皇后様の前に呼ばれて、学園に入ることが決まりました
本日2話目です
「アオイ、着いたぞ」
「えっ?」
私はクリフに揺り動かされて起きた。
いつの間にか寝ていたみたいだった。
あれから、クリフは私に帝国の貴族関係をいろいろ教えてくれていたのだ。
そんなのが必要なのか?
と思わないでもなかった。
お昼も食べて、そう思って、適当に聞いていたら、なんか眠くなってきて、いつの間にか眠ってしまったらしい。
外はもう真っ暗だった。
周りを見ると巨大な石造りの建物の前に馬車は止まろうとしていた。
帝国の宮殿なんだろう。めちゃくちゃ大きい!
周りの騎士はみんな金ピカの近衛の騎士の服を着ている。
そして、入口には出迎えの執事や侍女が並んでいた。
扉が開いて先にクリフが降りる。
「はい、アオイ」
クリフは私に手を差し伸べてくれた。
私がその手を取って降りる。
「お帰りなさいませ。殿下」
執事と思しき人がクリフに声をかけてくる。
「両陛下がお待ちです」
「アオイもか」
「いえ、お連れの方については何も聞いておりませんが」
執事が言いずらそうに言う。
「そうか。まあ良い。アオイは俺の大切な客人だ。部屋を準備してくれ」
「かしこまりました」
少し、驚いた顔をしたが、執事さんは頷いてくれた。
「じゃあ、アオイ、すぐに戻るから客室を準備させるからそこで休んでいてくれ」
「えっ、でも、クリフ。私は宮殿なんて敷居が高くて」
私が少し怯えて言うと、
「大丈夫だ。大叔母上の屋敷でも、でかい顔して過ごせたんだから。ここはあそこよりは敷居は低い」
なんかクリフがとんでもないことを言ってくれた気がするんだけど。
それはクララ様は気さくな方で、食事の後はラウンジで公爵様と仲良く話しをさせていただたけれど。私はでかい顔はしていないと思う。
それに、公爵家の邸宅と皇帝陛下の宮殿は違うはずなのだ。
「こいつは、ボールドウィン公爵夫人のお気に入りだ。宜しく頼むぞ」
「かしこまりました」
驚いた侍女たちが慌てて頭を下げてきた。なんか私を化け物みたいに見ている気がするのは気のせいか?
私達をおいて、クリフは執事に連れられて奥に入っていった。
私もメイドのエイミーに連れられて別の部屋に連れていかれたんだけど。
そこはとても広い部屋だった。
それも二部屋だ。奥に寝室が有るのだ。
あまりにも広すぎるのでは無いだろうか?
「あのエイミーさん」
「アオイ様。私のことはエイミーと呼び捨てでお呼び下さい」
「そんな畏れ多い。私は爵位もない平民ですし、おそらくエイミーさんは貴族のご令嬢でしょう。私のことはアオイと呼び捨てにしていただいたほうが良いと思うのですが」
「何をおっしゃいますか。アオイ様はこの王宮のお客様です。お客様を呼び捨てなど出来ません。それにボールドウィン公爵夫人のお気に入りとあらば当然のことです」
きっぱりとエイミーは言ってくれたんだけど。
でも、後で聞いたらやっぱりエイミーは男爵家の令嬢だった。
「兄が跡を継ぎますから私は平民落ちするのは確実ですから」
と言っているけれど、エイミーは私よりも余程きれいだし絶対に玉の輿に乗れると思うんだけど。
そのエイミーにお湯を入れてもらって私はお風呂に入って、ゆっくりした。
そして、寝間着に着替えてのんびりしていた時だ。
ノックの音がしてエイミーが対応してくれたけれど、私はクリフが訪ねてきてくれたのかとドテーーとしていたのだ。
そしたら、エイミーが慌ててこちらに飛んできたのだ。
「アオイ様。皇后陛下がいらっしゃいました」
「えっ!」
青天の霹靂とはこのことだ。私は寝間着を着て完全にくつろいでいたんだけど。
「いいわ、もう、女同士なんだから」
私達が慌ててなんとかしようとした時に、皇后様が入ってこられたのだ。
慌てて、エイミーがガウンを着せてくれた。
「ごめんなさいね。くつろいでいる所にいきなり訪ねてきて」
「いえ、こちらこそ、こんな格好で申し訳ありません」
私は皇后様に謝った。
「ただ、クリフが後で訪ねて行く約束していたって言っていたから良いかなと思ったんだけど」
皇后様は私の頭の先から爪先まで見られて、ため息を付かれたんだけど……
そう言えばクリフの前では何も気にしていなかった。元々クリフの奴隷だと聞いていたし……
私が真っ赤になっていると、
「クリフの横に立とうと思っているのならば、男女の機微にも気をつけないとね。そのあたりのことはもっと慎みをもって対応してもらわないと行けないと思うのだけど」
皇后様は嫌味たらたら言われるのだけれど。
「えっ、そんな畏れ多い事です。私は平民なので、殿下の横に立つなんて到底不可能だと思っています」
私は思っていたことを言ったのだ。
「えっ、そうなの?」
皇后様はとても驚いた顔をされたんだけど……
「クリフから聞いていることと違うのだけど……じゃあ、あなたはなぜ王宮に来たの?」
不思議そうに皇后様が聞いてこられた。
「すみません。殿下にはアリストン王国で破落戸に襲われている時に助けていただきまして、行くところがないと相談したら帝国は人口も多いから働き口くらいは有るとお伺いしたんです。幸い私は癒やし魔術は使えるので、どこか病院でも紹介していただければそこで働かせてもらおうかなと思っていたんです」
私は正直に話した。
「それをクリフには相談したの?」
「いえ、クリフ様は相談する間もなく、両陛下に呼ばれたので、後で相談すれば良いかなと思っていたんです」
そう言うとニコリと笑われた。
「そうなのね」
「はい。だから皇后様とお会いするなんて思ってもいなくて、本来は宮殿なんて私には敷居が高くて、今も、とても緊張しているんです」
私が言うと、
「でも、私の叔母とは仲良く話していたと聞いたけれど」
「叔母様と言われますと、クララ様ですね。クララ様はとても気さくな方で、私のような平民にも普通にお話頂いて、とても可愛がって頂きました」
「気さく? あの気難しい叔母が……」
私は皇后様が顔をしかめて呟く声がよく聞こえなかった。
「何かおっしゃいました?」
「いえ、何でもないわ。こちらの話よ」
皇后様は愛想笑いをされた。
「それよりもお礼を言うのが遅れたけれども、傷ついた息子を治してくれて本当にありがとう。感謝の言葉もないわ」
皇后様が頭を下げてくれたんだけど、
「いえ、クリフ様は私を助けようとして傷つかれたので、私が治すのが当然です」
「でも、瀕死の重傷だったと聞いたわ。あなたに助けてもらわなかったら命が無かったと言っていたわよ」
「いえ、たまたまヒールを発動できただけで」
私が正直に話すと、
「たまたまヒールは発動しないわよ。それに、サフォーク男爵領で流行りだした黒死病を収めてくれたのでしょう。また、陛下から御礼の言葉も有ると思うけれど、本当にありがとう」
「いえ、とんでもありません」
私は皇后様に手を振っていた。
「それで、クリフからはあなたは16歳って聞いたんだけど」
「はい、そうです」
私が頷くと、
「我が国では16歳になると高等学園に入って勉強する事ができるの」
「高等学園ですか?」
「そう、勉学から魔術まで多くのことを学んでいくのよ。将来的に王宮で働いてくれるにしろ、民間で働くにしろ、学園に通っておいたほうが、何かと有利になるのよ。どう、3年間学園で勉強するというのは」
「私でも行けるのでしょうか?」
私が聞くと、
「勉強は大変だけど、あなたが行っても良いというのならば入ることは出来るわ」
皇后様が言ってくれた。
私は少し考えて、
「出来たら勉強してみたいです」
前の世界では病弱でほとんど学校には行けなかったのだ。でも今なら普通に立っていられるし、通えるなら通ってみたい。
「判ったわ。じゃあ頑張ってね。応援しているわ」
皇后様は立ち上がられた。
「そうそう、叔母とはラウンジでお茶したのよね。王宮のコックが腕によりを尽くして作ったお菓子が有るのよ。明日の午後に私の部屋においでなさい。ごちそうするわ」
「はい、判りました」
私は何も考えずにお菓子と聞いただけで、頷いていたのだ。王妃様にお茶を呼ばれるのがどれだけ大変なのか良く知らなかったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きは明朝です。






