エピソード 1
第十二回ネット小説大賞運営チームより感想をいただきました。
天上界。
そこは天使の領域である天界のさらに上位にある神が住まう場所。
最も神聖な場所であるそこに続く白く長い階段を現在の神アリシアから呼び出しを受けた若い男が昇っている。
緊張した面持ちで。
彼の名はミカエル。
現在の筆頭天使である。
筆頭天使である彼の立場であれば神に呼び出しを受けるなどそう珍しいことではないように思える。
というか、そのとおりである。
だが、今回は特別。
なぜなら……。
次の神が決まったので知らせる。
それが彼を呼び出したときの彼女の言葉だったのだから。
そして、これがなぜ特別なことなのかといえば、彼の、というか、彼ら天使たち、というより、天界に住まう者たちにとっての一大事であるからだ。
もう少し言えば、これから始まるのは負けられない戦いだからである。
「次の神か」
「……ということは当然……」
「こんなところで会うとは奇遇だな。小悪党集団の頭よ」
ミカエルの独り言を遮ったのは背後からの声だった。
「……ルシファー」
その瞬間、見たくないものを見るような目に変わったミカエルは振り返ることなく相手の名を口にする。
遠くの何かを見ながらのミカエルの言葉は続く。
「ここは僕らにとっての神聖な場所。身を清めてから来たのだろうな。地獄の番人君は」
もちろん相手に対する嫌味である。
だが、相手は動じない。
「安心しろ。私が管理しているのだ。かの地は常に清潔だ。それに比べて私が去ってから随分と汚れているそうではないか。天界は」
「まあ、汚物のような組織であるおまえたちがいるのだから仕方がないことなのだが。だが、それももうすぐ終わる。私が主になり天界は以前のように高貴な場所に変わるのだから」
「ふざけるな」
自らが口にした嫌味に盛大なお返しを食らったミカエルは天使とは思えぬ言葉を口にしたところで、ようやく振り返り、彼に対して無礼な言葉を投げつけた者を睨みつけた。