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エピソード 19

「おはよう」


襖を開け、押し入れを開放しながら、薫子が元気に声をかけるものの、返ってくるのは彼女とは正反対の色彩を帯びた三人分の声だった。


「おはよう。ではない」

「こういうのを真の虐待というのです」

「そのとおり。まったく寝られなかった」

「嘘はいけないな。ガブリエル。君の大いびきで僕は寝られなかったのだから」

「そのとおり。だけど、君もいびきをかいていたよ。ミカエル」

「そう言う君だって」


「はいはい。寝ていない自慢はそこまで」


「これからは朝の労働の時間です」


「まずは朝食づくり。それから……」


そこまで口にしたところで薫子は気づく。

天使のひとりが押し入れの襖を入念に調べていることを。


「何をしているのですか?ガブリエル」

「いや。どのような構造になっているのかと……」


「あまりにも寝苦しいのでそこのふたりを外に放り出そうとしたのだが、まったく動かなかった」


「てっきり鍵がついているのかと思ったが何もないな」

「というより、すり抜けもできなかった」

「それは僕も試した」

「おかしいな」

「ああ」


「まあ、それはそのうちわかるでしょう。そんなことより、まずは労働。ここでは働かざる者食うべからず。が基本だから」

「そうなの?」

「そう」

「では、薫子は何をするの?」

「私はポンコツ天使たちがさぼらないように見張る」

「ひどっ」

「まったくだ」

「本当に」


「いいの。ここは私の家なのだから」


「とにかく、住まわせてもらっていることを感謝しながら働きなさい」


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