表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/110

決闘の前に足を怪我して騎士を断念していた子の足を治し、更に決闘で血まみれになった二人にヒールかけてしまいました

私は決闘の介添人というものがどういう者か判らないまま、そのまま流れで決闘会場の裏庭に連れて行かれたのだ。


日本の中学ではこんな事は無かったのだが、日本の高校でもこんな決闘は頻繁に行われていたのだろうか? もっとも、中学自体そんなに何日も行けなかったけれど……中学でもみんなやっていたんだろうか?


今となっては確かめようがなかったが……


それなら、私も凛と決闘すれば良かった。


もっとも病弱な私が決闘しても絶対に勝てるわけは無かったけれど……


でも、元気になった今ならば良い勝負になったんではないだろうか?

聖女をかけて決闘しても良かったんじゃ……


「おい、アオイ、聞いているのか?」

いかんいかん、今はそれどころではないはずだ!

私は現実逃避からボビーのひと言で連れ戻された。



「ねえ、ボビー、介添人って決闘の助太刀するの?」

「すけだち? ああ、助太刀か。よくそんな言葉知っているな」

ボビーが感心して言ってくれた。

「いや、そうじゃなくて、私はポーラには絶対に勝てないと思うわ」

思う所を言って見たのだが、


「はああああ? アオイは何を言っているんだ。介添人は決闘するやつの応援をしているだけでいいんだよ。お前がポーラに勝てないのなんて見たらすぐに分かるだろうが」

馬鹿にしたようにボビーが言ってくれた。


「ちょっと、そこの生意気男! それはどういう意味よ」

ポーラが遠くから私とボビーを睨んできたんだけど。

「どう見てもそうだろう」

「だってどう見ても私の方がか弱いじゃない。マイヤー先生に睨まれて逆らえるのってポーラくらいよ」

私の一言にエイブまで頷いているんだけど。


「あんた、むかつくこと言うと私このまま帰るわよ」

「いや、待ってくれ。介添え人に帰られたら、俺の負けになるだろう」

「じゃあ黙っていなさいよ」

向こうは向こうで勝手に喧嘩してくれた。そうだ、そのままポーラが帰ってくれたら私は何もしなくていいのに!

期待してみていると、


「いや、だから、介添え人は基本は見ているだけでいいから」

ボビーが言ってくれるんだけど、本当にそうなのか?


「ボビー。私は少し前まで病弱で、ほとんど学校なんて行ったこと無かったから決闘なんて初めてで」

「お前が病弱って、血色も良いし、どうみても病弱には見えないが」

「最近は調子がいいのよ。それより、足を怪我しているんじゃないの?」

なんかボビーがムカつくことを言い出したので、黙らせる意味でも、ボビーが足を少し引きずっている点を指摘した。足を引きずっているのならば喧嘩も不利なんじゃないのか。


「足は元々だ。小さい時に怪我したからな」

「癒やし魔術師に治してもらえば良いんじゃないの?」

「怪我してから時間が経つと治らないんだよ。俺の家はそんなに裕福じゃないから治してもらえなかったんだ」

そうか、怪我して足を引きずっているから騎士になるのを止めたのか。私はボビーがなぜ文官志望なのか、その理由が判った。


「でも、それじゃあ、決闘も不利なんじゃ」

「そこは黙っていてくれ。お前は俺の勝利を祈っててくれていれば良いんだよ」

私の不安にボビーが言って来た。なんでも決闘したい気分なんだとか。男ってそんな感じなの? でもクリフは違うような気がするんだけど……


「それよりも俺の腕にお前のリボンでも結んでくれたら嬉しいんだが」

「えっ、この髪をくくっているこれで?」

何でも介添え人のつけている物の一部を決闘人に着けるのが普通だそうだ。

まあ、このピンクのリボンはエイミーが学園に来る前に結んでくれた物だけれど。

私は仕方無しにリボンを取った。バサリと髪が垂れる。


「えっ?」

なんかボビーが固まっているんだけど。

遠くからエイブも驚いた顔をしている。


「えっ、何か変だった?」

私がボビーを見るが


「いや、別に」

慌ててボビーが顔をそらしてくれるんだけど、何なのよ!


私はボビーの右腕にリボンを結びながら

「足がちゃんと動きますように」

と、祈ったのだ。


「あれ? なんか金の光が見えなかったか?」

ボビーが言うんだけど。


「別に」

しまった。ひょっとして祈ったことによってヒールがかかったかもしれない。

まあ、足が治るならそれに越したことはないのだけれど。

出来る限りヒールは使うなって言われていたんだった……注意しないと。


「あれっ、足が動くような気がするんだが」

そう言いながら、ボビーは広場の真ん中に歩いて行った。



「よし、いいな。ヒヨッコ」

「良いぜ、蛮族」

二人は向かい合ったのだ。


遠巻きにクラスの面々が見ている。


そんな中、二人は近付いて、いきなりボビーが殴りつけたのだ。

それを躱しきれずに、顔面にエイプが受ける。


「ウォーーーー」

凄まじい顔して、倒れ込んだエイプにボビーが馬乗りになって殴りつけ出したのだ。


しかし、そのボビーの顔面にエイプが手を突き出すとボビーが思わず顔をそむけた。


その隙に、エイブが体を入れ替える。


それからは組んずほぐれつの喧嘩になって、ただし、どうしても騎士を目指しているエイブのほうが有利になってきた。


そんな中、破れかぶれで下から突き出したボビーの拳がエイブの鼻を直撃したのだ。


プシューーーと血が飛び出してスプラッター映画みたいになってきた。


「ちょっともう、いい加減にしなさいよ」

私は思わず飛び出していたのだ。


そして、二人の間に入いろうとしたのだ。


「ちよっとアオイ、勝手に飛び出したら駄目じゃない」

慌てて、ポーラも飛んできた。


二人の顔は血まみれで見れたものじゃなかった。


「ヒール!」

私は思わず癒やし魔術を発動していたのだった。


二人の顔がみるみる治って行く……

と同時に私はやってたしまったのが判った。


ヒールはできる限り使うなって言われていたんだった……

やってしまったアオイ……

続きは今夜更新できたらします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。
この話の

次の作品はこちら


『天使な息子にこの命捧げます』

https://ncode.syosetu.com/n7912ip/

その

連載版はこちら


『連載版・天使な息子にこの命捧げます』

https://ncode.syosetu.com/n9455ip/



この話の

前の作品はこちら


『転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて恋してしまいました。』

https://ncode.syosetu.com/n9394ik/

私の初書籍がなんとなんと つぎラノ
「次にくるライトノベル大賞2023」https://tsugirano.jp/
皆様の応援のお陰で私の書籍がノミネートされました。
なんと上から5つ目に!

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/


6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

この話の

フランの小さい頃の話はこちら


『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……』

https://ncode.syosetu.com/n3874il/
上記のフランの子供の頃の物語です。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ