エピソード 13
それからわずか数分後。
薫子の見栄えのいい荷物持ちは三人に増えていた。
そして、買い物が終わり、薫子につき従うように歩く三人の荷物持ち。
その右端を歩く荷物持ち一号が新しく加わったふたりに尋ねる。
「あれだけのことを言っていっておいてよく手伝う気になったね。君たち」
「ああ」
「なんか手伝わなければならない気になってね。まあ、これで昼と夜は君がつくった料理を食べられるのだから悪くない。ガブリエルもそうだろう」
「まあ、そういうことだ」
「君たちがそういうのならそれでいいけど。ちなみに昼はパンケーキで夜はハンバーグということになっている」
「いいね」
「目玉焼きは忘れるな。ミカエル」
「君たち、ファミレスの常連だろう」
「ウリエルは毎回あそこで前菜からデザートまでフルコースを食っている。馬鹿だろう」
「そう言うガブリエルはステーキを三人分食べている僕が馬鹿なら君は大馬鹿だろうね」
「ふん」
やがて、他人には聞かせられない恥ずかしい会話を大声で披露する三人の目の前に古びたアパートがお出ましになる。
「着いたよ」
「ここ?本当に?」
「人が住んでいるのか?」
「聞こえたわよ。ガブリエル。お仕置き一回追加。ついでにウリエルもお仕置き一回追加」
前方から聞こえてきた女性の勇ましい声にふたりは笑う。
「お仕置きだってさ」
「やれるものならやってみろと言っておこう」




