公爵家の晩餐に呼ばれました
私はクリフに抱えられて、ホワイトの上で散々悲鳴をあげさせられた。
本当にクリフは酷い!
私はさすがに怒っていたんだけど、
「殿下とアオイ様はお二人で楽しんでおられて良いですね」
私はジムに白い目で見られたんだけど、楽しんでいたのはクリフだけだと思うのに!
そう言うと、
「ヘイヘイ」と、気のない返事をされたんだけど、そんなことはないと思う。
その日の夜、公爵邸での晩餐にお呼ばれした私は、マナーもなっていないから、出来たら、遠慮したかったんだけど、公爵家のメイド達に無理やり着飾らせられたのだ。
でも、なんかめちゃくちゃフリフリのドレスなんかだけど、何かこれはお子ちゃますぎるのではないかと思わないでもなかった。
でも、メイドさん達はとても似合うと言ってくれたのだ。
本当だろうか?
そこへクリフが迎えに来てくれた。
クリフは私を見て一瞬目が点になって、真っ赤になって視線をそらしてくれたんだけど。
「えっ、やっぱりとても変?」
私は慌てて聞いたが、
「いや、そんなことないよ。とても似合っているよ」
クリフは言ってくれたんだけど、本当だろうか?
「なんか子供っぽすぎない?」
私が聞くと、
「まあ、多少はあるかもしれないけれど、気にするほどじやない」
と言ってくれた。
クリフは白の礼服だった。
とても立派に見えた。その横に立つとこの服では本当にお子ちゃまになるのではないかと危惧したのだ。
まあ、私の服はピンクだから色的には問題ないと思うのだけど。
こんなヒラヒラはとても恥ずかしいし、おまけにかかとの高い靴を履かされてとても動きにくい。
私はおっかなびっくりでクリフに掴まって階下に降りたのだ。
私達が降りると眼の前が晩餐会の食堂で、席には公爵等が既についていた。
「おお、小娘、化けたな。お前はこちらだ」
私はそう呼ばれて、公爵夫妻の間に座らされたんだけど。こんな上座でよいのか?
お誕生日席に公爵が座り、その横が私で公爵夫人、そして、公爵令息。
反対側がクリフ、コーデリア、その母親の令息夫人の順だった。
「まあ、殿下、とても凛々しいですわ」
早速隣のコーデリアがモーションをかけているんだけど。
私は少しムッとしたが、こちらはそれどころではなかった。
隣の公爵夫人が私をジロジロ見てくるので私はめちゃくちゃ緊張したのだ。
「公爵夫人。その胸の間の赤い宝石はとてもキラキラ輝いていますね」
私はその豊かな胸の間から輝くルビーを褒めたのだ。
「まあ、あなた、このルビーの価値が判るの?」
「いえ、そこまで詳しくないですが、とてもきれいだなと思いまして」
私は馬車の中でケーキを食べていただけでなくて、公爵夫人の大切なものとか色々公爵に聞いていたのだ。
「そう、これはビリーと結婚する時に王家から祝いの品に頂いたものなの。この国一番のルビーだと言われているのよ」
自慢気に公爵夫人が説明してくれた。
「そんな素晴らしいものを王家から賜るなんてさすが公爵夫人は違いますね」
「まあ、公爵夫人なんて堅苦しい言い方をしなくていいわ。アオイさんだったかしら。私のことはクララと呼んでね」
「ありがとうございます。クララ様」
私はホッとした。クリフからはクララ様から名前で呼んでも良いと許しを得られれば合格だと聞いていたのだ。何の合格か判らなかったけれど。
「乗馬姿の殿下も凛々しかったですが、礼服の殿下は更に立派に見えますわ」
ほっとして前を見ると何故かコーデリアが席を近づけてクリフに色々と話していた。
クリフは笑みを浮かべて受け答えしている。コーデリアの衣装はとても斬新で胸の部分は大きく開いていて豊満なコーデリアの胸の一部が白く見えているんだけど……
私には絶対に着れない衣装だ。
それを見て、クリフも鼻の下を伸ばして喜んでいるに違いない!
私はムッとした。
「アオイさん。辺境伯家では災難だったわね。騎士たちに結構いじめられたんですって。ミランダが謝っていたわ」
「ミランダ様?」
「辺境伯夫人よ。彼女は私の姪なの」
「そうなんですか。行き違いで色々あっただけで、辺境伯夫人には色々親切にしていただいたので、私は感謝しています」
夫人はとても私のためにしてくれたのだ。
「この度の男爵家でもけっこう大変な目に遭ったんですって」
「でも、近衛の方や公爵家の騎士さん達に助けていただきましたから」
「そうなの? でも、その首輪も守ってくれたんでしょ」
「はい。この首輪には助けられています」
「そうなんだ。私はまた奴隷の首輪かなにかと思ってしまったわ」
前からコーデリアがけなしてくれた。
まあ、私も最初はそう言ってつけられたんだからそう思われても仕方がないと思うんだけど……
「コーデリア。何を言っているのよ。この首輪は王家の秘宝よ」
夫人がコーデリアを窘めてくれた。
「えっ、そうなんですか」
「そうよね、クリフォード」
「そうです。大叔母様」
クリフが頷く。後で聞いたら夫人はクリフの母の王妃の叔母だとか。とても繋がりの深い親戚だった。最もクリフが余り近寄らないと言って
「ところでクリフォード、あなた、アオイさんに渡したこの首輪の意味判っているのよね。グレイスは一番大切な人に渡せって言ってたわよ」
その瞬間皆固まっていたんだけど。
「当然ですよ。大叔母様」
クリフは簡単に頷くんだけど、一番大切な者ってどういう意味があるんだろう?
私には良く判らなかった。
それから何故か急にコーデリア達は静かになったんだけど、なんでだろう?
私は元気な公爵と夫人とクリフの4人で食事を楽しく過ごさせてもらったのだ。
首輪の意味がわかるのはまだまだ先の事だった。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
次はいよいよ王宮です。
クリフの母対アオイはどうなるか?
明朝をお楽しみに