側妃に嫌味を言われたので返したら怒らせてしまいました
私は地下牢につながれていた。
石畳が冷たい。
私は首輪をされて、それが牢の格子に繋がれていたのだ。
なんか、寒いし、何で私は牢に繋がれているんだろう?
「おい、起きろ」
そこに声をかけてクリフが入って来たのだ。
「クリフ」
私は喜んでクリフに抱きつこうとして、
「触るな!」
突き飛ばされたのだ。
嘘! 私は唖然とした。
クリフに突き飛ばされた……
「触るな」って言われた。
私はとてもショックを受けたのだ。
「お前は淫乱罪で処刑だ」
なんか、クリフがとんでもないことを言ってくれるんだけど。
「私何も悪いことはしていない。無実よ」
私は必死に叫んでけれど、クリフは全く聞いてくれなかった。
私はギロチン台に引きずり出されたのだ。
そんな……
アマンダとかキャサリン様とか皆笑って私を見てくれているんだけど。
私は無実よ。無実なのに……
それは認められずにいきなりギロチンが落ちて来たのだ。
「イヤーーーーー」
私は大声で叫んでいた。
「アオイ様、アオイ様」
私はエイミーに揺り動かされて起きた。
周りを見ると私は自分のベッドで寝ていた。
なんでも、馬車で寝てしまった私をクリフがそのまま連れて来てくれたらしい。
「良かった。夢だったんだ」
私はほっとした。
「それどころではありません。アオイ様。王妃様がお呼びです」
「王妃様が?」
私は寝起きの頭でまだ頭が回らない。
「至急お部屋に来るようにとのことです」
「えっ、王妃様のお部屋に?」
なんか碌でもないような気がする。
夢の中でもクリフに処刑される夢を見たし……
私は陰鬱な気持ちのまま、服を着替えさせられて、王妃様のお部屋に向かったのだ。
先頭はこの前、迎えに来た侍女だ。
途中で豪華な衣装を着た、集団に出会った。
真ん中の女性は真っ赤なドレスを着ている。宝石もゴテゴテ付けてとてもケバケバシイ女だと思った。年は私よりも20くらい上か。
私達はさっと横に避けた。
「あああら、あなたは第一皇子殿下のお妾さんかしら」
私は女が一瞬何を言ったか理解していなかった。
お目かけって何? 第一皇子殿下が目をかけている人って事?
「側妃様、第一皇子殿下の客人に対して失礼ではありませんか」
後ろからエイミーが文句を言ってくれた。
「失礼なのはそちらであろう。侍女の分際で側妃様に失礼だろう」
叫んでいるのは、赤いドレスの横にいたポウナル公爵夫人だ。
エイミーがひるんだすきに
「まあ、まあ、公爵夫人。良いのではなくて。私はこの子が色仕掛けで、殿下の気をひいたと聞いたけど?」
「まあ、側妃様。でも、この子、色仕掛けするにしては、とても貧相ですけど」
私は女がお妾といった意味がやっと分かった。それとこの女たちが何が言いたいかも。
人の胸が貧相だとか、おばさん達に言われる筋合いはないわよ。
「ねえ、エイミー、この人が陛下のお妾さんなの?」
私の質問が予想以上に大きな声で響いた。
皆私の言葉に一瞬固まっていた。
「な、何ですって」
「あなた、側妃様に失礼でしょ」
「いくら第一皇子殿下の覚えが目出度いとはいえ、言って良い事と悪いことがあるわ」
側妃に続いて取り巻き連中も煩いんだけれど。
「妾ってそんなにひどい言葉なんですか」
「当たり前でしょ」
「側妃様に対する侮辱よ」
女たちはいきり立つが、
「でも、最初に言われたのは私ですけれど」
「……」
私が言うと、さすがの側妃達も口を結んで悔しがるが、それ以上何も言わなかった。
「それに妾って正妻以外の夫婦の関係のある女性の事ですから」
平然と言う私に
「何ですって、静かに聞いていればよくもぬけぬけと」
歯を食いしばって側妃が叫ぼうとした時だ。
「そこ、何を騒いでおられるのです」
そこに皇后様の侍女長が出て来た。私が来るのが遅いので迎えに来たんだろうか?
「あなた、覚えてらっしゃいよ」
側妃は私に叫ぶと慌てて廊下をどしどしと歩いて行ったのだ。
後には何故か口を押さえて必死に笑いをこらえている二人の侍女が残ったんだけど。
私は別に変な事は言っていないのに!
ここまで読んで頂いて有り難うございました。
今日は昼前後に人物紹介をアップします。
続きは今夜更新予定です