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皇子様に抱かれて一緒のベッドで寝ました

私はなんと、そのままクリフにお姫様抱っこをされて部屋まで連れて行かれた。


周りの近衛騎士や使用人からは驚いた眼で見られるし、私は死ぬほど恥ずかしくなっていた。


「クリフ、歩けるから」

私は必死に言い張ったが、

「ふんっ、まだ、恐怖は抜けていないだろう!」

そうクリフが言って、全く聞いてくれなかったんだけど。


「そんな事はないわよ」

「俺の服をしっかり握っているじゃないか」

笑ってクリフに指摘されたんだけど……


「えっ、いや、これは」

私は確かにクリフの服をしっかり握っていた。


「離せるよ。えい、や」

しかし、私がいくらやっても私の指は離せなかったんだけど。


「ほらな」

クリフが言ってくれるが、何かがおかしい。

クリフはそのまま大きな部屋の扉を開けて入って行くんだけど……


「悪かったな、酷い目に合わせて」

ボソリとクリフが言ってくれた。


「うん」

私は頷いた。本当だ。もう少しで拷問されるところだったのだ。


私は改めてギュッとクリフの服を持つ手に力を入れた。

「すまなかった」

クリフが更に言ってくれて、思わず私はギュッとクリフに抱きついた。

私の瞳から涙が落ちてきた。


「もう絶対に大丈夫だから」

そう言うとクリフもぎゅっと私を抱きしめてくれたのだ。

「クリフ、怖かったよ」

「よしよし」

泣く私をクリフは頭をなでて慰めてくれたのだ。

なんか、完全に子ども扱いされていて、何か違うと思ったんだけど、クリフに抱きついているだけで本当に癒されたのだ。

私は落ち着くまでクリフの胸の中で泣いていた。




「さあ、奥に風呂があるから入って来い」

私が落ちさ着くとクリフが背中を叩いて言ってくれた。


「えっ、でも、クリフは?」

「俺は後でいいから」

そう言うと、クリフが中に案内してくれた。


「あれ、これ、お湯はどうやって張るの?」

中はタイル張りの部屋だったが、水が出る蛇口とかはなかった。

何しろ異世界転生してから初めてのお風呂なのだ。


「お前の前いた世界とは違うのか?」

「前の世界は蛇口があって、それをひねるとお湯や水が出てくるの」

私は説明する。


「うーん、魔導具か何かか?」

「そうじゃないけれど」

私が説明したが、

「まあ、今一つ良くわからないが、こちらの世界では魔法でやる。見ていろよ」

そう言うとクリフは手を突き出した。


「お湯よ、出ろ」

クリフがそう唱えると、クリフの手からお湯が出てあっという間にバスタブを満たしたのだ。


「クリフ、凄い!」

私は手を叩いて感激した。


「よく言うよ。お前のヒールに比べたら全然だよ」

呆れてクリフが言ってくれた。


「そうだ。まだ、お礼言っていなかったな。助けてくれて助かったよ」

クリフが改まって言ってくれた。


「いやいや、そもそもクリフが怪我したのは私を助けようと無理をしてくれたからじゃない。治すのは当然よ」

私が言うと、


「いや、普通は治したくても治せないんだよ。俺は瀕死の重傷だったろう。それを治せたなんて本当に凄い事だよ」

クリフは首を振っていうんだけど。


「無我夢中だったから」

「それまでにヒールしたことあったのか」

「ううん。初めてよ。ヒールなんて使ったの。クリフを助けなければいけないと思って必死にやったと言うか祈ったら出来たのよね」

「さすが異世界人ってところだよな」

クリフが感心してくれるんだけど。

そういうものだろうか?


そう言えばお風呂のお湯も入ったし、余り話しているとぬるくなる。


「それよりそろそろお風呂入りたたいんだけど」

私が言うと、

「いいぞ。入ってくれて」

「入ってくれてって、男の人の前で裸になれるわけ無いでしょ」

「でも、まだ怖いんじゃないのか。俺は気にしないが」

クリフが子供を見る父親みたいな顔で言ってくけれるんだけど……


「私が気にするの」

私はそう言うと強引にクリフを外に追い出したのだ。



そして、久しぶりにお風呂に入った。


私はぐたーとした。本当に生き返る。


この3日間本当に波乱万丈の3日間で休む間もなかった。

なんかこのまますぐに寝てしまいそうだ。


でも、不思議だ。


今までなら少しでも無理したらすぐに高熱出して寝込んでいたのに!

昨日は地下牢で寝ていたけれど、今までなら絶対に酷い事になっていたはずなのに。全然平気なのが何故だか良く判らなかった。


この首輪のお陰なんだろうか?


そう言えば守りの首輪とか偉い人が言っていたような気がしたけれど……奴隷の首輪ではないのか?


お風呂を出たところにあった脱衣所には下着とガウンみたいな寝間着が置いてあった。

それを着て外に出るとベッドでクリフが寝転んでいた。


「クリフ、お風呂空いたよ」

私が言うと、クリフは目を開けて起き上がった。


「髪乾かしてやろう」

そう言うとクリフは温風を当ててくれた。

「凄い!ドライヤー当てているみたい」

私が言うと

「ドライヤー?」

「髪を乾かす道具よ」

「そんなのがあるんだ。アオイも練習すれば直に使えるようになるさ」

「そうかな」

私にも使えるんだろうか?



「部屋は一応アオイの分も用意されているんだけど、どうする?」

クリフが髪を乾かしながら、聞いてきた。


考えたら、普通は男女が同じ部屋にいるのはおかしい。

クリフとは別の部屋になるはずなのだ。


でも、昨日からの件でまだ一人で寝るのには恐怖があった。

それに今まで一緒に野宿もしてきたし最初の日は同じ部屋に泊まったはずだ。

私みたいな子供をクリフが襲ってくるわけもないはずだ。


「寂しければ一緒に寝るか」

そんな私を見てクリフが言ってくれた。

「もしよければ……」

私がおそるおそる言うと、


「じゃあ、俺はソファーでも寝ようか?」

クリフが聞いてきた。


「出来たら今日は一緒に寝たい」

私は思わず下を向いて言った。私は平生ならば絶対に言わない言葉を発していた。

騎士に拷問されそうになった恐怖はまだ去っていなかったのだ。


それに最後の野宿の時は完全にクリフにくっついて寝たのだ。まあ、あの時はクリフは意識がなかったが。それに私の事をペチャパイだとかお子ちゃまだとか平気で言ってくれるのだ。私を女として見ているとは思えなかった。


「いや、俺は良いが……」

そして、私を見るとプイッと視線をそらしてくれた。

また、胸がないとか言ってくれるんだろうか。

でも、牢屋に入れられるよりはよほどマシだ。クリフは温かいし……


口は悪くとも親切なクリフは私を抱きしめて寝てくれた。

兄ってこんな感じなんだろうか?

私は暖かなクリフに抱かれて安心して眠ってしまったのだ。



ここまで読んでいただいてありがとうございます。

続きは今夜です。

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。
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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

この話の

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上記のフランの子供の頃の物語です。

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