エピソード 15
三十分後。
ミカエルはふたりの同僚に厳しく問い詰められていた。
「なぜ助けなかった?ミカエル」
「そうそう僕らがあれだけ酷い目に遭っているのに眺めているばかりでその様子も見せなかった。とんだ悪党。君は仲良しのルシファーと一緒に地獄に行くべきだ」
「まったくだ。天使の風上にもおけないな。ミカエルは」
「いやいや。君たちならあの程度の攻撃軽く避けられると思っていたもので……」
「それがあのザマ。しかも、たかがスリッパで叩かれた程度で泣きわめくとは君たちこそ天使の風上にも置けない情けなさと言いたいね」
ガブリエルとウリエルの詰問をその言葉で躱すと、ミカエルは少しだけ表情を変える。
「君たちに問う」
「なぜ避けなかった?」
もちろんそれは実体験に基づいた彼が持つ疑問。
そして、返ってきたのは、自身と同じもの。
「避けなかったのではない。というより、避けたつもりだった」
「僕もだよ。軽く躱したつもりがあれだ」
「しかも、あの痛さ」
「久々だよ。あれだけいいものを貰ったのは」
「まったくだ。あれはまちがいなくただのスリッパではない」
「ただのスリッパだよ」
「ということは……」
「そう。僕もたっぷりもらったよ。あれを」
「それを踏まえて君たちに聞きたい」
「どういう仕組みになっていると思う?」