?ルシファー」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ